2008年1月25日金曜日

差はないけど、違いはある。

外国籍を理由に在日3世の調停委員選任を拒否 大阪家裁
【asahi.com】2008年01月24日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200801240096.html

 所属する大阪弁護士会から調停委員に推薦された在日韓国人3世の林範夫(イム・ボンブ)弁護士(44)が、大阪家裁から外国籍を理由に選任を拒否されていたことがわかった。外国籍の弁護士に対する調停委員の選任拒否は03年以降、神戸家裁と仙台家裁に続き今回で5件目。同弁護士会は24日、「国籍による差別だ」として、大阪家裁や最高裁に撤回を求める文書を発送した。

 同弁護士会によると、林弁護士は昨年12月、離婚や相続のトラブルで仲裁役を務める家事調停委員の候補者として、日本国籍の弁護士78人とともに弁護士会から推薦された。だが、大阪家裁は今月15日、林弁護士について「最高裁に任命を上申しない」と回答。「調停委員は公権力の行使に携わる国家公務員で、日本国籍が必要」と説明したという。

 調停委員は、地裁や家裁が一般の応募者や弁護士会の推薦を受けた弁護士を選考し、最高裁が任命する。最高裁は任命基準に国籍を制限する決まりを設けていないが、調停委員会の命令が守られない場合に罰則があることなどから「公務員」との立場をとっている。

 林弁護士は94年に弁護士登録。交通事故や建築関連などの民事事件を手がけてきた。「これまでに培った知識や経験は調停委員でも生かせるはず。日本社会の一員でないかのように排除されて悔しい」と話している。

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 人権擁護法案といい、いろんな事案で「外国人に権利を認めないのは差別だ」という論調があります。ただし、なんでもかんでも、「日本人に認められてることは外国人にすべからく認めるべき」で、そうでないものはすべて「差別」だ、という論調はおかしくないですか。

 日本国籍を持ってない人と、持っている人という区分けは厳然としてあるわけで、区分けはあるのに区別しないなんていうのはおかしいと思いますよ。だって、違うんだから。

 差別は根絶されるべきで、人種によってそれが行われるのはおかしいのはもちろんです。

 ただし、問題とされているのは、人種ではなく、国籍であって、日本が無くなっても、頼れる何かがある人が、日本がなくなったら本当に困る人と同じ発言権があっていいのですか。日本を売って、その利益をのうのうと自国に戻って享受している人がいたらおかしいと思いませんか。この主張の行き着くところはそれを是とする世界です。

 もう死語ですが、居候が住まわせてもらっている人にあれこれ言いますか。まぁ、言っても良いけど、決断するのはその家族であって、「その条件は飲めないから、気に食わないなら、他所の条件の良い家を探してくれ」というのが普通じゃないですか。

 この日本国籍78人の弁護士というのはいったいなんなんでしょう。

 年配の人と話をすると、割と「反権力」というスローガンに憧れを持っている人は意外と多いです。永山則夫とかにシンパシーを感じたり、彼の著作に感銘を受けたという人の話を聞いて呼んでみたのですが、まったく説得力を感じませんでした。

 「時代の寵児」という言葉の通り、時流に乗って、思っても見なかった人にスポットライトがあたることがあります。しかし、普遍的な価値を持つかどうかは、その時代の潮目が変わったときにわかります。
 時代背景にかかわらず、一定の説得力を持つもの、なにかを訴えるものが普遍的な価値であり、時代の助けを借りなければ、意味を流布しえないものは、やはり、それだけの価値のものという判断をくださずにはいられません。

 一方で、その変化を頑なに拒み、あがいている人がいるのも事実です。

 そういう人たちが、この78人の弁護士、そして朝日新聞の姿に重なって見えてなりません。


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