2008年1月31日木曜日

循環型社会をめざして

古紙の不正申告は17社 業界ぐるみ偽装裏付け【iza】01/25 20:15更新http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/118161/TrackBack/

記事本文  製紙会社の業界団体である日本製紙連合会は25日、都内で古紙配合率に関する会員企業の実態調査結果を発表した。コピー用紙などを製造する24社中、17社から何らかの偽装が申告された。製紙業界内で古紙偽装が蔓延(まんえん)していたことが裏付けられた格好だ。 記者会見した製紙連の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)は「違反の多さを残念に思う」と述べた。業界内での談合疑惑については、「(違反内容は)各社でかなり違う」と否定した。そのうえで、白色度など品質基準が高まる一方、高品質古紙の入手が困難になり、「技術の限界があった」との弁明を繰り返した。

 調査は経済産業省の要請を受け実施し、加盟企業全38社から23日までに回答を得た。昨年10~12月の生産・出荷について質問しており、「再生紙はがき」で6社、「他者に誤解を与える製品」で13社、「グリーン購入法対象製品」で14社が不正があったと回答した(重複あり)。 一方、製紙連から調査報告を受けた経産省は、製紙連など関係4団体に対し、在庫製品の取り扱いについて商品表示を訂正、削除して消費者を誤認させないことなどを文書で要請した。文具メーカーなど一部の顧客からは、偽装が判明した再生紙製品を返却する動きもでてきている。 予想以上の不正に経産省は「古紙配合率の確認体制など、企業を疑ってかかる制度にする必要も含めて考えたい」(紙業生活文化用品課)と、規制強化に向け検討を始める意向だ。 製紙連はこの日、「古紙配合率問題検討委員会」(委員長、関口裕・王子製紙専務)の初会合を開き(1)再生紙の定義、表示のあり方(2)科学的な分析困難な配合率の担保方法(3)環境と古紙配合のわかりやすい説明(4)コンプライアンスの強化-について議論していくことを確認した。

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 偽装を働いていた製紙メーカーが許されないのはいうまでもありません。また、大手を含む多くのメーカーが、「右にならえ」という感じで揃って偽装を働いていたことは言語道断です。

 以前、「再生紙」は環境保全にならないという趣旨のエントリを書きましたが、こういうことをされると正しい議論もできなくなります。食品と違い、直接的な被害者がでるわけではありませんが、こうした体質を許さないために、行方を見守りたいと思います。

 というのは大前提として、古紙については腑に落ちない点がたくさんあります。

 昔は、新聞の回収車などが地域を廻って商売をしていました。古紙回収は利益になるということです。それが再生紙として循環していたのが、なぜか、その姿を見ることはなくなりました。昔よりも環境に配慮する機運が高まっているのになぜでしょう。

 そして、こんなニュースもありました。
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 ごみ持ち去り:古紙回収業者らに逆転有罪判決 東京高裁http://mainichi.jp/select/today/news/20071211k0000m040051000c.html

 ごみ集積場から古新聞などを勝手に持ち去ったとして、東京都世田谷区の清掃・リサイクル条例違反に問われた古紙回収業者3人に対し東京高裁は10日、1審の無罪判決を破棄し、それぞれに罰金20万円を言い渡した。中川武隆裁判長は「持ち去り行為は横取りというべきもので、最終的に刑罰で禁止する必要性は十分認められる」と指摘した。

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 古紙回収はやはり、採算の成り立つ事業なのです。きちんとしたサイクルができていたはずなのに、そこに行政が首をつっこんで、いつしか税金で回収するようになりました。

 税金を投入しているにもかかわらず、古紙の値段は上がりつつけ、しかも、需要をみたせないほど枯渇するようになった。

 どういうことなんでしょうか。

 「環境にやさしい」という言葉で思考を停止させてはいけません。
人の善意につけこむような話がゴロゴロしています。


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2008年1月30日水曜日

身を捨てて浮かぶ背もあり

ハンドボール 「中東の笛」でなく中立の笛を
(1月23日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080123-OYT1T00029.htm

 五輪予選のやり直しという異例の事態である。原因は目に余る不公正なジャッジにある。この際、悪弊を断って、再出発を図るべきである。

 ハンドボールの北京五輪アジア予選の再試合が、東京で行われることになった。男女とも日本と韓国が出場し、29日に女子、30日に男子の試合が予定されている。

 混乱の原因は、「中東の笛」だ。審判が、中東諸国に有利な判定をすることを指すハンドボール界の言葉だ。

 アジアハンドボール連盟(AHF)の本部はクウェートにあり、王族が会長を務めている。オイルマネーを背景に、AHFを実効支配し、審判をも意のままに動かすと言われている。

 審判が公平・中立であってこそ、競技は成り立つ。国の代表同士が戦う五輪予選では、なおのこと、ジャッジの中立性が求められる。

 だが、ハンドボールでは1990年代から、「中東の笛」がアジア地域で半ば常態化していた。男子はクウェート、女子はカザフスタンが出場権を得た昨年の北京五輪予選でも、日本や韓国に不利な判定が相次いだとされる。

 韓国は、60分間の試合で38回もの疑惑の判定があったとして、男子のクウェート戦を録画したDVDを国際ハンドボール連盟(IHF)の加盟国に配り、日本とともに不当性を訴えた。

 予選のやり直しというIHFの決定は、審判に問題があったと認定したことを意味する。再試合を、AHFではなく、IHFの直接管理の下で行うのも、AHFの運営では、試合の公正さが保てないと判断したからだろう。

 IHFには、不公正な運営を放置すれば、ハンドボールが五輪競技から外されるという危機感があるとも言われる。

 事態の収拾には、IHFの強い指導力が必要である。
 AHFの会長は、アジアオリンピック評議会の会長も兼務している。「中東の笛」が問題視されながら、“クウェートの独裁”を改善できなかったのは、他の競技にも影響が出ることを懸念して、日本や韓国が、なかなか強い態度に出られなかったためと指摘されている。

 クウェートなど中東諸国は、東京での再試合をボイコットした。スポーツ仲裁裁判所に、やり直し予選の無効を求めて提訴もした。AHFは27日に臨時の理事会を開き、日本と韓国を処分する構えを見せている。

 AHFの常任理事を務める日本は、韓国などと連携し、AHFの体質改善に力を注がなければならない。

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 ハンドボールのことは、ほとんど知りませんが、渡邊佳英日本ハンドボール協会会長はなかなか立派な人物に見受けられました。

 AHFの会合においても、「公正なジャッジのもと、素晴らしいゲームにしよう、という意見が聞けなかったのが残念」と語り、あくまで、IHFの決定に下位組織であるAHFは従うべきだ、という姿勢を崩しませんでした。

 スポーツとはそういうもので、公平な条件のもと、ライバルより実力で上位に立とうとする努力がスポーツの価値を高めます。この、「公正」や「実力」というものが抜けてしまえば、ただのボール遊びと変わりません。このトピックについては、AHF会長ばかりがクローズアップされるのですが、中東の人々がどのように考えているのか興味があります。

 結局、韓国には敗れてしまいましたが、良い大会にしようとするハンドボール協会には好感が持てますし、会場を埋め尽くした観客の姿がそれを物語っていると思います。

 残念だったのが「矢面に立った挙句、韓国にいいところを持ってかれて損をした」とか、「東京オリンピックのために、ハンドボールを犠牲にするのもありだったのでは」という意見が目についたことです。

 そもそも、損とか得とかを言うならば、スポーツなんかしないで経済活動に専念すればいいわけだし、経済市場ではあまり存在感のないハンドボールに熱心に取り組んでいること自体がバカ、ということになります。

 また、大きな大会のためには人気のない競技の不正は見逃せば良い、なんて思っているところで、真面目に競技をする気にはなりません。自分のベストを尽くして出した結果が状況しだいで歪められてしまうおそれがあるわけですから。

 いかなる競技であっても、いかなる結果になっても、ベストを尽くす環境を整え、公正に審判する義務がホスト国にあるべきだと思います。

 たとえハンドボールでオリンピックに行けなくても、または、オリンピックの自国開催を逃しても、渡辺会長のように公正明大な姿勢を貫くことのほうが長い目で見ても正しいと信じています。


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2008年1月29日火曜日

ロハスじゃなかったの??

もう「マクドナルド」は買わない=店長に不当な労働条件と東京地裁
LiveDoorNews【PJ】 2008年01月29日2008年01月29日07時29分 http://news.livedoor.com/article/detail/3485062/

東京地裁は28日、日本マクドナルドの「125熊谷店」(埼玉県熊谷市)の店長高野広志さん(46)を「権限のない店長を管理職扱いし、残業代を支払わないのは不当」とした判決を下した。2年分の未払い残業代や慰謝料などの支払いを求めた訴訟の判決で、「管理職に当たらない」として約750万円を支払うよう同社に命じた。

 99年に店長に昇格した高野さんは早朝から深夜まで調理や接客を行い、残業時間が月100時間以上に及ぶこともあった。同社は「店長は管理職だ」との理由で、名ばかりの管理職を盾に残業代を支払ってこなかった。

 店の運営がバイト主体の実態の中で店長の負担は大きく、過酷な長時間労働を強いられてきた。中間管理職への残業代をカットできるという経営者側の思惑が、店長という名前だけの管理職をつくり出している。

  店長を時間外手当の支払い対象外にする便法として管理職扱いするケースは、ファストフードやコンビニ業界を中心に深刻な労働問題を引き起こしている。紳士服大手のコナカ(横浜市)、家電量販店大手エディオン傘下の「ミドリ電化」(兵庫県尼崎市)など広範な業界にも広がっている。
 近年財界が導入しようともくろむホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用除外)が何をもたらすのか、この問題の延長上に見えてくる諸問題とともに、判決後の対応についても監視していきたい。

 この判決に対し即日、日本マクドナルドは「主張は正しいと認識しており控訴する方向で考える」と表明した。控訴を断念し、判決のすみやかな実行があるまで、すべての働く仲間に直ちにマクドナルドに対する不買運動を呼びかける。【了】

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 私の勤める会社でも、同様の事態が起こっている。むしろマクドナルドよりも深刻かもしれないともいえるが、表立って話題になることはないものの、「見ました?アレ。」みたいに、気の置けない同僚の間で話題になっていました。

 「若いうちは、一生懸命働いたほうが力になる」とか、「がんばって会社が大きくなれば、将来の生活が豊かになる」とか言われてきましたが、ウチの会社はそういって10年過ぎました。
 だらだら働くよりは、一生懸命働いたほうが自己の成長のために良いというのは確かだと思いますが、それが常態化することが健全とはとてもいえません。

 今だけがんばって、利益がでても、「もう十分利益が出るようになったから、来期からは無理をやめよう」という話になるはずがありまえんね。「さらにがんばれ」という話になるのは目に見えています。これは企業における偽装です。

 アフター5が充実していて、利益も出ている会社というのは、それがシステムとして成立しているのであって、無理をしないと利益がでない、という会社もまた、そういうシステムが成立しているのです。
 「ホワイトカラー・エグゼンプション」という言葉はまた聞かれなくなってきましたが、こういう現状を踏まえてもなお、「あれは『家族だんらん法』だ」などという戯言が吐けるのでしょうか。

 年収1000万円クラスの会社員を想定していたホワイトカラーエグゼンプションは、あれよあれよといううちに、700万円になり、最後には400万円になりました。日本のサラリーマンの平均年収は、たしか423万円くらいだと思いますので、過半数のサラリーマンは無制限に残業をしろ、という暴言に国が裏書をすることになります。

 環境問題では、LOHASだとか言いますが、労働環境こそ、"Life Style of Healthy & Sustainable(健康的で持続可能なライフスタイル)"を訴えるべきではないのでしょうか。


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退路を断つ

<橋下徹氏>大阪の府債発行認めない…職員給料削減も
(毎日新聞 - 01月28日 19:33) http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080129k0000m040056000c.html

 大阪府知事選で初当選したタレントで弁護士、橋下徹氏(38)は28日未明、大阪市中央区の事務所で、若菜英晴・毎日新聞大阪本社社会部長のインタビューに応じた。橋下氏は来年度予算編成に関して「原則、府債発行(借金)は認めない」と明言し、その分は歳出削減を行う考えを示した。また、府債返済を先送りして財政再建団体転落を免れていたことについても、一定割合を返済する方向に転換したうえで、現在目標としている10年度の単年度黒字化を前倒しする方針を示した。

 橋下氏は、府債発行を認めない方針について「相当無駄が削れると思う。どうしても必要な事業なら、職員の給料を削ってもらう」と述べた。削減対象として、人件費や建設事業費、中小企業融資などを検討するとした。

 また、府が10年満期で一括返済する府債に限り、10年目に100%借り換えして返済を先送りしていることについて、借り換え割合を総務省の指導に基づき58%に下げると断言。返済先送りを前提にした府の行財政改革プログラムを、新たな“橋下版”に作り変える意向を明らかにした。

 府の予算規模は約3兆円で、毎年、財源不足を補うため、2300億円程度の府債を発行(借金)し、さらに01年度からは府債返済に備えて積み立てた「減債基金」から毎年約1000億円を借り入れている。府幹部は「3300億円を一体どこから捻出(ねんしゅつ)するのか」と困惑を隠せない。【坂口佳代】
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当 橋下  徹  無新  1.832.857
  熊谷 貞俊  無新    999.082
  梅田 章二  無新    518.563
  高橋 正明  無新     22.154
  杉浦 清一  無新     20.161
  (確定得票)
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 ようやく大阪府知事選の結果が出ました。

 共産党の梅田さんがまともに見えるほどの、醜態を見せつつ、マスコミには「橋下氏にせまる」なんて持ち上げられていた熊谷氏にダブルスコアに近い圧勝でした。

 やれタレント議員だとか揶揄する論調もあるようですが、大阪府最大の問題である、自治労や解放同盟のヒモがついた熊谷氏が当選するようなら、本当に大阪は終わりだと思っていました。

 さて、選挙前のムーブなどで、3候補が論戦を行ってました。橋下氏がもともと出演していた番組だったからか、宮崎哲弥や勝谷誠彦からするどい突っ込みを入れられていました。(勝谷は民主びいきだからか)
 
それでも、3候補なりに「明るい大阪」を訴えていたわけですが、一番大事なのは、何を語るかよりも、何をするか、なわけです。この赤字にまみれた大阪で、どんなことができるのか。 現首長下では総務省を欺くように、借金の付け替えを行い、財政支援団体化を防いでいましたが、そんな状況にもかかわらず、財政再建を掲げ、「原則」の括弧つきですが、府債の発行をしないという方針を打ち出しました。

 選挙に勝ち、その上でさらに高いハードルを設けるのは大変な意気に感じます。正直、府債発行自体は悪いことではないと思います。だって、支出を減らすということは、投資も減らすという側面もあるわけですから。

 こういう発言をすることで、府債を発行しても、再建団体に転落しても、「だからダメだ」みたいな論調になるに決まってます。

 熊谷氏のように、「ダメだダメだ」を繰り返すのではなく、「必ずできる」と言葉で退路を断ち、府政に向かう橋下知事を応援していきたいと思います。


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2008年1月27日日曜日

テロとの戦い

オウムも上祐派も集金力維持、セミナーで計1億円
(2008年1月27日03時04分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080127-OYT1T00043.htm

 オウム真理教と、教団から分裂した上祐史浩元代表(45)の新団体「ひかりの輪」が、昨年4月から今年1月にかけて、それぞれ3回の「集中セミナー」を開き、参加料や教材購入費などとして計約1億円を集めていたことが、公安当局の調べで分かった。

 公安当局は、教団分裂前とほぼ同程度の集金力を維持しているとみて警戒している。

 上祐派は昨年3月に教団を離脱し、5月に新団体を発足させた。両団体は、昨年4~5月のゴールデンウイークと、8月のお盆の時期に、それぞれ集中セミナーを開催。また、この年末年始にも、両団体は約1週間の日程でセミナーを開き、教団は約2百数十人の参加者から3千数百万円を、新団体は70~80人程度の参加者から700~800万円を集めたという。

 公安当局によると、両団体が3回のセミナーで集めた資金の総額は、教団が約8000万円、新団体が約2000万円に上るとみられる。教団のセミナーで松本智津夫死刑囚(52)の説法ビデオを長時間、参加者に視聴させたほか、新団体は松本死刑囚が過去に行っていたものと同様の「聖地巡礼ツアー」を実施するなどしており、公安当局は両団体はいずれも松本死刑囚の影響下にあると見ている。

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 地下鉄サリン事件は、いうまでもなく悪辣で残虐なテロ行為でした。多くの死傷者を出し、日本の安全神話を崩壊させ、世界に化学兵器によるテロの恐怖を広めた事件です。

 首謀者であったオウム真理教の指導者、松本智津夫は裁判にかけられ、教団も解体させられましたが、果たして、オウム事件というのが何だったのかというのは、公判過程を経た現在においてもはっきりしません。

・TBS『ブロードキャスター』のコーナー「お父さんのためのワイドショー講座」によると、1995年の1年間にワイドショーがオウム真理教関連の話題を報じた時間数はのべ1272時間19分5秒。2位の阪神・淡路大震災の126時間8分53秒に約10倍の差をつけての首位だった。ちなみに、この年のワイドショー全体の67.8%をオウム真理教関連の話題が占めていた。

・あまりにも前代未聞な事件だったこと、オウム報道によって犯罪報道の比重が高まったために、犯罪が特に増えているわけでもないのに治安の悪化を感じる国民が増加し厳罰化など以後の刑事政策に影響を与えた。
(Wikipediaより抜粋)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E7%9C%9F%E7%90%86%E6%95%99

 事件についての報道が、これだけ多かったにもかかわらず、というよりも、枝葉の情報が氾濫した結果、本質的な総括がされないまま、いたずらに時を過してしまった感が否めません。

 狂信的カルトであってもカルトなりに内在する論理があるものですが、動機は国家転覆、といわれても、そこに至る過程がまだまだ明らかになっていない部分も多く、特に外事に関する部分、つまりロシアや北朝鮮とつながりを持っていたとされる一部報道や、当時、口封じと呼ばれた、オウム幹部の村井暗殺事件など、真相究明が進まない闇の部分が数多くあります。

 そして、かつてオウムの中心的存在であった人々によって、新たに名前を換えて活動する組織がこれだけの団体に成長しているというのはどういうことなのか。

 かつて、アメリカの騒擾を狙った9.11事件に対して、アメリカは戦争を行い、今も様々な地域に軍隊を送りテロに連なる組織への作戦を展開しています。

 それがいい、というわけではありませんが、同様にテロが行われた日本の対応とは天地ほどの違いです。

 裁判が行われ、上告中を含めて13人ものオウム関係者が死刑を言い渡されています。その一方で、いまだ、救済されない被害者にとっては、過去の事件ではありません
そして、過去の事件の解明が行われない限り、再びこのような凄惨な事件が繰り返されない保障はないのです。

参考ページ
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/aum.htm


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2008年1月26日土曜日

問題点の切り分けが大事

ぶっちゃけブログ 労組も本音で
【asahi.com】2008年01月26日
http://www.asahi.com/komimi/TKY200801170194.html

 残業代なし、正職員並みの仕事をしているのに、任期が過ぎれば即、解雇される。省庁で働く非常勤職員の相談を受け付ける労働組合のブログが、閲覧者を増やしている。率直につづられた「生の声」が共感を呼んでいるようだ。(アサヒ・コム編集部)

評判を呼んでいるブログ「がぶり寄り」 反響が大きかった「霞が関は『不夜城』だった!」  国家公務員一般労組のサイト内にあるブログ「がぶり寄り」。組合専従職員の浅尾大輔さん(37)が、組織拡大の担当になったのを機に始めた。呼びかける相手は、今まで労組とは縁のなかった非常勤職員たち。心がけたのは、誰にでも共感してもらえる「生の声」だ。

 内容は、労働問題だけでなく、大学時代の同級生と再会した話、おすすめの本など、多岐にわたる。「団体交渉をご体験ください(笑)」など、ブログならではの文体で書かれている。

 2004年8月の開設時、月100人ほどの閲覧者だったのが、今では1日800人が訪れるまでに成長した。

 組合のホームページでも様々な問題が取り上げられているが、どれも組織としての公式見解ばかり。浅尾さんは、個人の思い、悩みや喜びをそのまま公開しなければ、労働組合に関心のない人を引き寄せることはできないと感じていた。

 本音を思う存分、書くために、ブログは浅尾さん個人のページとして運営している。プロバイダーも個人で契約した。

 ブログが威力を発揮したのは2005年2月に載せた「霞が関は『不夜城』だった!」という文章。定時出社、定時退社の楽な職業だとみられていた公務員だが、末端の職員は深夜まで残業を強いられている実態を告発した。

 浅尾さんは霞が関を回り、各省庁のビルを撮影した。電灯が消えない様子を写真と一緒にすぐさまブログに掲載。「午前5時の霞が関」という見出しを付けた文では「財務省はやはり眠らないつもりのようだ」と報告した。

 「不夜城」はネット上で評判となり、様々なサイトからリンクが張られた。「一見、労働問題と関係ないところから、アクセスしてもらえるのがネットの一番の利点。機関紙を配る従来のやり方ではまねできないこと」

 ブログの名が知られると、相談のメールも増えた。今は月に5~6件ほど寄せられる。

 現在、国家公務員一般労組が問題視しているのは、1日ごとの契約として働かされる「日々任用」だ。「日々任用」は非常勤職員の雇用形態として横行しており、病欠や、上司に苦情を言っただけで解雇される危険がある。

 「まじめな人ほど、『国の大事な仕事をしているはずの官庁が、このままでいいのか』という疑問を抱いている」と浅尾さん。期待を寄せるのは、ネットの持つ「ワンクリックの自発性」だ。

 「住む場所も、仕事も違う、見ず知らずの非組合員が自分からアクセスしてくれる。従来の組合活動ではあり得なかったこと。若者も国会議員も納得するような言葉を発していきたい」

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 「組合」というと、どうも左寄りで、理想主義的で、しかも、暴力的なイメージをいだいています。これは一般的な意見ではないかもしれませんが、私の受けている印象はこういうものだと申し上げておきます。

 世間になにかを訴えていくためには、組織を作り、連帯し、賛同者と資金を増やして運動を繰り広げていかなくてはならないのでしょうが、その過程でヒモ付けされるいろんなものが、本来の主張だけでなく、「Aを通すための組織で、Aを通すために賛同していたのに、その組織がBを通すための組織と連帯していたので、大した説明もないままBの運動にも加担する結果となった」というのはどうもすっきりしません。はっきり言うとだまされたような気になってしまいます。そういうのが嫌で、多くの人はこういうものから距離をおいているのでしょう。

 国民的な支持を受けていた「薬害エイズ」の問題のときも、運動に参加していた小林よしのりはこういう危険性を指摘していました。

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『新・ゴーマニズム宣言スペシャル・脱正義論』発刊原告団勝訴後、運動に協力した学生ボランティアが、協力団体(共産党系)の影響で、薬害問題に限定したボランティアではなく、永続的な薬害運動、そして「戦争責任追及」など、無関係な問題にスライドさせられている事例を知り[3]学生が日常生活に戻らなくなる事を危惧し、作品内において「ボランティアの役目は終わった。後はプロフェッショナルの仕事であり、学生は日常へ復帰して、現場に出てプロの仕事をして、次の薬害を防げ!」と主張した。

また左翼運動家を「弱者にたかるハイエナ」と批判した。しかし支える会からは「ボランティアの役目は永遠に終わらない、二度と悲劇が起こらないよう行政をボランティアの目から監視すべきだ」と批判された。

14章問題・「支える会」との対立支える会との対立は、新・ゴーマニズム宣言14章[4]が掲載された事から起こった為、「14章問題」と言われる。読者を切り捨ててでも自らの主張を貫く、小林よしのりの姿勢を印象付けた事件であった。

ボランティアの中心となった学生は、14章が発表された時点から、団体の人間からの批判に晒され、小林に対しては、沈黙と批判で答える事となる。その後、小林は学生と対話するが要領を得ず、「私達は、良いことだけ言ってくれるよしのりさんが欲しかったんです(カナモリ日記)」などと言われ、決裂が決定的となる。

なお、HIV訴訟の代表川田龍平に原告団や学生達が民青などの左翼活動家に利用されていることを小林が問うと川田龍平は「知ってますよ」と答えた。小林にはそれが自分に対する悪意を見せたかのように感じられ、愕然としたという[5]。

代表辞任へ小林は学生に範を示す意を持って会長を辞任したが実質的な解任であった。ゴー宣と脱正義論で自省と「運動の正義」への批判を行い、薬害エイズ運動を沈静化させる道を選んだ。「学生は運動をやめて日常に復帰せよ!」と、運動家に乗っ取られた薬害エイズ運動を批判した小林を、ボランティアの学生達、弁護士らは激しく抗議した。
団体の広報誌では、小林よしのり批判の方が薬害エイズ批判よりも多くなってしまう状態となった反面、ゴー宣読者からは驚きと好意的な反応が帰ってきていた。小林はこの後、読者には「良き観客でいろ」と言い、その後の様々な活動でも読者に一定の距離を保つことを求め続け、現在に至っている。(wikipedia)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0%E5%AE%A3%E8%A8%80

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 ここの考えには賛同する一方、それに付帯するいろんなものをかたまりにして、二者択一をせまるのは、「楽なほうがいい」という人にとってはシンプルでいいのでしょうが、どうも乱暴な感じがします。結果として、そうであっても、できる限り、いろんな問題を自分の頭の中に取り入れてから、個別の問題いついての解答を出し、包括的に結論を出すほうが、自分の信条にマッチしています。

 ようするに、「郵政民営化に賛成なら自民党」とか「政権交代が必要だから民主党」という選択の迫り方は、問題を矮小化し、話題を限定化し、本当の意味での選択から目をそむけさせているだけに思います。

 さて、話題がそれましたが、組合活動というものは、「反権力」というキーワードを軸に様々なものとくっついてしまっているように思います。それの集合体として、保守VS革新、右翼VS左翼みたいなものとして捕らえられてしまうのだと思いますが、実際には、様々な個別の問題の集合体で、そこには「こっちは賛成だけど、この問題には反対」ということも多いはずです。

 公務員の問題についても、「税金の無駄遣い」といわれてもしょうがないことがいっぱいある反面、本当に夜遅くまでがんばって国民のためになることを進めている人たちはたくさんいるわけです。

 とかくマスメディアに左右されがちな世論ですが、そんな第四の権力を監視し、正しい選択をしていくためにも、思考停止することなく、幅広い問題に目を向け、自分の意見を持つことが大切だと思います。


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2008年1月25日金曜日

「立場の違い」では片付けられない

2児殺害公判 きょう論告求刑【YOMIURI ONLINE】
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news/20080124-OYT8T00811.htm

検察側 厳刑求める方針

 藤里町の連続児童殺害事件は25日、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で、殺人と死体遺棄の罪に問われた同町、無職畠山鈴香被告(34)の論告求刑公判を迎える。長女彩香さん(当時9歳)への殺意の有無が最大の争点となる中、検察側は、畠山被告が彩香さんに抱いていた嫌悪感が極限に達した犯行とし、さらにわずか1か月余りのうちに起きた近所の小学1年米山豪憲君(当時7歳)殺害の残忍性も指摘し、厳刑を求める方針とみられる。

■殺意の有無
 彩香さんの事件を巡り、弁護側は、彩香さんとの肌の接触が苦手だった畠山被告が、同町内の大沢橋の欄干に座っていた彩香さんに抱きつかれそうになった際、思わず左手で払った事故だったと主張。畠山被告は被告人質問で、「(彩香さんが)覆いかぶさった形になって怖かった」と説明した。

 畠山被告が彩香さんと2人で橋の上にいたのを、事件直前に車で通りがかった女性が目撃した証言があるが、殺害と結びつく直接証拠はない。畠山被告の弁護人は公判前整理手続きのさなか、関係者に対し、「彩香ちゃんの事件は何も(殺人の)証拠がない」と自信をのぞかせていたという。

 畠山被告は捜査段階で殺害を自供していたが、公判で否認に転じ、自白の任意性を争う展開になった。検察側は、地域住民や元交際相手らの証人尋問で、畠山被告が日ごろから彩香さんの育児を怠り、疎ましく思っていたとうかがわせるエピソードを引き出し、殺意が芽生えるまでの“序章”を浮かび上がらせた。

 さらに、畠山被告の被告人質問で、彩香さんが橋の欄干に座るまでのやり取りの不可解さも追及。魚を見たいとせがんだ彩香さんに対し、「(欄干に)上らないなら帰るよ」と言ったことについて、検察官が「帰らせようというより上らせようとしているふうだ」と指摘するなどし、矛盾点を突いた。

■自白の任意性
 また、検察官が怖くて不本意な供述調書にも署名したという畠山被告の主張に対し、検察側は、留置記録をつまびらかにし、畠山被告が「(検察官が)ネクタイが4日も同じで笑いをこらえるのが大変だった」などと語った内容を明かし、畠山被告の供述に一貫性がなく、信用できないとの印象づけを図った。

 弁護側が不同意としていた彩香さん殺害を認めた供述調書について、裁判長は取調官の証言などを基に、「任意性を害するような心理的動揺を与えたといえない」として証拠採用した。

■健忘の有無
 公判と同時並行で進められた精神鑑定で、担当した青森市内の医師は、彩香さんが橋から転落した際の畠山被告の健忘を認め、「転落直後に発生し、期間は直前直後の数秒間で、質的には重篤」と結論づけ、弁護側の主張に沿う格好となった。

 一方、検察側は、捜査段階に行った簡易精神鑑定をもとに、転落直後に記憶は失われていなかったと判断し、畠山被告が帰宅後に近所を尋ね回った行為が隠ぺい工作にあたるとしている。畠山被告と同じ団地の住民や小学校教諭が証人として出廷し、畠山被告が彩香さんが転落した直後、「(彩香さんは)出かける時に何も言っていなかった」「友人の家に遊びに行くと言っていた」などと説明を変遷させていたことを明らかにした。

 検察側は、豪憲君の両親らが「死刑しか考えられない」などと強い処罰感情を訴えていることなどから、2人の幼い命を奪った身勝手で理不尽な犯行と指弾する方針とみられる。弁護側は最終弁論で、彩香さんへの殺意を否認し、豪憲君殺害当時は心神耗弱状態だったとして減軽を求めるとみられる。

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 犯罪や事故の被害者遺族の心情に、「真実を明らかにしてほしい」という思いがあります。その他にも、「加害者に刑に服してほしい」「賠償してほしい」などという思いもあるでしょうが、それと比較しても、真実を欲する気持ちというのは大きなウエイトを占めるであろうことは間違いないと思います。

 そういう感情を実現するのが、正義であり、司法が果たすべき役割であろうと思いますが、残念ながら、そういう思いを満たすのには、いまだに不十分であるといわざるを得ません。

 犯罪を犯したものにも、弁護士を立て、弁論を通じて被告の利益を図るということはとても大切なことです。そして、その弁論がどんなものであれ、耳を傾けなければなりません。

 こうした審判過程をたどるのは、ひとつには被告の利益を守るということですが、もうひとつは、この過程を経ることで、真実を明らかにしていこうということだと思います。

 ところが、実際の公判過程を見ると、被告の身勝手な言い訳を垂れ流されることに終始し、真実はどんどん遠のいていってしまうように思います。

 被告の利益を最大に考えると、真実を隠蔽し、ミスリードし、違うストーリーとして上書きしたほうが良い、という弁護側の戦略なので、それを罰することはできません。

 罰することはできませんが、腑に落ちない思いが残ります。

 被告は反省の念を声高に訴えますが、本当に反省しているのならば、真実を明らかにする努力をして、審判に向き合うことが不可欠あると思います。

 そして、そういう姿勢がない被告の様子が、様々な裁判で現れるたびに、「あー、『反省の念』というのは減刑を求めるためにあるのだな」と、本来の反省とは違う意味のものに感じられてしまいます。これは「心神耗弱」とかも同じです。

 被害者遺族は、愛する家族を失ったばかりか、その行為の正当化や言い訳を聞かされ、二重三重の苦しみを味わうことになります。その心情を推し量ると、気の毒でなりません。

 加害者が、反省していようが、心神耗弱状態であろうが、更正の可能性があろうが、未成年だろうが、殺された被害者は絶対に帰ってきません。

 司法の厳罰化が進む、みたいな言い方がされますが、裏返せば、こうした形骸化した減刑のための儀式が、いかに遺族を苦しめ、国民に社会正義の不在を感じさせてきたかの証座であろうと思います。

 光市の事件以降、被害者遺族が積極的に発言する事件が増えてきました。そして、そういう事件が国民の関心を呼び、裁判のやりとりが、一般の感覚とズレていることを感じているはずです。

 司法全体は国民の感覚を受けて、変容してきているように思いますが、そういう空気に一番鈍感なのが、弁護士のように感じます。やたらと精神鑑定にかけたり、と減刑に汲々としますが、そういうパフォーマンスを繰り返し、稚拙な作文を朗読しているようでは、ますます厳罰を求める傾向は高まっていくのではないでしょうか。

 一般の感覚には通用しないような法廷戦術を駆使すれば、仮にどういう判決を受けるにしても、被告の名は卑劣な犯罪を犯したあげく、身勝手な主張で自分を正当化し続けた悪人という汚名を残すことになります。それが本当に被告にとって良いことなのでしょうか。


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差はないけど、違いはある。

外国籍を理由に在日3世の調停委員選任を拒否 大阪家裁
【asahi.com】2008年01月24日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200801240096.html

 所属する大阪弁護士会から調停委員に推薦された在日韓国人3世の林範夫(イム・ボンブ)弁護士(44)が、大阪家裁から外国籍を理由に選任を拒否されていたことがわかった。外国籍の弁護士に対する調停委員の選任拒否は03年以降、神戸家裁と仙台家裁に続き今回で5件目。同弁護士会は24日、「国籍による差別だ」として、大阪家裁や最高裁に撤回を求める文書を発送した。

 同弁護士会によると、林弁護士は昨年12月、離婚や相続のトラブルで仲裁役を務める家事調停委員の候補者として、日本国籍の弁護士78人とともに弁護士会から推薦された。だが、大阪家裁は今月15日、林弁護士について「最高裁に任命を上申しない」と回答。「調停委員は公権力の行使に携わる国家公務員で、日本国籍が必要」と説明したという。

 調停委員は、地裁や家裁が一般の応募者や弁護士会の推薦を受けた弁護士を選考し、最高裁が任命する。最高裁は任命基準に国籍を制限する決まりを設けていないが、調停委員会の命令が守られない場合に罰則があることなどから「公務員」との立場をとっている。

 林弁護士は94年に弁護士登録。交通事故や建築関連などの民事事件を手がけてきた。「これまでに培った知識や経験は調停委員でも生かせるはず。日本社会の一員でないかのように排除されて悔しい」と話している。

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 人権擁護法案といい、いろんな事案で「外国人に権利を認めないのは差別だ」という論調があります。ただし、なんでもかんでも、「日本人に認められてることは外国人にすべからく認めるべき」で、そうでないものはすべて「差別」だ、という論調はおかしくないですか。

 日本国籍を持ってない人と、持っている人という区分けは厳然としてあるわけで、区分けはあるのに区別しないなんていうのはおかしいと思いますよ。だって、違うんだから。

 差別は根絶されるべきで、人種によってそれが行われるのはおかしいのはもちろんです。

 ただし、問題とされているのは、人種ではなく、国籍であって、日本が無くなっても、頼れる何かがある人が、日本がなくなったら本当に困る人と同じ発言権があっていいのですか。日本を売って、その利益をのうのうと自国に戻って享受している人がいたらおかしいと思いませんか。この主張の行き着くところはそれを是とする世界です。

 もう死語ですが、居候が住まわせてもらっている人にあれこれ言いますか。まぁ、言っても良いけど、決断するのはその家族であって、「その条件は飲めないから、気に食わないなら、他所の条件の良い家を探してくれ」というのが普通じゃないですか。

 この日本国籍78人の弁護士というのはいったいなんなんでしょう。

 年配の人と話をすると、割と「反権力」というスローガンに憧れを持っている人は意外と多いです。永山則夫とかにシンパシーを感じたり、彼の著作に感銘を受けたという人の話を聞いて呼んでみたのですが、まったく説得力を感じませんでした。

 「時代の寵児」という言葉の通り、時流に乗って、思っても見なかった人にスポットライトがあたることがあります。しかし、普遍的な価値を持つかどうかは、その時代の潮目が変わったときにわかります。
 時代背景にかかわらず、一定の説得力を持つもの、なにかを訴えるものが普遍的な価値であり、時代の助けを借りなければ、意味を流布しえないものは、やはり、それだけの価値のものという判断をくださずにはいられません。

 一方で、その変化を頑なに拒み、あがいている人がいるのも事実です。

 そういう人たちが、この78人の弁護士、そして朝日新聞の姿に重なって見えてなりません。


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2008年1月22日火曜日

センセイさようなら。


【おくやみ】
河林満氏死去 作家
中日新聞2008年1月21日 11時57分
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008012101000261.html

 河林 満氏(かわばやし・みつる=作家)19日午後5時38分、脳出血のため東京都文京区の病院で死去、57歳。福島県出身。自宅は東京都昭島市拝島町3の10の5の708。葬儀・告別式は23日午前11時から東京都日野市日野本町3の6の19、宝泉寺会館で。喪主は妻幸恵(さちえ)さん。

 90年「渇水」で文学界新人賞受賞。同作のほか、「穀雨」でも芥川賞候補になった。
(共同)

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私は今、通夜に参列するために、日野駅近くで時間をつぶしている。

 河林先生との出会いは約1年前。

先週も、先生の行きつけの蕎麦屋で一杯やったばかりだった。その時は健康そのもの、無理にみんなをもう一軒つきあわせて、文学を肴に熱く語ったものだった。

 先生の代表作である「渇水」は水道局員の話。文學界新人賞を受賞し、芥川賞の候補にもなった。

 「水道料金未払い家庭の水道を止める」というのが仕事の主人公。退屈ともいえる日常の姿だが、そこに射す死の影と、急展開するストーリーにより、読むものに訴える。

日常と非日常は隣り合わせなのだと。

 無骨で、がさつで、酒飲みの先生は、いつも文学を語り続ける。時に厚かましく、時に押しつけがましいその姿は、文学に真っ正面からぶつかり、すべての世界を、文学の文脈を通してのみ知覚する先生の、人間としての優しさの現れだった。

熱っぽくて熱い。そして温かい先生は、その生き方を貫き通した。

ドイツの宗教学者、ルターは言う。

死は、一生の終わりではない。生涯の完成なのだ、と。

急逝した先生は、何を完成させたのか。

先生は何かを完成させた。

そして、その意味を考えるのは、残された私たちなのだと、勝手に思う。








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ひろいもの。

 麻生幹事長の"閣下降臨"と呼ばれた秋葉原での選挙演説がありました。(まあ古い話なんですが...) その中で、「日本が誇る3つの"J"」なんて話がありましたね。

J-anime
J-POP
J-Fashion

だそうです。まぁ、ジャパニメーションの功績は認めるとして、他の2つって...?と思ってましたが、世界は広いもんですね。こんな、リンクを見つけたので暇があったら見てみてください。

おススメはこの子です。ドイツ人だそうですが、なかなかうまい。



thinking: uhm ..is that the right text? ...uh
「こんな歌詞であってるのかしら?」とか

thinking2: uhm ..is that the melody text? ...uh
「メロディもこんなんでいいの?」

とか、「あっ、今ちょっとマズった」みたいな顔したりしてるのがとてもほほえましいです。

以下、コピペなので、コメントは僕ではありません。

中島美嘉の『桜色舞うころ』を歌う中島美嘉ファンのアメリカの女性(アメリカ合衆国) http://youtube.com/watch?v=pUiGgrQ08As
w-inds.のparadoxを歌うw-inds.ファンのフランスの少女(フランス共和国) http://jp.youtube.com/watch?v=Q-aR74524cM
Do As Infinityの『深い森』を歌う伴都美子ファンのアラビアの美少女(アラブ首長国連邦) ←オススメ http://jp.youtube.com/watch?v=MJJ47rutZJw
大塚愛の『金魚花火』を歌うやたらと上手いどこかの女性(不明)
http://jp.youtube.com/watch?v=FGsst92kdlo
後藤真希の『涙の星』を歌うルーマニアの黒人少女(ルーマニア) ←オススメ http://www.youtube.com/watch?v=Jfwf5hipt9o
モーニング娘。の楽曲の数々を1人で踊るアメリカの少女(アメリカ合衆国) ←オススメ http://jp.youtube.com/watch?v=TfdJ9M4gmrM
Verryz工房の『ファイティングポーズは・・・』を歌うVerryz工房ファンのイングランドの13歳の黒人少女(連合王国)
http://jp.youtube.com/watch?v=ONqBgaQoKl4
C-uteの『桜チラリ』を踊り歌うオダギリジョーファンのウェールズの少女(連合王国) http://jp.youtube.com/watch?v=TqCL65Qlzzc
宇多田ヒカルのFirst Loveを歌うアメリカの女性(アメリカ合衆国)
http://jp.youtube.com/watch?v=ea6uO8M9qGQ
C-uteの『大きな愛でもてなして』を踊る太めのカナダの女性(カナダ連邦) http://jp.youtube.com/watch?v=BG1AMqCeaL0
モーニング娘。の『女子かしまし物語』を歌い踊るモー娘ファンのスペインの女性達(スペイン王国) ← オススメ
http://jp.youtube.com/watch?v=d8D1JHdtows
RYUUSEIGUN by onitsuka chihiro
http://youtube.com/watch?v=Zvl9fnvXvh4&feature=related
浜崎あゆみのmomentを歌う降谷建志ファンの微妙に浜崎似の顔のセルビアの女性(セルビア共和国)
http://jp.youtube.com/watch?v=o1Qq0Z5towk
浜崎あゆみのForgivenessを歌うリヒテンシュタインの少女(リヒテンシュタイン公国) http://jp.youtube.com/watch?v=J17ebjdpNKs
浜崎あゆみのVoyageを歌うノルウェーのジャンキー風少女(ノルウェー王国) http://jp.youtube.com/watch?v=CE3VPYnZpRc
浜崎あゆみのDearestを歌うアメリカの黒人少女(アメリカ合衆国)
http://jp.youtube.com/watch?v=qKOvMiFGu4g
浜崎あゆみのjewelを歌うブラジルのカメラ目線の女性(ブラジル連邦共和国) http://jp.youtube.com/watch?v=_mkZ09L-aig
浜崎あゆみのDearestを歌うアメリカの少女―投稿者の生徒(アメリカ合衆国) http://jp.youtube.com/watch?v=ZMpyMhmKrvk
浜崎あゆみのNever Everをアカペラで歌うアメリカの黒人少女(アメリカ合衆国) http://jp.youtube.com/watch?v=fJghhwGOEGU
浜崎あゆみのNo more wordsを歌うカナダの女性(カナダ連邦)
http://jp.youtube.com/watch?v=NUnkmAvyOJA
浜崎あゆみのTeddy Bearを歌う玉木宏ファンのイスラエルの女性(イスラエル国) http://jp.youtube.com/watch?v=VMAgLg-Kojw

そういえば、ちょっと前にバーで飲んでて、フランス人と仲良くなって話してたことがありました。NATO軍で軍人をやっていたが、夢のために除隊して日本に来たそうです。

その夢とは、「武士になること」

「るろうに剣心」を見て憧れて来たそうで、「ヒテンミツルギリュウはドコでオソワルできますか」とか、劇中のキメ台詞らしいことを誇らしげに叫んでました。

元気でやってるといいです。


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2008年1月21日月曜日

言うべきことを言う。

地方が揮発油税の暫定税率維持を要請 国と地方の意見交換会
【産経ニュース】2008.1.2109:46
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080121/lcl0801210946001

 「国・地方の定期意見交換会」であいさつする全国知事会会長の麻生渡福岡県知事(中央)=21日午前、首相官邸 国と地方の「定期意見交換会」が21日午前、首相官邸で開かれ、3月末に期限切れとなる揮発油税の暫定税率維持を目指し、協力していくことで一致した。

 意見交換会では全国知事会の麻生渡会長(福岡県知事)が「暫定税率が廃止されると9000億円が減収になってしまい、地方財政に甚大な影響を与える。政府方針通り、税率維持をお願いしたい」と要請。これに対し、増田寛也総務相は「地方団体にも支援と理解をお願いしたい」と述べ、暫定税率維持で政府と地方が結束していくべきだとの考えを示した。

 暫定税率をめぐっては、税率維持を目指す政府が歳入関連法案(日切れ法案)の年度内成立を目指すのに対し、民主党は期限延長に反対しており、通常国会の焦点の一つになっている。

 福田内閣での意見交換会は昨年11月に続き2回目。政府側は増田総務相のほか町村信孝官房長官や冬柴鉄三国土交通相らが、地方側は全国知事会など地方6団体の代表が出席した。

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 「改革派知事」というのは昔から言われていた呼び方でしたが、その層がだんだん厚くなり、少しずつ大きな動きへと変わろうとしています。都道府県知事の地位は「大統領制」に例えられる非常に強力な地位なのですが、官僚主導のこの国にあって、また、県庁においても自治労のような、おかしな組織に侵食されながらも、ようやく国政に対してきちんと対話できるようになってきたのは良いことだと思います。

 「地方の時代」とか、「地方への権限委譲」とか口先で言っていても、その能力が地方になければ、お題目にしかなりませんから。

 さて、「さぁ、ガソリン国会だ」と息をまいてる人たちがいますが、道路を作るために集める税金は廃止にするが、道路は作り続ける、というのはどういう理屈なのでしょうか。予算の裏打ちのない約束は、"空手形"と呼ばれて相手にされないのが普通だと思うのですが、なんでそんなことで盛り上がっているのか、さっぱりわかりません。

 ついでに、町村官房長官からは「ガソリンを25円下げるかどうかだけで国民の信を問うのはテーマ設定が小さすぎる」とバッサリ。この人は、たまにすごくいい事をいいます。
(ちなみにこの人のお父さんは第2代北海道知事の町村金五氏です。)

 結局、全国の知事が求めているのは、自分の地方にきちんと予算が配分されることで、よくわからない人気取りのような党略のために、予算の根拠が不確かになるのは困るわけで、県の首長ならこういう発言をするのが当たり前です。

 ただし、今回の動きで好感を持ったのは、今までは、税金がほしい(つまり増税する or 減税はしない)というと、理屈を超えて批判がきます。「あの人は、弱者への配慮をしない冷酷な政治家だから・・・」みたいなやつです。理屈ではなく、感情で人格攻撃をするのはなにも、グリーンピースだけではないわけです。

 人気が気になる職業ではありますが、シビアなことも俎上に乗せていかないと、国が前進していきません。そういう意味では、国民に対しても言うべきことをきちんと言う政治家が増えたというのは良いことです。国民の側も、そういう発言に対して、目をつむるのではなく、きちんと俎上の問題に相対していかなければなりません。

 自治体の首長について、書くつもりでしたが、だんだんずれてきてしまいました。

 国政に比べ、話題性が乏しく、また、人気知事ではないところは知事の名前すら知らないことが多かったのですが、「歴代知事三〇〇人 日本全国「現代の殿さま」列伝 (光文社新書)」を読んだところ、なかなか知事というのも、特色があって面白く思いました。

 特に、町村さんもそうですが、現職政治家との連なりや、選挙による政策の変遷、地方地方が抱える課題などの経緯がわかり、地方のニュースを見る時にも、少し踏み込んだ見方ができるようになった気がします。おススメです。
 
 


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2008年1月20日日曜日

うちの芝生って青い?

日本人学校に現地生徒を本格受け入れ、規律教育に評価高くhttp://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080120i201.htm
【読売新聞】

 政府は世界各地の日本人学校で現地にいる外国人の子供を本格的に受け入れる方針を固めた。

 「規律を学べる」として日本式教育への評価が中東などで高いことを踏まえた措置だ。

 海外在住の日本人の子弟らを教育する日本人学校は政府の支援を受け、日本人会と保護者代表らによって運営されている。文部科学省によると昨年4月時点で、世界50か国・地域の計84校の日本人学校のうち、現地語と日本語を併用する「国際学級」を設け、現地の子供を受け入れたのは中国・上海やソウルなど23校だったが、人数は計98人にとどまっている。日本人の子供約1万9000人の0・5%に過ぎない。

 これに対し、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国は、2006年から自国の幼児を日本人幼稚園に入学させている。今後、入学者全員を現地の日本人学校の小中学部に進学させ、高校からは日本に留学する計画を進める。カタールは、自国の子供が日本式教育を受けられる学校の設立を日本に打診中だ。

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 自分を見つめるというのはなかなか難しいことで、自分を甘やかしたり、時には照れたりして、なかなか自分に正しい評価を下すことはできません。

 さて、ゆとり教育というものが見直されるべき、という論調がピークを迎え、ようやく政策の転換を迎えつつありますが、その一方で、「日本の教育が受けたい」という声があることに驚きを感じます。

 これは、UAEが日本の教育に幻想を抱いているのか、あるいは日本人が自分たちの教育制度の良さに気づいていないのか、興味はつきません。

 さて、この「ゆとり教育」に転換したときには、たしか、「日本の教育は詰め込みばかりで生きる力の育成につながらない」という自己反省に立って、ヨーロッパに大視察団を結成して大挙した記憶があります。

 そのころイギリスでは、教育レベルの低下を憂い、日本式の教育を取り入れたというニュースがありました。

 お互いに真逆なことをやっているわけですね。

 これもヨーロッパのどこかの国だったと思いますが、日本の治安制度は素晴らしいということで、「交番」の制度を取り入れ、治安の安定を図った国がありました。名前も"Koban"を使っているそうですが、その一方で、日本では公務員削減の波に乗って、不在交番を増やしていました。

 なかなかチグハグな話です。

隣の芝生が青く見えるのはよくある話です。でも、なんでもかんでも真似すればよいわけではありません。よく自分の考えや、立ち位置と相談することが大切です。

 なんの話かって。

 死刑とかクジラとか・・・。

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やっぱりヤクザなのか

人材派遣会社取り分 30%超【NHKニュース】http://www3.nhk.or.jp/news/2008/01/19/d20080119000015.html

 厚生労働省は、全国の人材派遣会社からの平成18年度の事業報告をもとに、派遣料金と労働者の賃金の額をまとめました。

 それによりますと、人材派遣会社に登録している労働者が1日8時間働いた場合、派遣先の企業から支払われる派遣料金は平均で1万5577円だったの対し、労働者に支払われた賃金は平均で1万571円でした。

 その差額は5006円で、派遣料金の32%にあたり、人材派遣会社の取り分が30%を超えていることがわかりました。 また、派遣会社の正社員が企業に派遣されて1日8時間働いた場合、人材派遣会社の取り分は平均で38%に上りました。

 これについて、大手人材派遣会社などでつくる日本人材派遣協会は、「保険料や教育訓練費などを差し引くと会社側の利益は3%~4%にすぎず、取り分の割合は妥当だ」としています。

 これに対して、派遣労働者でつくる労働組合は「会社側の取り分が多すぎるので労働者の賃金の引き上げが必要だ」としています。人材派遣をめぐっては違法な派遣が繰り返されるなど問題が相次いでいるとして、厚生労働省は派遣料金の公開などを求める新たな指針づくりを進めています。

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 格差社会が問題で、少子高齢化が心配で、日本の経済は三流になった。と言われる現在、なぜ目の前にあるこういう問題が、政治の世界などで話題にならないのでしょう。

 教育訓練を受けてない者が増えれば、貧困が広がり、また、国際競争力が落ちていくのは当たり前です。「国家は100年かけて人を養う」とは、昔の人はよく言ったものです。

 規制緩和の名の下に、派遣法の改正によって、大きく成長した派遣業界ですが、こうしてみてみると、企業に目先の利益を与えただけにしかなっていません。
ちなみに、ウィキペディあの「労働派遣法」のページには、派遣業の歴史について、次のように書いてあります。

 江戸時代に「口入屋」(手配師)なる名称で実質的に現在の労働者派遣業者が存在していた。俗に「人夫貸し」ともいう。ただし待遇は劣悪で派遣者を騙す場合も多く、世間からは「ヤクザ稼業」と見られていた。 日本で初めて現在の形での人材派遣業を採用したのは航空機業界である。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E5%83%8D%E8%80%85%E6%B4%BE%E9%81%A3%E4%BA%8B%E6%A5%AD

 まっとうにやっている人材派遣もいっぱいあるのはわかりますが、こういうニュースが日々出てくるようでは、現在に「ヤクザ家業」といわれてもしかたないように思います。

 年金しかり、制度で冷遇し、若者から希望を失わせるような社会にしてはならないと常々思います。
 一刻も早く、こうした中間搾取のような制度は規制をかけて、どの世代の人にも適正な生活が送れて、明日に希望が持てるようにしなければなりません。




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2008年1月18日金曜日

死刑制度について

ネットをぼんやりと漁っていたら、たまたま見つけてしました。

死刑廃止と死刑存置の考察・BLOG版
http://blog.livedoor.jp/aphros67/

Shinさんという方の、タイトルの通り「死刑問題」を扱っているサイトのようなのですが、考察が深く、例証が豊富で、話題の展開が豊かだったので、思わずぱらぱらと見入ってしまいました。

時間をみつけて、ゆっくりと拝見して、勉強させていただきたいと思います。最近のエントリーからの引用。

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捕鯨問題と死刑問題

(一部抜粋)
 昨年以来考えてきたことですが、どうもこの捕鯨問題と死刑問題というのは似ている気がします。何がどう似ているのか…ちょっと列記してみます。

1.残虐性の問題「捕鯨は残忍な行為である」
  → 「死刑制度は残虐な刑罰である」

2.個性の問題「鯨は高度な知性がある。」
 → 「死刑囚は芸術面・人間性において素晴らしい人たちがいる。」

3.科学的論拠の問題「鯨が増えているという科学的根拠はない。」
 → 「死刑に犯罪抑止力があるという科学的根拠はない。」

4.国際的潮流の問題「捕鯨は世界的に禁止されてきた。日本も見習うべき。」
 → 「死刑は世界的に廃止されてきた。日本も見習うべき。」

5.執行方法の問題「捕鯨砲による捕殺は鯨に酷い苦しみを与えている残虐な方法だ。」
 → 「絞首刑は死刑囚に酷い苦しみを与えている残虐な方法だ。」

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そのうち「捕鯨に携わる人たちの精神的負担は見逃すことはできない(≒刑務間問題)」とか「間違えて絶滅危惧種の鯨を捕殺することがあったらどうするのか(≒冤罪問題)」といった捕鯨反対論も聞こえてきそうです。どうでしょうか?なんとなく似ていませんか?
捕鯨問題と死刑問題で最も似ているなぁと感じるのは元々捕鯨大国・死刑大国の先進国が捕鯨反対・死刑反対を唱えているところです。


---------------------(中略)----------------------------
反捕鯨の歴史の欺瞞と、ヨーロッパ諸国との対比から、江戸時代の箱根の関所やぶりの刑罰における死刑制度の抑制的な運用について述べています。大変面白いので、ぜひ興味があるかたは、トラックバック元を参照してみてください。

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 このように日本では捕鯨・死刑とも謙抑的に実行されてきたわけです。これをいまさら野蛮と批判する欧米の姿勢に強い疑問をもちます。何故死刑や捕鯨は野蛮なのでしょうか。懲役刑が野蛮ではないという根拠、家畜屠殺/スポーツハンティングが野蛮ではないという根拠はどこにあるのでしょうか?そこに白人文化優越主義に裏打ちされたレイシズムを見出してしまうのは被害妄想なのでしょうか?欧州は自国の死刑復活派を抑えるために他国にまで死刑廃止を強要しているのではないかと考えてしまいます。死刑=野蛮という考えは価値観の問題です。私は死刑廃止論を否定しませんが、欧州各国が主導する死刑廃止には絶対に反対します(ちなみに私個人としては鯨肉は大嫌いです。捕鯨禁止になったとしてもまったく困りませんが)。

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捕鯨問題については、"スーパーホエール"という言葉に代表されるように、クジラを無条件に他の動物と異なり、保護、愛護されるべき動物である、とするような言説に欺瞞を禁じえません。Shinさんの「野蛮か否か」という考察に賛成です。

水産庁のホームページでは以下のように、そういう姿勢に対して強い批判をしています。

IWCは、今後科学に基づき決定を行う機関に立ち戻り、また適切に合法な捕鯨活動を認めることにより、管理機関としてのIWCの有効性・正当性を再度確立する必要がある。また、無条件にいかなる捕鯨にも反対であるとの立場をとる4カ国(米、英、豪及びNZ)については、そもそも条約の目的と矛盾する言動であるため、IWCとしてこれらの国々に脱退勧告を行う等、強い態度をとる必要があると考えられる。(水産庁 http://www.jfa.maff.go.jp/whale/indexjp.htm ←おススメです。)


これらの国の主張は、自分たちの思考停止した価値観を押し付け、一切の議論を受け付けようとしない、偏った主張と言わざるを得ません。

 さて、死刑制度については、私も「死刑存置派」です。

 自分の大切な人が殺されたら、間違いなく犯人に死刑を希望すると思うし、Shinさんの捕鯨になぞらえた死刑廃止派の「他の国もそうだから」とか、「死刑囚にも優れた人もいるから」とか、「死刑は残虐だから」といった理由で「死刑を回避すべき」と思えるとは思いません。

 「自分の大切な人が殺されたけど、こいつを死刑にしても、犯罪の抑止になるとは思えないから、死刑にはしたくないなあ」と思う人がいるのでしょうか。

 また、死刑制度は、「共同体からの究極的放逐」というのが一つの目的であろうと思いますが、自分の大切な人の死をないがしろにして、加害者の人権保護に汲々とするような共同体のどこに正義を覚え、信頼を置くことができるのでしょうか。

 ということで、私が死刑存置に賛成なのは、廃止派の論調にシンパシーを感じないこと。また、これは刑法全般に言えることですが、刑事裁判において、被害者、または被害者遺族が蚊帳の外に置かれているように感じることです。

 これは、評論家、宮崎哲哉氏の論調に近いのですが、死刑の成立の背景には「被害者側の報復権の廃止」と対となる部分があると思います。つまり、被害を受けた者が、受けた被害に対する報復をする権利を行使する代わりに、国家にその権利を委託して、社会的に公平感のある刑罰を与えることで、正義ある社会を構成しようという考えです。

 報復がまかり通る社会が良い社会とは思いませんが、そういう側面を無視して、一方的に加害者の権利拡大を求めたり、「加害者の更正の余地」をことさら大きく取り上げて、最高刑の水準を下げることには絶対に反対です。

 成人犯罪の殺人犯の再犯率は平成15年で41.1%です。死刑を廃止することで、死刑囚の命を救えるかもしれませんが、まさにそのために、失われる命があるとすれば、どちらを救いたいですか。


宮崎氏の死刑論についてはコチラ


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2008年1月17日木曜日

自衛隊さんありがとう。

自衛隊 阪神淡路大震災復興支援


震災に襲われた神戸の上空映像--------テロップ------------------

阪神大震災から11年

死者    6433人重軽傷者 43792人10万棟以上の住宅が全壊7千棟以上が全焼被害額 約10兆円

そして

自衛隊による復興支援は大いなる成果を上げた。

--------テロップここまで--------------

【ある被災地で。】

(市民代表)自衛隊の皆さん。私たち東灘市民、20万の市民は命を救っていただきました。食事をもらい、そしてまたお風呂をいただき、本当に長い間ありがとうございました。群馬師団がただいまから隊長以下、群馬のほうに帰ります。みなさん。どうか、拍手で送ってください。どうもありがとうございました。

敬礼で答える自衛官。

市民たちの大きな拍手。遠くには「自衛隊さん ありがとう!!」という横断幕を掲げる人の姿も。

自衛隊車両を拍手と「ありがとう」という言葉で見送る市民たち。

【別の被災地。】

(市民代表)・・・で、本当によかったと思います。それから、この機会を通じて、自衛隊のみなさんが、本当に身近な自衛隊と実感しました。今までは、自衛隊と思ったら、怖いなと思っていました。しかし、今もこういうことをふまえて、みんなの(ための)、国民のために一つ、本当にみんなの、市民一人ひとりの自衛隊だなと(思いました)。これからもがんばってください。みなさん、ありがとうございました。

拍手と謝辞に敬礼で答える自衛官。「笑顔で見送ってくれや」と子供たちと別れを惜しむ自衛官の姿も。

ここでも大きな拍手につつまれて、撤収する自衛隊車両と手をふる自衛官。

【また、別の被災地】

(市民代表)阪神大震災が1月17日に起こり以来、我々は被災者として困っておりました。その間に、自衛隊の方々が救援に来ていただきまして、大変うれしく思っています。もちろん、食料の供給もしていただき、それ以上に私たちの精神的な支えとして、いろいろとお話を聞かせていただいたことを、大変感謝しております。特に、スヤマさんニノミヤさんイデさんには大変お世話になりました。今日でお別れということになりますが、私たちは神戸の再建をしなければなりません。ぜひ、また機会があったら神戸の方にきてください。どうもありがとうございました。

(自衛隊代表)短い間でしたが、我々としては何もできませんでしたが、神戸の再興を群馬の空に祈っています。なにかあったらぜひ呼んでください。必ず飛んできます。どうも2週間ありがとうございました。

涙ぐみながら、答辞を行い、敬礼。市民のなかには涙ぐむ姿も。

(市民代表)子供を代表いたしましてノウミ君より、お礼の言葉をいただきたいと思います。

(若者代表)若者の代表として1つだけ言いたいことがあります。これから僕らがこの神戸を立て直していかなければなりません。その後ろを押してくれたのは自衛隊の人たちです。長い間ありがとうございました。

涙を抑えられず、感謝の意を述べたあと、自衛官と握手し、抱き合う。その後、市民たちが自衛隊の下に集まり、三々五々握手や抱擁を交わして感謝の言葉を述べる。

撤収に拍手し、「ありがとう」と声をかけて車両が見えなくなるまで手を振る。

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「チャンネル桜」という保守系の番組を作成する会社が2年前に放映した映像です。

神戸が被災して13年が経ちます。震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。



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2008年1月16日水曜日

中の人にはわからない

福島・社民党首は「極左」 自民の一部「極右」なのか
【J CASTニュース】2008/1/15
http://www.j-cast.com/2008/01/15015574.html

自民党の太田誠一衆院議員(福岡3区、元総務庁長官)が、地元・福岡で開かれた会合で、社民党の福島瑞穂党首を「極左系の弁護士」呼ばわりしたとして、社民党が怒っている。「抗議や謝罪要求をするか検討中」とのことだが、一方の福島氏も、自民党の一部を「極右」と呼んだ過去もあるのだ。どうやら「お互い様」の面もありそうだ。

「あまりにも常識を欠いています」

ウェブ日記には「自民党は、極右政党と保守リベラルが混ざってる」記載 毎日新聞が2008年1月14日に報じたところによると、太田氏は1月13日、自身の「新春の集い」であいさつし、テロ対策について触れる中で、「(我が国では)極左系の弁護士もたくさんおり、国会議員になっている。どこかの党の党首になっている」などと述べ、会合終了後の毎日新聞の確認取材に対して、党首のことは「福島瑞穂氏だ」と述べたという。

同紙の記事には、社民党福岡県連の豊島正章幹事長の
「党首に対し、極左、すなわちテロリストのイメージをあおるような発言は断じて許すことができない。社民党もテロ撲滅に向けて、全力を挙げており、国民に著しい誤解を与える」という批判コメントも紹介されている。 豊島氏によると、発言は毎日新聞の記者からの取材で知ったといい、J-CASTニュースに対しても、

「(福島党首は)思想的には左寄りなのでしょうけれど、私たちの党首を『極左』と呼ぶというのは、あまりにも常識を欠いています」とコメント。今後の対応については、

「もちろん東京の本部には報告しますし、県連としての対応を議論しているところです。単に抗議にとどめるか、謝罪要求までするか、あらゆる可能性を検討しています」とのことだ。

ウェブの日記で「自民党は、極右政党と保守リベラルの混合」 すっかりおかんむりの様子だが、ネット上には「社民党が人のことを言えるのか」との声もささやかれている。やり玉にあがっているのが、福島党首がウェブサイトで公開している日記「福島みずほのどきどき日記」の06年1月15日付けだ。各野党のスタンスについて問題提起する内容で、ヨーロッパ各国の政党について

「極右政党と保守リベラルの政党は、全く一線を画している。一緒になることは、ない。そして、社会民主主義を実現する社民党があり、緑の政党などが、きちんと一定の役割を果たしている」と述べた上で、その逆の事例として、日本の国内情勢について、このように書いたのだ。

「ところが日本では、自民党は、極右政党と保守リベラルが混ざり、かつ、はっきりと民主党は、社会民主主義政党ではない」 いわば、自民党の一部が「極右勢力」であることを示唆した形だ。
J-CASTニュースでは、太田氏の事務所に、今後の対応についてコメントを求めている。

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 社民党という政党はどこに向かっているのでしょうか。こういう政党がいまだ活動していること、少数とはいえ、国会において議席を獲得していることに驚きを禁じえません。

 社民党自体は、社会党崩壊の流れの中で取り残された、左巻きの色濃い連中の所帯なので、極左と呼ばれてもあまり違和感がないように感じますが、中の人にとっては、「自分たちの考えが真ん中」ということなんでしょうね。

 先日、ある人の薦めで、大江健三郎の「セブンティーン」という小説を読みました。さわやかなタイトルとは裏腹に、左巻きの御大、大江健三郎の電波飛びまくりな、刺激的な作品でした。

 1960年に日本社会党(つまり社民)の党首、浅沼稲次郎を暗殺した山口二矢という右翼少年の、犯行にいたるまでの過程を書いた作品です。(ちなみに犯行自体を描いた「政治少年死す」という作品は物議を醸しすぎて出版されませんでした。興味がある人はコチラ)もともと左的な思想を持った少年が、自分の胸のうちにある劣等感や、若さゆえの焦燥感から右翼に転向し、もてはやされてホルホルする、という話で、ノーベル賞級の文章力で、己の思想信条に反するものをここまで貶めないと気がすまないのか、と大作家様の背負っている業に恐ろしさを感じました。

 で、劇中に右翼と呼ばれる人たちの考えなどが描写されているわけですが、「軍隊を文民が管理するなんてとんでもない。議会から取り上げ、統帥権を復活させるべきだ」などと、ネット右翼もびっくりな思想を開陳するわけです。
 まさに、「極右」とはこういう考え方のことを言うのでしょうね。

 少し前に、中川元幹事長(酒)が「原爆保有についても議論する必要がある」発言でものすごく叩かれていました。それこそ極右と言わんばかりに。 でも、「危険な思想だから圧殺するべきだ」ということなのでしょうか。その方がよっぽど危険な思想です。

 そういう危険性から目を背けても非難する姿勢、または、そういう動きをなし崩し的に許容してしまう風土があるとするならば、我々の住むこの世界は、全体的に左翼的言説に影響されたものであるのかもしれません。

 自分の立っている立場は常々センターだと思い勝ちですが、そういったことを時に疑い、マヒしないようにしなければいけません。



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2008年1月15日火曜日

日本語と日本

外国人滞在、条件に日本語能力 政府検討、管理強化にもhttp://www.asahi.com/politics/update/0115/TKY200801150134.html
【asahi.com】2008年01月15日12時15分

 政府は、日本に長期滞在する外国人の入国と在留の条件として、日本語能力を重視する方向で検討を始めた。外務、法務両省で近く協議を始める。高村外相が15日の閣議後の記者会見で明らかにした。少子・高齢化によって単純労働者が不足し、財界を中心に外国人労働者受け入れ拡大を求める声が強い一方、外国人とのトラブルも起きていることから、支援と管理両面の強化が狙いとみられる。

 すでに政府は外務、法務など関係省庁で構成する「外国人労働者問題関係省庁連絡会議」を立ち上げ、06年12月、日本語教育の充実や、「在留期間更新等におけるインセンティブ」として日本語能力の向上を盛り込んだ「生活者としての外国人に関する総合的対応策」をまとめている。

 今回協議を始める理由について、高村氏は「日本で生活する外国人にとって日本語ができることが生活の質を高めるために大切であり、日本社会のためにも必要である」と述べ、双方のメリットを強調した。協議は当面、外務省外国人課と法務省入国在留課の課長レベルで進められる。

 ただ、今後の議論によっては、日本語の能力によって査証(ビザ)の取得や更新などが制限される可能性がある。

 これに対し、高村氏は「肯定的な部分と否定的な部分と両方あるから、検討しようということだ。やりすぎにならないように、やるべきことはやる」と説明。法務省幹部は「すべての人に日本語能力を課すことで、貴重な人材が日本に来ることができない可能性もある」と課題を指摘する。

 外務省によると、愛知や群馬、静岡の各県などで日系ブラジル人ら長期滞在型の外国人労働者が増える傾向にある。その一方、社会保険の未加入問題や学齢期の子どもの未就学問題も深刻化。行政として対応を迫られている。

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 外国人の受け入れの問題は、今後さらに議論を深めていかなくてはならない分野です。このニュースで脊髄反射的に差別を想起する人は、現実と未来とをきちんと見つめる必要があると思います。

 外国人による犯罪は年々増加の一途を辿っています。よく、「最近は少年の凶悪犯罪が増えている」なんてことをしたり顔で語る人がいますが、実際の統計では少年の凶悪犯罪件数は減っていて、その代わりに増えているのが外国人犯罪です。

 いかにマスコミが少年犯罪を煽り立て、実際の凶悪犯罪に目をつぶっているかのということでしょう。珍しい犯罪こそ、ニュース性が高いという理由で大きく取り上げられ、ありふれた犯罪であれば、そのまま淡白に報じられるだけの、現在のマスメディアの報道から、本当の世の中の有り様を理解するのは至難の業です。

 大事な点は、これから間違いなく外国人が増加していくという現実です。

 これは、単に「問題だ!」ということではありません。

 外国人をうまく受け入れていくことで、日本という国がさらに発展するかもしれませんし、豊かになるかもしれません。

 逆に言えば、うまく受け入れができなかった場合、日本という国が衰退し、日本に住む人々が不幸になるということです。

 では、どうやってうまく受け入れていくかという議論の一つが、「日本で暮らして欲しいと思う人を受け入れる」というものです。なんでもかんでも受け入れれば良いわけではありませんね。当たり前です。

 海外に目を向ければ、所得に制限を課したりと様々です。(ようは、自分の国に金を落としてくれる人に滞在許可を与えるというものですね。)

 そこで、日本では、日本語が話せることを一つの目安にするというのも、一つの見識であると思います。なぜなら、日本は「和をもって尊しとなす」国ですからね。

 「金持ちなら受け入れる」とか、「インテリなら受け入れる」とか、そういうほうが良い。という意見もあるとは思いますが、コミュニケーション能力を目安にするというのは、日本という国の「調和」と「協調」というテーマをアピールできるのではないでしょうか。

 もちろん、日本語ができないのは駄目ということではありません。短期滞在の旅行者などは、言葉の壁を意識させること無く日本文化を味わってもらえるように努力するべきです。そういった意味では、日本人の外国語教育も大切でしょう。

 しかし、何年間にも渡る長期滞在を目的としながら、最低限レベルの言語もしゃべれないというのであれば、逆に違和感を覚えて当然とも言えます。

 大切なのは、国柄です。

 何が、日本を日本たらしめているか、です。

 「話し合いで解決しましょう」なんていう相互理解と融和を是とする国は良い国だと思いますよ。





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耳障りに良い言葉がカンに障る。

「3月末まで成立させない」 ガソリン税で民主・山岡氏http://www.asahi.com/politics/update/0113/TKY200801130147.html?ref=rss
【asahi.com】2008年01月13日21時35分

 民主党の山岡賢次国会対策委員長は13日、大阪府豊能町で講演し、ガソリン税の暫定税率延長を盛り込んだ租税特別措置法案について「何としても(期限の)3月までに成立をさせない。そうすれば、自動的に(ガソリン代が)下がる。下げたものをまた上げるなどと(与党が)言ったら、解散に持ち込んで国民に信を問う」と明言した。

 一方、社民党の日森文尋国対委員長は同日のNHK番組で「暫定税率は廃止する方向で検討し、(党として)そういう結論を出したい」と同調する姿勢を示した。共産党も撤廃の方針で、民主、共産、社民3党の足並みがそろう方向となった。

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 「どんな現実があっても、理想を追い求めるのが『革新』。現実を見据えて、理想を着地させることを一義に考えるのが『保守』」みたいなことを何かで読んだことがあります。

 「安易に妥協しない」とか、「自由や平等、平和といった普遍的な考えをお題目にしない」という意味では、もちろん大切な役割だと思いますし、実際、弱者への目配りという点では、革新勢力というのは大きな意義があるものだと思います。

 しかし、そういう一つ一つの考えが、善意からくるものであっても、それが運動体に堕した時に、なにか汚れたものに感じてしまうのは私だけでしょうか。

 現在の原油高は、庶民の生活を直撃し、これからますます生活が厳しくなっていくことは辛い事ですが、たまたま、参議院第一党になった時期にでてくる問題を端からサボタージュするようなことをする政党が良い政党だとは思えません。

 インド洋の給油しかり、このガソリン税の問題しかり、真正面から議論するのではなく、たな晒しにして、政策を協議すべきカウンターパートに対して、嫌がらせを繰り返しながら、理想を求めていくという手法には疑問を呈さずにはいられません。

 もちろん、密室の中でずぶずぶの妥協を繰り返しながらやってきた、古い自民党への怒りというのもあります。

 しかしながら、税制のあり方という大切な問題を、一時の人気取りのために利用されるのは気持ちの良いものではありません。ここで一気に減税を行えば、プライマリーバランスの均衡は先送りになり、結局我々の世代や、次の世代が重荷を背負うことになります。

 ことガソリン税を問題にするのであれば、安倍晋三が道筋をつけようとしていた一般財源化をなぜ見殺しにしたのか。

 年金と同じで、今の生活も大事ですが、「将来に渡っての安心」というものが保障されないのであれば、明るい希望ある社会の実現が託せるわけがありません。

産経新聞の岩崎慶市氏がキレの良い評論を書いていたので、長いのですが、引用させてもらいます。

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【岩崎慶市のけいざい独言】「25円値下げ」という甘言http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080114/biz0801141205001-n1.htm

 予想されたこととはいえ、今年度末に期限がくる道路特定財源の暫定税率をめぐる与野党の議論には半ばあきれてしまう。折からの原油高騰も利用して、まるで人気取り競争のようだ。

 「ガソリンは暫定税率廃止で1リットル当たり約25円安くなります」

 仕掛けるのは参院第1党の民主党である。原油が一時、1バレル=100ドルの声を聞き、ガソリンが1リットル=150円前後まで値上がりしたとあって、一部マスコミまでがこれを煽(あお)る。そして18日開会のねじれ通常国会で大きな焦点となった。

 ガソリンにかかる揮発油税や自動車重量税などの暫定税率は本来の税率の倍だから、これを廃止すれば民主党のいう通りになる。だが、問題はそう簡単ではあるまい。

 そもそも道路特定財源問題は一般財源化に端を発する。国・地方合わせて5・6兆円に上る財源を一般財源化すれば、無駄な道路建設を防ぎ財政再建にも役立つからだ。一部を環境税に組み替えることだってできる。

 遺憾ながら政府・与党の来年度税制改正案は暫定税率は維持したものの、一般財源化は完全に有名無実化した。悲しいことに、民主党案はこれに輪をかけてひどい。

 全額一般財源化するとしながら、指摘したように暫定税率は廃止する。減税額は2・7兆円に上るのに、財源の手当てはない。このまま国会で激突したらどうなるのか。

 予算案は衆院で可決すれば年度内に自然成立するが、租税特別措置法改正案は別だ。参院で店(たな)ざらしになると、新年度の歳入に不足が生じ予算執行に支障が出る。衆院で再議決するにしても、一旦(いったん)はガソリンが下がるから混乱は必至だ。

 民主党の狙いはそこだろう。あきらかに総選挙を意識した戦術である。自民も自民で「暫定税率を廃止したら地方の道路予算が9000億円不足する」と、選挙向けの発言を繰り返す。

 この論戦からは、一般財源化の意義のかけらも見いだせない。そして、税が高いと文句をいうドライバー諸氏にも少し物申しておきたい。

 揮発油税は昨年第1四半期現在で、完全な車社会の米国よりは高いが、英、独、仏の半分程度である。さらに欧州は付加価値税が高率だから、ガソリンは日本よりはるかに高くなる。

 大体が25円値下がりしたところで家計にどれほどのプラスなのか。目先の甘言に飛びつき、別の大型増税と混乱を誘発したら、元も子もあるまいに。
(論説副委員長)



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2008年1月13日日曜日

杞憂だと良いですが・・・

台湾立法委選大敗の民進党、総統選候補の謝氏が代理主席にhttp://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080113i114.htm?from=main1
(2008年1月13日23時35分 読売新聞)

 【台北=吉田健一】12日投開票の台湾立法委員(国会議員)選で大敗した与党・民進党は14日、臨時の党中央執行委員会を開き、同党の総統選候補、謝長廷元行政院長(首相)(61)を党代理主席に選出する。

 陳水扁総統が立法委選敗北の責任をとって党主席辞任を発表したことを受けたもので、同党は謝氏の陣頭指揮の下、3月22日の台湾総統選挙に向け、党勢立て直しに全力を挙げることになる。

 中央通信によると、謝氏は13日、国民党単独で立法院(国会)の3分の2以上の議席を占めた選挙結果を「民主主義発展の危機」と評し、党主席就任を引き受ける意向を明らかにした。

 謝氏は同日、「総統選の全責任は自分が負う。もし敗れれば、政界を引退する」と語り、背水の陣で総統選に臨む考えを強調した。

 かつて市長を務めた民進党の地盤・高雄で同日夜に開いた決起集会でも、集まった5万人以上の支持者を前に、「台湾の民主のためにも勝たねばならない」と語った。

 同党では、総統選に向け、立法院の多数を一党が抑える「民主主義の危機」を訴えて世論喚起を図り、浮動票取り込みを狙う戦略を取ると見られる。

 今回の立法委選では、国民党が定数(113議席)の3分の2を上回る81議席を獲得、民進党は27議席にとどまった。投票率は小選挙区で58・5%と過去最低だった。

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 台湾はどうなってしまうのでしょうか。

 中国が虎視眈々と狙っている台湾島。最近では地球儀やら、福田首相との会談にいたずらをしたりやらと、台湾島の帰属のための既成事実を積み重ねようと必死な中国がいます。

 きな臭く、常に反日的なポーズをとり続ける北東アジアにあって、親日的なメッセージを送り続ける台湾に親近感を覚え、独立を応援してあげたい感情があります。

 日本でも有名な李登輝前総統をはじめ、評論家の金美齢氏などの活発な台湾独立運動を目にするにつけ、大国中国に向こうを張って、小さいながらも背水の陣でがんばっているものだと思っていましたが、外省人主体の国民党が議会第一党を占めてしまうとは、独立派にとっては本当の正念場でしょう。

 台湾の近代は実に不幸といっても差し支えない、苦労の歴史の積み重ねです。 残念ながら、日本も、そんな台湾に対して、思い切った支援をできずにいますが、このまま見過ごしてしまってよいのかどうか。杞憂かもしれませんが、台湾の次は尖閣諸島。そして、沖縄という、あまり考えたくない領土野心があるのではないかと心配になります。

  私が、ボストンを旅した時に、フリーダム・トレイルという場所にあった記念碑が心に残っています。

それは、

 彼らが共産主義者を弾圧した時、私は不安に駆られた。だか、私は共産主義者でなかったので 何もしなかった。

 次に彼らは、は社会主義者を弾圧した 私はさらに不安を感じたが 自分は社会主義者ではないので 何もしなかった。

 やがて彼らは、学生、新聞、ユダヤ人と次々に弾圧の輪を広げていった。その度に私の不安は増したが それでも私は何もしなかった。

 ある日 ついに彼らはは教会を弾圧してきた そして私は牧師だった。だから行動に立ち上がったが、すでに遅かった。

 マルチン・ニーメラー(1892.1.14~1984.3.6)


 彼らとは、もちろん、ナチスドイツのことです。

 台湾が平和でありますように。



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2008年1月12日土曜日

烏合の衆、ってこういうこと?

石原都知事、北京五輪開会式に出席へ=中国紙
過去には「ボイコットすべき」と発言

 中国共産党機関紙「人民日報」系の国際問題専門紙「環球時報」は11日、日本メディアの報道を引用し、かつて「北京五輪をボイコットすべきだ」という発言をしたことがある東京都の石原慎太郎知事が、今年8月8日午後8時に開幕する北京五輪の開会式に出席する予定だ、と報じた。
 石原都知事は、1937‐38年に旧日本軍が中国人約30万人を虐殺したとされる「南京大虐殺」を「中国人たちがでっち上げた事件」とするなど妄言を繰り返し、中国人たちの怒りを買っていた。北京五輪についても、2005年に「ヒトラーが主導した1936年のベルリン五輪と同じだ。ボイコットすべきだ」と述べた。
 そんな石原都知事が北京五輪の開会式に招待されたのは、最近の日中両国の雪解けムードと相まって、彼の中国に対する態度が180度変わったためだ。昨年4月、東京都知事に3回目の当選を果たした後、16年の夏季五輪を東京へ招致するために奔走する中で、「北京がオリンピックを成功裏に終えられるよう願っている」と数回にわたって発言し、周囲を驚かせている、と産経新聞が報じた。

 石原都知事のこうした「変貌ぶり」について、日本のネットユーザーの間では「東京と北京がこれ以上いがみ合うことがないと思うと嬉しい」「北京に行ってまたトラブルを起こすのではないかと心配だ」といった様々な反応が見られる。
 一方、中国のネットユーザーの間では、「なぜ態度が変わったのかは分からないが、まず南京に連れて行って謝罪させたい」という否定的な意見が多い。だが、環球時報によると、北京五輪組織委員会は「オリンピックを妨害しさえしない限り、われわれは誰もがオリンピックに参加することを歓迎する」と話しているという。

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今日、元都庁職員とお話する機会がありました。
いわく、「石原都知事の政策は都庁職員のなかでは規定路線で、タイミングうを見計らって、たまたま石原都知事の任期にやっただけのこと」ということを言ってしました。
(一番仕事をした都知事は、と聞くと、やはり、鈴木俊一さんという答えでした)

ちなみに、大阪府庁職員のブログを見ると、大田房枝府知事の無策は哀れだが、府民には理解されないが、「横山ノック知事」府政時が一番府政が進んだ時期だったといってました。

外と中では意見が違いますね。

さて、その人に言わせると、石原都知事の下、3期が過ぎようとしてますが、実績がないので、オリンピックにしがみついているそうです。

ファシズムオリンピックについては、かつての石原さんに同意見なのですが、東京オリンピック開催にしがみついて、北京に阿ってしまうの、という心配があります。

アメリカなどでは、スピルバーグや、リチャード・ギアなど、中国の政治体制について厳しい批判がありますが、日本の政治家、知識人が公式の場で、チベット問題、法輪講問題、ウイグル問題などを取り上げることはまずありません。

知識がないのですか。

中国政府の政策に疑問がないのですか。

それとも、言論の自由がないのですか。

石原都知事は、一地方の首長の立場では批判を恐れずに発言する政治家として、一目置かれる存在であることは間違いありません。

ただ、それだけに、「東京オリンピックがしたいから、中国に行くの?」と思われてもしかたがない、今回の発言は残念でなりませんけどね。

中国の姿勢に疑問を持つ声は国際社会の中ではすくなくないと思います。
その中で、なぜ日本の政治家は声を上げないんですかね。

1000人も議員がいたら、いろんな意見があってもおかしくないのに、こと、中国に対しては意見を上げる人がいないというのは、国民を声に鈍感なのか、あるいは民意を示していないということではないですか。

国会議員はこんなに必要なんですかね。

民主党主導の参院を見てからますますそう思うようになりました。




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2008年1月11日金曜日

こんなんでいいの、ホントに。

インドで27万円の超低価格車開発、その秘密とは
【livedoorニュース】2008年01月09日08時40分http://news.livedoor.com/article/detail/3456762/

 小さなエンジン、ラジオもエアコンもない世界で一番安い自動車が10日、公開される。
 車の値段は韓国の最低価格モデル「マティス」の約3分の1。インドの自動車メーカー「タタモーターズ」が開発したこの車は10日、インド・ニューデリーで開かれる「オートエキスポ」で初公開される。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は8日、ベールに包まれたこの車の「生産原価削減術」を紹介した。

 まず、この車は従来の自動車業界のコスト概念を完全に打ち壊した。自動車後部に搭載されているエンジンはたった700ドル(排気量600‐660cc)。動力は芝刈り機程度の30‐35馬力しかない。韓国の軽自動車「マティス」(52馬力)や「モーニング」(64馬力)をはるかに下回る。

 パワーステアリングがなく、窓も手動で開け閉めしなければならない。アナログ方式のスピードメーターで速度を測り、雨のときはフロントガラスにたった1本しかないワイパーが頼みだ。タコメーターはない。材料も金属やボルトの代わりに、安いプラスチックや接着剤をできるだけ使っている。時速70キロ以上の速度には耐えられないホイールベアリングを使い、車の寿命より値段を下げることを重視した。

 同紙は「この自動車は優れた発明の勝利というよりも、新しい哲学の勝利。過剰という言葉とは対極にある“不足の精神”が結合した“ガンジー(インド建国の父)式エンジニアリング”を世界に伝えるもの」と報じている。車の値段は2500ドル(約27万円)だ。イ・ソクホ記者

詳しい「コスト削減術」はコチラ
http://news.livedoor.com/article/image_detail/3456762/?img_id=332944

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 パワーウインドウやワイパー、エアコンを削るのはまあわかるのですが、"材料も金属やボルトの代わりに、安いプラスチックや接着剤をできるだけ使っている。"って安全性は大丈夫なんですか?と心配になります。

 "時速70キロ以上の速度には耐えられないホイールベアリングを使い、"って、うっかりスピード出しすぎたら、バラバラになっちゃうんでしょうか。

 "車の寿命より値段を下げることを重視した。"と誇らしげに書いてありますが、確実に「人間の寿命」も縮まってる気がします。

 "発明の勝利というよりも、新しい哲学の勝利。"というのも、「安全性重視」という哲学を捨てて、「価格重視」という考えにシフトしました。と言っているのに等しいのでは。


本当にこんなんで良いの?インドは...


日本の高度急成長の時代もこんなノリだったんですかね。

「タタ」といったら、これから世界で重要なポジションを占める企業だと思ってたのに。コスト優先、成長優先で行くと、あらぬところから足をすくわれますよ。




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2008年1月10日木曜日

今、そこにある危機

中国で初、人から人への感染確認 鳥インフルエンザ
http://www.asahi.com/international/update/0110/TKY200801100321.html
【Asahi.com】 2008年01月10日20時16分

 中国・南京市の父子が鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)に感染した問題について、中国衛生省の報道官は10日の定例会見で、死亡した息子から父親への感染を確認したと発表した。中国で人から人への感染が確認されたのは初めて。ウイルスが「新型」に変異すると大流行する恐れがあるが、「遺伝子の変異はない」としている。

 父親は完治しており、父子と接触があった約80人からは異常が見つかっていないという。ただ、死
亡した息子への感染ルートはまだ確認できていない。報道官は「冬から春にかけて鳥インフルエンザが多発する恐れがあり、予防対策を徹底していく」と述べた。

 オランダやベトナムなどで鳥インフルエンザの人から人への感染が確認されている。ウイルスが人から人への感染力が高い新型インフルエンザになると、世界的に流行する可能性がある。

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 世界を襲う恐れのある、最も恐ろしい惨事とは、どんなものでしょうか。

惨事を図るのに、継続的なものや、将来に渡って影響を及ぼすものなど、種類は様々ですが、シンプルに比較するために評価軸を死者数として見ていきたい思います。

まずは自然災害から。

〈地震〉
阪神淡路大震災(1995)       6434名
関東大震災(1923)        105385名(行方不明含む)

〈津波〉
スマトラ島沖地震による津波     22万人
〈火山噴火〉
ネバド・デル・ルイス山 コロンビア(1985)21500名
プレー山 西インド諸島(1902)  32000名

続いて人災。

チェルノブイリ原発事故(1986)    31名(←ソビエト発表)
広島原爆投下(1945)        14万人(~1945/12)
長崎原爆投下(1945)       73884名(~1945/12)
アウシュビッツ(~1945)       100万~400万人
第一次世界大戦         1000万人(行方不明含め、1800万人)
第二次世界大戦         8200万人

と、言われております。


今回、テーマに上げたい疫病についてですが、直近のパンデミックでいうと

スペイン風邪(1918-1919) 4000万~1億人

第二次世界大戦全体の死亡者数に匹敵するくらいの被害がでています。

スペイン風邪といえば、インフルエンザの一種なわけですが、分類で言うとこのスペイン風邪ですら、「弱毒性インフルエンザ」に分類されるそうです。これよりも恐ろしいものが、高病原性鳥インフルエンザ「H5N1」だそうです。

 「H5N1」と呼ばれるインフルエンザウイルスは、現在最もパンデミックに近い病原体と呼ばれ、WHOでは何年も前から注意を呼びかけています。現在、これが大発生すると少ない予測で200万人。一説には億を超える人々が死に至るとされています。

 これが、なぜまだ、大発生にいたらないかというと、一番の障壁となっているのが、種の違いです。鳥インフルエンザは、その名の通り、鳥が罹患するものです。これが鳥に感染しているだけならよかったのですが、ウイルスが進化するにつれ、人間にも罹患し、ウイルスを繁殖させるようになりました。これが鳥→ヒト感染です。

ウイルスの進化は確実にヒトへと向かっていて、鳥→ヒト感染は、感染源となる鳥を隔離(まあ殺してしまうわけですが)で防ぐことができます。1997年の香港での鳥インフルエンザ死者発生の時期には、時の香港行政官が、香港島のすべての鶏の流通を止め、全頭を処分することでパンデミックを防ぐことに成功しました。

 しかし、次の恐怖は鳥インフルエンザのヒト→ヒト感染です。これは全頭処分というわけにはいかず、また、移動手段の多様化により、世界中に多くのヒトが往来するようになった今日、ヒト→ヒト感染が初期段階で隔離できなければ、世界規模でにパンデミックが発生してしまいます。

鳥インフルエンザの恐怖は、元来、人間には感染するはずの無いウイルスのため、免疫がまったくありません。つまり、現在、鳥インフルエンザに有効なワクチンはないわけで(比較的有効というものはありますが)、パンデミックが発生すれば、初期段階で日本の医療制度であっても、崩壊します。

そこで、このニュースなわけです。

ヒト→ヒト感染が確認されたわけですが、問題は、過去も疑わしい症例が中国で確認されているにもかかわらず、ウイルスサンプルを中国政府はWHOに提出しようとしません。ウイルスサンプルがあり、それを研究すれば少しでも早くワクチンを作成することができ、それによりはかりしれない数の人々が助かるかもしれないのに。

こんなところで人類の祭典であるオリンピックを行おうというのですから、狂気の沙汰としか言いようがありません。

日本を始め、世界は、オリンピックを中止にする覚悟で中国側にデータを要求するべきでしょう。
そうでなくても、人命、人権軽視でベルリン五輪以来のプロパガンダである、北京オリンピックなんてボイコットするべきだと思いますが。

P.S. 日本では「タミフル」というインフルエンザの薬が「異常行動を引き起こす恐れがある」というマスコミの煽りを食らって、危険な薬のレッテルを貼られています。 
 もちろん、それは厚生労働省の密室談合主義など、国民に十分な説明をせずに推し進めようとする不作為の大罪があるわけですが、現在、実行性のあるインフルエンザ封じ込め対策の最大のものがこのタミフルの備蓄です。
 品川区では「区民の人命はなんとしても守る」というスローガンのもと、独自のタミフル備蓄に踏み切りました。
 鳥インフルエンザの危険性などは、あまりマスコミも報道しませんが、新聞の記事の大きさ、が国民の優先順位とイコールではありません。タミフルの備蓄および、鳥インフルエンザ対策の重要性をぜひ知らせていきたいと思います。

 パンデミックが起こってからでは対策のしようがありませんから。


参考文献国立感染症研究所http://idsc.nih.go.jp/index-j.html

「H5N1」岡田春恵著
(国立感染症研究所の研究員の方です。小説仕立てになっています。文章が上手とは思いませんが、鳥インフルエンザの危険性が十分に表現されています。ここには書いていませんが、各国のインフルエンザへの対策と、日本の無策ぶりが書いてあります。ちなみにブッシュ政権下のホワイトハウスのホームページでは、「テロとの戦い」と同列で「鳥インフルエンザ対策」が書いてあるそうです。 )




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2008年1月9日水曜日

将来を担うのは

<ネットカフェ難民>都が支援 無利子で最大60万円
 1月9日11時36分配信 毎日新聞

 住居がなく、インターネットカフェや漫画喫茶などに寝泊まりする、いわゆる「ネットカフェ難民」を対象に、東京都は08年度、賃貸住宅の入居費用などを無利子で貸し付ける支援に乗り出す。全国の約4割を占める都内のネットカフェ難民に安定した生活を促すのが目的で、自治体としては初の試み。

----------------中略---------------------

 都の支援策は、正規雇用先を見つけるなど安定的な生活が見込める人を対象に、賃貸住宅の入居費用や当面の生活資金として、最大60万円を無利子で貸し付ける。また、専用の相談窓口を設け、社会福祉法人などに委託して生活相談や住居探しを手助けする。

 都は「住居がないため正規雇用に至らない悪循環に陥っている人が多い。問題を放置すれば、路上生活をせざるを得ない人が増える」と、早期自立の必要性を説明する。

 生活困窮者の支援活動を行うNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」の湯浅誠事務局長は、「(ネットカフェ難民が)自力で金をためて住居を借りるのは事実上、不可能なので、支援策は必要だ。ただ、貸し付けの条件次第で使い勝手のある制度になるかどうかが決まる」と話している。
【五味香織】

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東京都いい仕事してますね。

以前、紹介した山田教授の著書にも、これからは年金を老齢者のためではなく、若年就労準備者のためにこそ、使うべきという意見が載っていました。初めて見たときにはびっくりしましたが、いよいよそういう支援策も検討すべき時期かもしれません。

これからの時代を背負っていくべき人々に適切な労働訓練がされていかないというのは将来の国家デザインに影響する重要な問題ですので、全国に先駆けて英断に踏み切った東京都の姿勢は評価されるべきです。大切な都民の税金であることは忘れて欲しくないですが、難民生活に陥ってしまった人々はぜひ積極的に活用して、よりよい社会の建設に寄与してほしいものです。

石原都政2期目は未曾有の借金を背負い、財政再建団体墜落寸前だった東京都ですが、自助努力の賜物で、盛り返し、新銀行東京を始め、排ガス規制、高速走路整備に、オリンピック招致と、国にも、他の行政にもできないような事業にチャレンジしています。失敗がないでもないですが、都民が生活の中で直面している矛盾や不平等感に向き合って、政策を行っているように感じます。

法人事業税の地方再分配など、東京の利益にたかる話ばかりですが、それにもめげずに、世界の中の東京として、トップランナーの地位を守り抜いて欲しいです。




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2008年1月8日火曜日

被害者の無念に資する司法を

3児死亡事故の今林被告に懲役7年6月、危険運転罪退ける【読売オンライン】http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_08010852.htm


 2006年8月、幼児3人が犠牲になった福岡市の飲酒運転追突事故で、危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)に問われた元市職員今林大(ふとし)被告(23)の判決公判が8日、福岡地裁で開かれた。川口宰護(しょうご)裁判長は「酒酔いの程度が相当大きかったと認定することはできない」と述べ、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)の成立を認めず、予備的訴因として追加された業務上過失致死傷罪(同5年)を適用、道交法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)と合わせ法定刑上限の懲役7年6月(求刑・懲役25年)を言い渡した。

 量刑理由について、川口裁判長は「結果の重大性、事件の悪質性にかんがみると、刑の上限をもって臨むのが相当」と述べた。
 今林被告は危険運転致死傷罪で起訴され、公判では、同罪の適用要件である「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」だったかどうかが争点となった。

 川口裁判長は、今林被告が運転を始めた時、「酒に酔った状態にあったことは明らか」としながらも、〈1〉スナックから事故現場まで蛇行運転や居眠り運転をせず、衝突事故も起こさなかった〈2〉事故直前、被害者の車を発見して急ブレーキをかけ、ハンドルを切った――ことなどを重視し、「アルコールの影響により、正常な運転が困難な状態にあったと認めることはできない」と判断した。その上で「景色を眺める感じで脇見をしていた」とする今林被告の供述の信用性を認め、事故の原因については「今林被告が漫然と進行方向の右側を脇見したことにあった」と結論づけた。

 弁護側は、業務上過失致死傷罪を適用した上で、執行猶予を求めていたが、川口裁判長は「前方を注視し、進路の安全を確認するという最も基本的かつ重要な業務上の注意を怠った。酒気を帯びた状態にもかかわらず、時速約100キロの高速度で運転し、危険極まりなく悪質」として退けた。

 ひき逃げについても「市職員の身分を失いたくないなどと自己保身に汲々(きゅうきゅう)としていた。交通規範意識は著しく鈍麻していた」と指摘。さらに飲酒運転による悲惨な事故が後を絶たないことに触れ、「家族の幸せを一瞬にして破壊し、葬り去った本件のような交通事故が繰り返されないよう願わずにはいられない」と述べた。

 検察側は、今林被告の言動や警察官による飲酒の再現実験などから「被告は相当酩酊(めいてい)し運転操作が極めて困難な状態だった」と主張。危険運転致死傷罪と道交法違反の併合罪で法定刑上限の懲役25年を求刑した。同地裁は結審後の昨年12月18日、福岡地検に対し、業務上過失致死傷罪と道交法違反(酒気帯び運転)を訴因に追加するよう命令。同地検は「命令に応じなければ、3児死亡の重大事故でありながら、危険運転致死傷罪について無罪になる可能性がある」と判断。判決言い渡し前に再開された弁論で、業務上過失致死傷罪を予備的訴因として追加する変更手続きを行った。
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 なにも悪いことをしていないのに、悪いことをした人がいたせいで、家族を奪われた遺族の気持ちに思いを致すと胸が苦しくなります。たしか、事故の後、この被告に水を飲ませて飲酒運転を隠蔽しようとした友人が「証拠隠滅」の疑いで逮捕されているはずです。裁判での立証責任は検察側にあるのも十分分かるのですが、「酩酊とは言い難い程度の飲酒だったので、3人が亡くなるような重大事故が結果としておきたとしても、正常な運転が困難な状態にあったと認めることはできない。」というのは実に不可解です。

 とかく、刑事裁判において、「…と認めることはできない」とか「…は否定できない」とか、どこまで完璧に証拠を固めないと認定されないんだ、という歯がゆさが残りますね。

 もっと不可解なのは、(まあこの裁判ではないんですけどね。)「被告の更正の可能性を否定できない」っていうやつですね。そりゃ、どんなヤツだって、1%くらいは更正の可能性はあるでしょうよ。でもそれって罪を減じるに値する要素なの?っと思ってしまいます。

結局、現行の制度では、法令、立件過程、裁判過程といろんなところで不作為が入り込み、最高刑から引き算で減刑されたところの落とし処=判決 みたいになっている気がします。
これから裁判員制度がスタートしますが、裁判員制度によって、裁判自体の議論がものすごく沸騰する
気がします。

それにしても、3人死んでも、ほろ酔いだったからとか、余所見だったからとか、被告の年齢がとか、被告の心理状態が…とか、被害にあった人とはまったく関係ないところで裁きが下るいうのも、いかがなものかと。被害者感情にべったり、とか世論になびいて、なんて判決は困りますが、ただ、現在のように刑法という亜空間の閉じた議論のなかで完結してしまうのも、それはそれで異常な気がします。




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2008年1月7日月曜日

夢を見るには金がかかる

NTTドコモがPHSサービスを終了【iza 17:20】

NTTドコモは7日、平成7年に開始したPHS(簡易型携帯電話)サービスを終了した。今後は携帯電話事業に経営資源を集中させる。ドコモのサービス終了により、PHSサービスを提供する通信事業者はウィルコム1社となった。

 PHSは日本で開発された技術で、基地局の送信出力が携帯電話と比べて小さく、設置コストも安いのが特徴だ。7年7月にドコモの前身の一つであるNTTパーソナルと、DDIポケット(現ウィルコム)がサービスを開始。基本料金の安さなどで人気を集め、ピークの9年9月には加入件数が706万件に達した。

 ただ、普及ペースに基地局設置が追いつかず、つながりにくいというイメージを持たれたことや、携帯電話サービスの料金値下げが進んで競争力を失ったことなどを背景に利用者が減少した。昨年11月時点の国内PHSサービスの総加入件数は約485万件にとどまり、このうちドコモは約25万件だった。

 ドコモ撤退で唯一のPHSサービス提供会社となったウィルコムは昨年末、基地局から端末へのデータ転送速度が毎秒20メガビット程度と、光ファイバー並みに高速の次世代PHSサービス開始に向けた事業免許を総務省から交付されており、この事業を軸にPHSサービスの普及を図る考えだ。

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そうです。なにを隠そうPHSユーザーです。J-Phone、vodafoneを7年使い、2年前からWillcomに変更しました。会社からはDocomo携帯を支給されて併用しています。”W-zero3 advanced es”のQWERTYキーボードに惹かれて初代esを発売と同時に購入。故障、紛失を経て、現在のアドエスに引き継がれました。

PHSと携帯ですが、基地局は都内では変わらず不便はないのです。音はむしろPHSのほうが鮮明。(電話してきた相手がびびるほどです)アドエスはキーボードのつくりは最強。携帯のメールをうつのがバカらしくてしょうがありません。

ただし、
・ネットが遅い。(確か208k/bpmくらい)
・起動が遅い。何かと、「サイトにアクセス」みたいなボタンが多く、うっかりさわるとopera強制作動+ダイアルアップをしはじめ、作業が1分ほど中断。
・誤作動を誘うページデザインが凶器のように並びます。(「ダイアル接続を開始」/「ダイアル設定を削除」が隣同士に並び、ネットにつなごうとして、アカウント情報ごと消されてしまったことが一度ならず…)
・携帯していて、「連絡来ないな」と思ってよくよく見てみるとWindows MobileのOSごとフリーズ・力を入れると壊れそうな、まるで侍のような滅びの美学。

そう。アドエスは「どうせ携帯と同じでしょ」と侮ると大変なことに!!!

そんな、WILLCOMユーザーの期待の星はなんといっても、次世代無線サービスの2.5GHz帯でのサービスですね。あと2年。

でもまた、新しい機種買わないといけないんだろうな。




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2008年1月6日日曜日

やっと・・・。

ネットでの選挙運動、まずHPから解禁…自公民方針

 自民、民主、公明3党は、インターネットを利用した選挙運動を解禁するため、今月召集される通常国会に公職選挙法の改正案を提出する方向で調整に入った。

 今回は第1弾としてホームページの利用を解禁する案を軸とし、他の野党にも賛同を呼びかけて次期衆院選からの実施を目指す。

 現在の公職選挙法142条は、法定のはがきやビラ、政権公約(マニフェスト)を除き、「文書図画」の頒布を禁じている。ホームページのようなコンピューター画面に表示されるものも文書図画の頒布にあたるとみなされるため、選挙期間中は候補者だけでなく政党も、更新はできない。

 選挙運動でホームページの利用が解禁されると、候補者や政党は公約や自らの主張・政策などを文字だけでなく、音声や動画などで伝えられる。内容も選挙情勢に応じて更新が可能となる。有権者も自分の好きな時間、場所で候補者の政策などを見比べることができるようになる。

 選挙運動のネット利用をめぐっては、民主党が2006年6月に4度目の議員立法を提出した。ホームページや電子メール、ブログのすべてを解禁する内容で、これらを使って選挙運動を行う者に、氏名とメールアドレスの表示が義務付けられる。違反した場合の罰則規定も設けている。

 一方、自民党は昨年12月に選挙制度調査会が論点整理を行い、ネット利用解禁について具体案を検討することとした。ホームページの解禁には異論がないものの、他人が候補者の名前をかたる「なりすまし」が容易な電子メールやメールマガジンの解禁には否定的だ。

 公明党は、偽ホームページなどへの対応は必要としているが、ネット利用の解禁には前向きだ。

(2008年1月6日3時9分 読売新聞)

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 完全に遅きに失した感がありますね。もっとも、ITに疎い年輩議員にしてみれば、既存のカビの生えたような選挙戦の方が、炎上したり、荒らされたりする心配のない分よかったのでしょう。また、「無党派層は選挙の日は家で寝てろ」という感覚の方も多いようですから、中途半端にネット世代が選挙に目覚めて、5年前の韓国の盧武鉉政権誕生時のような番狂わせは迷惑なだけでしょうしね。

 心配なのが、"公明党は、偽ホームページなどへの対応は必要としている"とか、こういうメディアリテラシーがゼロのビビリが、「違法ホームページ撤廃」みたいな運動の踏み台にしないかどうかでしょうね。

 また、この法案が通過しても、選挙期間中のホームページ更新はダメなわけですよね。どんだけフットワーク悪いんだか。

 去年の自民党総裁選でも、麻生コールが巻き起こった要因の一つが、麻生派の戸井田徹衆議院議員のブログ「丸坊主日記」の呼びかけによるところも大きいかと思います。

 「血の通った、国民とのやりとりを通じて行う選挙こそ、民主主義の主意である」とか、そういう意見は出てこないんですかね。

選挙期間中の情報なんて、マスコミの自粛報道に名を借りた毒電波の垂れ流しばっかりじゃないですか。

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今年の正月はヘルニアと、風邪に苦しみ、何もできませんでした。(できたのはこのブログくらい)が、ようやく回復し、今日は「魍魎の箱」を見てきました。京極愛好者としては、また、半端に描ききれない気持ち悪さを味わうつもりでしたが、とても面白かったです。京極夏彦の世界観にはまりすぎず、冷め過ぎない人にはお勧めです。「終戦後、ようやく平和を実感できるようになりつつある東京」みたいな映像が秀逸でした。




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2008年1月5日土曜日

できないんだたらやるな!

3位浦和、全額支払われず・A3杯で賞金未払い問題 

昨年6月に中国で行われたサッカーの日中韓リーグ王者などによるA3チャンピオンズカップで、参加チームへの賞金未払いの問題が起きていることが5日、分かった。
 参加した4チームすべてが賞金の対象だが、昨年末の時点で3位の浦和には賞金全額が支払われていないという。ほかのクラブの状況は不明。
 Jリーグ関係者によれば、大会運営にかかわった韓国の広告代理店から中国サッカー協会に収益金が支払われていないため。 賞金額は優勝の上海申花(中国)が40万ドル(約4360万円)で、3位の浦和には15万ドル(約1635万円)が支払われることになっている。〔共同〕
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日本と中国と韓国の3カ国が集まって大会を開きました。
下請け(韓国)が金を払いませんでした。
だから胴元(中国)も配当しません。          三行にまとめるとこうですか?


 こんなんならやめたほうがいいよ。

これで、熱い友情とか、感動とかあるんだったらいいけど、このメンバーではないでしょ。
試合をすれば、国旗燃やされ、国歌斉唱にはブーイング、勝とうものならサポーターが暴徒に囲まれて、何にもいいことないじゃん。

結局、国際大会は、行政府と、運営と、サポーターと住民にある程度のコンセンサスがないとだめということ。

2002年の日韓ワールドカップでは、日本と韓国で大きく差が浮き彫りになったけど、やっぱりそれはホストカントリーとしての矜持があったかどうか、だったと思う。

たとえば、イビツァ・オシム監督がJEFや日本代表の監督を引き受けてくれたことの発端に東京オリンピックがあったことを聞いた時には、日本は本当に良いオリンピックを開催したのだなと思ったし、日韓W杯のデンマーク代表のオルセン監督やトマソンと合宿先の和歌山の人々の交流とかは、これからもずっと語り継がれていってほしいと思う。

 この種の祭典には誰にでも、主役になる権利がある。どのチームにも、どの選手にも、あるいはサポーターにも。そして、ホストカントリーは、その主役に的確にスポットライトを当て、一緒に喜べること。国籍も、宗教も、心情も、性別も、あらゆるくくりから離れて、きちんとヒーローを世界に発信できることが最低条件ではないだろうか。

 「国威発揚の場」という言い方があるが、この場合の国威とは、

「わが国の先進技術でこうやった」とか「わが国は優秀な選手をそろえて、自国開催でこんなに高い成績を残した」というわけではないです。こんなのはヒットラーのベルリン五輪で終わりですよ。
(分かってますか、北京の皆さんww)

「わが国は、国民のすべてが世界人類の発展と調和を目指しています。この大会がその平和と協調のためのマイルストーンとなることを願って、その精神を支柱に運営します」
こういう気持ちがあって、その上で、運営施設や、計画などの細かい詰めを、綿密に綿密にしっかりやって、足らない部分は譲り合いながら、協力しあいながら精一杯努めて、初めて「いい大会やったな」と思ってもらうるんじゃないですか。

書いてると、どんどんA3ではたどり着けない気がしてきた。

北京オリンピック、楽しみにしてますね。

東京オリンピックももう一度開催してほしいですね。
(大阪陸上みたいなヤツは2度とごめんです。)

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2008年1月4日金曜日

頼りない男か、信用できない男か

杉村太蔵氏擁立せず 地元自民など決定 北海道1区 2007年12月27日11時35分

 次期衆院選の北海道1区(札幌市中央区など)の公認候補者を選考していた自民党道連や地元経済界は27日、杉村太蔵衆院議員(28)=比例区南関東ブロック=を擁立せず、「YOSAKOIソーラン祭り」創始者の長谷川岳氏(36)を推すことを決めた。杉村氏は05年の郵政解散に伴う総選挙で大量当選した「小泉チルドレン」の1人で、地元の北海道から立候補したいと訴えていた。杉村氏は「どうあろうと北海道1区から出る」と公言しており、分裂選挙になる可能性も出てきた。
 この日、道議らで構成する選考委が札幌市内で開かれ、全会一致で長谷川氏を党本部に推薦することを決めた。
------------------------ 中略 -------------------------------  
 杉村氏は「公認するかしないかは党の判断。選挙に出馬するかしないかは私の判断」と述べ、公認の有無にかかわらず出馬する考えを示している。
 道連会長の今津寛衆院議員は「政治家として決まったことに従う努力をしてもらいたい」と話した。


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1、小泉チルドレンと呼ばれる83人の衆議院議員がいる。郵政選挙と呼ばれたこの選挙の是非はさておき、小泉劇場と呼ばれた劇場型政治の象徴的存在であったことは間違いない。
「自民党をぶっ壊す」「改革を止めるな」というスローガンの裏にある既得権益の開放と、密室談合的に決定していくこの国の意思決定システムに対する反発であり、そのようなスローガンにフィットしていたのが、彼らのように、政治に密着していたわけではない、いわゆるしがらみの無い彼らの存在であり、彼らを応援することが新しい風となり、風通しの良い国にしてくれるのではないかという期待である。小泉チルドレン達は、当時の武部幹事長を後ろ盾とし、83会を結成。郵政3法案も無事、国会を通過した。


2、望まれる政治家像についての議論にこういうものがある。

「力はあるが、クリーンでない政治家」
「力はないが、クリーンな政治家」
のどちらが良いかというものである。

 時の郵政選挙においては、ここの選挙区は別にして、民意はクリーンな政治家を選んだ。それが小泉チルドレンであった。
 前回の参議院選においての民主党の躍進についても同じことが言えるだろう。

 しかるに、クリーンというのは金品や物品だけのことではない。特定の団体に偏った便宜を図ったりする人物でないかどうか。これはもちろん所属の政党も含まれる。党の重役の顔色を伺うだけでは国民の代表である必要はない。クリーンというのは偏り無くわれわれ国民の声に耳を傾け、われわれの声を国政の場で代弁してくれる人物かどうかがクリーンな政治家の本義である。


3、「疾風に勁草を知る」というが、混沌は昨年の秋からだ。小泉首相の後継であり、当然引き続き後ろ盾になると思っていた阿部首相が辞任し、右派から左派へ、改革路線から、古い自民党への先祖返りへ、と政局は大きく転換する。福田対麻生の総裁選は混迷を極めた。
 やれ小泉新党だとか、チルドレンで民主党に合流だとか、内輪でウジウジとやっているうちに、なし崩し的に福田総裁誕生。当然選挙の公認人事は白紙になった。
 ねじれ国会で政局が膠着する中、心中は国会審議などではなく、次の選挙の党の方針に戦々恐々という感じだろう。 国民の声を聞いて政治をするのではなく、党上層部の声を気にしてウジウジ議員活動をする姿を見て、国民の目には何が映るのだろうか。
 「抵抗勢力にぶっ壊される改革勢力」であるのなら歴史にも残るだろうが、今のままでは古い政治のパワーゲームにしか見えない。

 求められているのは、権力ではなく、しがらみにとらわれずに、おかしいと思ったことはおかしいといえるクリーンな感覚を政治の場で発揮してもらうことである。問題提起があって、国民にその声が届けば、いかにしがらみがあっても、力ある政治家が必ず後押しをしてくれる。
(C型肝炎訴訟問題などそのよい例である。)
まだ力がないから、力がある政治家に「右に倣え」をしているというのであれば、国民の代表である必要はないのである。


4、その意味で、杉村太蔵議員は、ある意味期待とおりの活躍をしている。他のチルドレンが83会でのほほんとしている間にも、後ろ盾である武部幹事長と袂を分かち、総裁選においても、周りが派閥の論理に取り込まれていく中、堂々と麻生を支持し、ほかのチルドレンが「公認してくれなかったらどうしよう」なんて言っている間に、早々に北海道1区からの出馬を表明した。

「公認するかしないかは党の判断。選挙に出馬するかしないかは私の判断」

は他のチルドレンの態度に比べるといかにも重みを感じる。ちなみに北海道1区は反自民色が強く、自民党議員がもっとも嫌う選挙区であり、小選挙区制導入後の1996年以来、民主党の横路孝弘氏がいずれの選挙でも圧勝している。いわば、杉村議員にとっても背水の陣であることは間違いない。杉村議員の狙いは、もし別の候補を擁立すれば、自民票が食い合いになって、また横路にとられるぞ。という恫喝だったが、これは残念ながら失敗してしまった。

 ただし、糸の切れた凧は高く舞い上がる。反自民の選挙区において、古い自民党から放逐された杉村氏にとっては、これで自民の長谷川対反自民の横路・杉村という戦いになり、両陣営の浮動票が見込める。また、鈴木宗雄氏の新党大地に選挙協力を要請するという目もある。いずれにせよ、簡単に組織の論理に飲み込まれて終わってしまう選挙など面白くもなんともない。

「杉村はバカだから投票するな」「経験のない若造はなにもできない」という意見が今のところ大勢のようだが、組織を向こうにまわして選挙やっている国会議員がどれだけいるか。


最後に、日本国の民主主義の礎である、明治天皇がお示しされた「五箇条の御誓文」の二番目にはこう書いてある。

"上下心を一にして、さかんに経綸を行うべし。"

地位や身分にかかわらず、様々な立場の代表が、心を一つにして話し合うのが国権の最高機関たる国会である。


だから、バカにはバカの意見があるんだ。バカの代表して何が悪い。


ニートやフリーター問題に心情的に最も近い議員が杉村議員だと思う。選挙に勝って、力をつけてがんばってほしい。


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2008年1月3日木曜日

生きていくのは大変!

アフガンでは08年もアヘン生産活況に=反政府活動も継続-ISAF司令官


【カブール2日AFP=時事】北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)司令官、ダン・マクニール米陸軍大将は2日、カブールで記者会見し、アフガニスタンのアヘン生産は2008年も活況を呈するだろうと述べるとともに、タリバンを中心とする反政府勢力の暴力も継続するとの予想を示した。
 07年のアフガニスタンのアヘン生産は8200トンを上回り、同国は世界最大のアヘン生産国となっている。アフガンにはNATO部隊約4万人が駐留し、反政府勢力と戦っている。
 マクニール司令官は会見で、「今年もアヘン生産は急激に伸びるとみている。これによって、治安面はまた厄介なことになると思う。非常に懸念している」と語った。同司令官はさらに、「数十億ドルに上る麻薬取引がカルザイ政権、NATO部隊、その他の部隊に対する反抗を助長している」とし、「麻薬が金に変わり、次いで改良された遠隔操作爆弾やカラシニコフ銃に変わる」と指摘した。
 またマクニール司令官はタリバンの活動について、「主として道路わきに仕掛ける爆弾や自爆テロにより、反政府活動を続けることになるだろう」と述べた。〔AFP=時事〕

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お正月でニュース番組がないからなのか、本当に報道すべきものがないからなのかどうかはわかりませんが、ぼけーっとテレビを見ていると本当に(よくも悪くも)平和な感じが漂ってますね。
「アフガニスタン地域でのアヘンの生産が急激に伸びる」ということは、アヘンの原料となるケシはwikiによれば、

"9月下旬、10a当たり180mlの割合で種子をまく。翌春、間引きし、株間約10cmとする。5月上中旬、開花、花弁が落下し数日を経て子房が十分に発育した頃、子房の立隆線にそって浅く切り傷をつけ、アヘンを採取する。" 

となっているので、反政府勢力化にある地域が安定的にその地域で影響力を及ぼしていくだろうという見通しがあるということです。

ところで、アヘンを育てるといっても、なかなかピンときませんね。アヘンってそんなに儲かるの?というのが素直な感想です。

そこで紹介するのが、この"3rd World Farmer"というゲームです。



コペンハーゲンの大学のプロジェクトとして作成されたゲームで、2005年に発表されているのでご存知と人もいるかもしれません。第三世界の貧困国の家族を主人公として、わずかな元手と小さな畑と自分の家族という労働力で、すこしずつ生活を安定させていくというゲームです。




最初に手元にあるのはわずか50ドル。狭い畑に植えるための十分な種子をも買うことができません。コツコツと比較的安価な農作物を真面目に育てて元手を増やします。収穫を増やすためには労働力を増やさなければなりません。子供を生んで育てるわけですが、子育ての間はお母さんの分の労働力はマイナスになります。うまくバランスをとらないと収支がマイナスになってしまうわけですが、そうすると家族の誰かを町に働きに出さなくてはなりません。"leave farm"と選択すると、その家族は町に出て、その一時金が手に入るわけですが、その子が町で何をしているのかもわからず、二度と家族の元には帰ってこないという後味の悪さです。


収穫が軌道に乗ってきて、家族も増えだすと、比較的運営が楽になるのですが、そこには様々なイベントが発生します。(しかもイベントは悪いことばかりです。)
せっかく育てた作物が「国際マーケットの値崩れ」により、買い叩かれる。部族間の争いが起こり、家畜や農具が奪われる。疫病により家畜が全滅する。火事が起きる。旱魃が起きる。中央銀行が破綻して資産が無くなる。といった具合で、幸運を祈るというよりも、「どうか不幸なことが起こりませんように」と祈るような毎日が続きます。


そこに付込むかのように起こるイベントも風刺が効いていて、先進国の人間らしき人物から「産業廃棄物を預かってくれないか」(一時金が手に入るものの家族が病気になる)や、「アヘンの栽培を勧められる」(高値で買い取ってもらえるものの、何回かの割合でどこからともなく軍用機が飛んできて、畑と家族ものとも爆撃される)など、笑えないイベントばかりです。


収入を安定させ、学校を建てて子供に教育を与え、診療所をつくり、衛生環境を整えたり、ゲリラに襲撃されないために政治献金をしたりしながら、学校を作って子供に教育をしたり、診療所を作って衛生環境を整え、いくつかの条件を満たした上で、"crop insuarance"(作物補償)を得ることができるとクリアなわけです。


クリアするとスコアが出てきて全世界でのランキングが発表になります。スコアはプレイ時間や資産、子供の累計教育期間などにより算出されます。私は少しでも良いスコアをと思い5時間くらいプレイしてしまいました。


ゲームとしてはこれで終わりなのですが、シュールなのはこれからです。


5時間にも上るプレイのおかげで世界ランキング93位をとることができました。
しかし、考えてみれば、インフラのない村に、家族がこれ以上死なないだけのインフラを整えるのに一生涯を費やしました。
子供に教育を与えたものの、最後にはスコアに反映されるのでほめられた気がしますが、ゲーム中は教育があってよかったことなどありません。(町に働きに出す時には一時金は増えますが)学校に通う間は労働力の減退になります。


結局のところ、スコア=先進国の評価であって、ゲームを有利に進めるのならば、家族の命を使い捨てにして、アヘン栽培などの誘惑に加担し、役人には賄賂を渡して、子供には教育など与えずに働かせたほうが家族は裕福に勧められるのです。
なんという矛盾。


ゲームのルールにはもちろんそんなことは書いてありませんし、あくまでプレイした僕の感想です。
しかし、先進国に住む我々の頭で量ったものとは違う理屈がこのゲームに内在しているように思います。

私の感想とは別に、このゲームについて紹介しているサイトがありますので興味のある方は参照してみてください。

4gamer.net

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2008年1月2日水曜日

環境問題

南極での気球実験成功 温室効果の気体探る
1月2日午後7時41分

 成層圏の気体を採取するため打ち上げられた気球。気体採取装置の回収にも成功した=07年12月30日(南極観測同行記者撮影)

 【昭和基地12月30日南極観測同行記者】第49次南極地域観測隊(伊村智隊長)は30日、南極・昭和基地で成層圏の温室効果を生み出す気体を調べるため、気球実験を実施し、気体採取装置の回収に成功した。

 地球温暖化の原因物質とされる二酸化炭素(CO2)の南極成層圏の経年変化を観測しているのは日本だけで、データの内容が注目される。

 この日は上空15キロと25キロに、成層圏の大気を採取する重さ25キロの超小型採取装置を気球で打ち上げた。いずれも成功し、採取後に装置はパラシュートで氷上に降下。着氷後、南極観測船「しらせ」のヘリコプターで回収した。

 日本は1998年から5年おきに南極成層圏での気球観測を実施。南極では地球の大気が平均的に観測できるため、地上でも測定しており、温室効果を生む気体の実態をより正確につかめるとしている。

【福井新聞オンラインより】
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環境問題について、日本がコツコツと積み重ねてきた営みには結構頭が下がります。
例えば、ハイブリットカー。絶対量を比べれば、自動車や発電所が使う化石燃料に比べたら微々たるものですね。抜本的な改善をしていかないことには、問題の解決にはつながりません。PETボトルなんかいくらリサイクルしたって意味がないですね。PETボトルはリサイクルして、新しくPETボトルになるわけではありません。では何になるかというと、一つはユニクロのフリースの衣服です。そして、多くは中国などに廻されて、ぬいぐるみの中綿などに使われています。本当に環境に配慮するなら、一時期出回ってすぐ無くなってしまったガラス製のリターナブル瓶などのほうが圧倒的に環境にやさしいのは間違いありません。
最近では、100%再生紙を生産するほうが、環境へのコストが高いとのことで、日本製紙では100%再生紙を廃止することにしたそうです。

さて、上のニュースですが、次のように書いてあります。

「成層圏の温室効果を生み出す気体を調べるため、気球実験を実施し、気体採取装置の回収に成功した。」


一見スルーしてしまいがちですが、「チームマイナス6%」でおなじみの通り、

「温室効果ガス」 = 「二酸化炭素」

なんじゃないの?
ということです。実はこの因果関係はまだ実証されているわけではないのです。
ICPP(AL Gooreとともに昨年のノーベル平和賞をとった団体です)でも、地球温暖化が二酸化炭素の増加によるものと結論付けているわけではありません。地球の温度と二酸化炭素の量に相関性が見られるというだけであって、「地球の温暖化がおきたため、海中に含まれる二酸化炭素が大気に流出した」と捕らえる学者もいるそうです。

一体何を根拠に、と思われると思いますので、参考文献を挙げておきます。

「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田 邦彦著

「環境問題はなぜウソがまかり通るのか2」武田 邦彦著

中部大学で資源材料工学の教授をしている方です。
ただ、環境問題に対する常識とされていたものから、あまりにも荒唐無稽なトホホ本に並び称されることもあるようです。真偽のほどはわかりませんが、説得力はあります。
特に京都議定書の欺瞞(1990年を基準年として削減目標を決めたため、原発にシフトしていたフランス、北海油田の開発が進んだイギリス、環境汚染のひどかった東ドイツを統合したドイツは会議の時点で目標達成。アメリカは批准せず、日本は19%の削減を迫られる)というくだりには「環境問題はきれいごとではなく、国力の凌ぎ合いの場なのだ」ということをまざまざと見せ付けられます。

「恐怖の存在 上/下」Michael Crichton

上の本とはまったくアプローチが違っていて、環境団体がいかに利権と結びついているか、そのためにいかに環境問題を捻じ曲げて、世の中に流布しようとしているかという本です。ご存知の通り、"Jurassic Park"や"Rising Sun"などを描いているエンターテインメント作家なので、気軽に読むことができます。


さて、これらを踏まえて上のニュースですが、南極でコツコツと調べているのは日本だけなんですね。環境問題はまさに人類にとって未踏の分野。こういう問題にこそ、きちんとデータをとって、科学的に進めるべきことのはずなのに。

昨日、ザトウクジラ漁の1~2年の凍結が決定しました。調査捕鯨を継続し、データを取って科学的知見から「絶滅の恐れ無し」というのは明らかなのに。

感情に走っては問題解決にはつながりません。



上はオーストラリアのビール会社のCMです。この会社の最大のライバルメーカーは日本のキリンビールだそうです。「クジラを食べるのは野蛮」というメッセージとともに、日本人に対する人種差別を喚起するもののように思えてなりません。このビールを買うと売り上げの中から何%かがシーシェパードという団体に寄付されるそうです。


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2008年1月1日火曜日

新年明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。

まずは新年にあたり、福田首相のお言葉を批判的に読み解いていきたいと思います。


福田 康夫 内閣総理大臣】

年頭所感

 新年あけましておめでとうございます。

【日本の底力】  「日本経済再建の成否は、一にかかって諸君の双肩にあるものであります。」
 ちょうど60年前、当時の片山総理大臣は、国民に向かってこう呼びかけました。戦争によってすべてが失われ、焼け跡の中からいかに立ち上がるかという困難な状況の中で、日本国民が持つ底力を信じるほかないという思いが、そこには込められていたのだと思います。  その思いは、戦後の歩みの中で、大きな実を結びました。日本は、目覚ましい戦後復興を成し遂げ、高度経済成長を経て、世界にも誇る経済大国へと発展しました。経済発展とともに、医療の充実や国民皆保険・皆年金などを目指して安定した社会を作りあげた結果、今や、平均寿命世界一の長寿国となっています。このような日本の発展は、世界からも一目置かれ、「東アジアの奇跡」とも呼ばれましたが、これはひとえに国民の底力とたゆまぬ努力の結果にほかなりません。
 一方で、いわゆる団塊の世代が定年退職をはじめた日本の現在は、人口減少社会に突入し、高齢化社会が現実のものとなりつつあります。また、バブル崩壊後、ここ20年近く、経済の規模も、国民の所得の水準もほとんど横ばいとなり、長く経済の停滞が続いてきました。そして、このように経済全体が成長しない状況では、誰かの所得が伸びれば、必ず他の誰かの所得が減ってしまうという結果になり、格差という問題が生じてきました。  しかしながら、このような構造的な問題に直面し、先の見えない閉塞感の中にあっても、日本には、長年培われてきた「ものづくり」の技と心、環境・省エネをはじめとする高い技術力があります。日本は自信を失う必要はありません。私は、持ち前の底力を発揮しさえすれば、日本は必ず新たな飛躍を成し遂げることができる、と信じています。


・人口減少と少子高齢化は、先進国においては日本が一番最初に直面する国家になりそうです。
フランスなどでは行政によるベビーシッターのサービス(Michael Moore:"Sicko" を見るとそのすごさがわかります。)
日本では、橋下弁護士が、いちはやく「子どもが笑う、職員が汗をかく」をテーマに出産と保育の拡充を公約にして、大阪府知事選に立候補しましたが、なかなか国家としてのプランが見えてきませんね。(猪口とかの男女共同参画とかで実効性のない「PR」とかに予算つけるのなら、こっちにまわせばいいのに。)
ちなみに東京都の石原都知事「東京都認証保育園」制度は Good Job です。
要するに、わかっているなら早くやれ!!

・格差問題もようやく本格的に取り上げられるようになりました。
東京学芸大学の山田昌弘教授が「希望格差社会」を上梓したのが2004年ですから、ようやくといった感じです。(山田教授の著書は全部お勧めです)
格差社会については、Alvin Toffler氏も「富と未来」という著書に中で取り上げていて、IT技術による情報革命が起きている先進国においては共通する現象だそうです。

「農業革命」「産業革命」に続いて現在起こりつつある「IT革命」という3つの革命を経て、人類は飛躍的に生産性を向上させてきた。生産性の向上は、人類に等しく恩恵を与えるのではなく、その革新性の波に乗った者から恩恵を受ける。つまり、既存のルールに則って同じような収入を得ていた時代から、新しいルールに乗り換えた者から先に恩恵を受けることになる。やがて、IT革命の影響が広く一般の人にも普及していくが、先に新しいルールに乗った者と、既存のルールでゲームをしている者に現れる差が格差である。(引用ではありません。趣旨を自分なりにまとめました。)

ということで、本来の格差は現状のままの人は現状のままだが、新しい波に乗った者には加点があるよ。この加点分を「格差」と呼ぶんだよ。といっているわけですが、現在の日本の若年層の日雇い派遣などの職種についている人たちを見ていると、現状維持どころか、明らかに底が下がっている気がします。

【生活者・消費者が主役となる社会】  高度経済成長が終わり、少子化や高齢化が進展する中で、社会の有り様は大きく変わりました。戦後の焼け跡から生産第一主義で突っ走ってきた時代はすでに終わり、生活の質の向上へと国民の関心が移ってきています。しかしながら、社会保障をはじめとした国民生活を支えるシステムは、戦後作られたものの微修正を繰り返しながら現在に至っているというのが現実です。こうした中で、近年、住宅や食品表示などの偽装問題や、年金記録のずさんな処理など、様々な問題が明らかとなりました。  政治も行政も、そして企業も、今こそ、生活者や消費者の立場に立つよう、発想の転換が求められていると思います。現在、すべての法律や制度が本当に国民の立場に立っているかどうかという、国民目線の総点検を行っており、できるだけ早期に結論を得たいと考えています。私は、今年を、「生活者・消費者が主役となる社会」へと転換していくスタートの年にします。
 年金記録については、これまでの3、40年間にわたる長い間の管理の仕方に様々な問題があり、今般の問題が生じました。そのため、「これをやれば解決」という特効薬的な方策はありません。現在、「ねんきん特別便」の送付を開始して、記録の点検をお願いしておりますが、一つひとつ着実に粘り強く取り組み、全力を尽くしてまいりますので、ご協力をお願いします。同時に、こうした問題の多い年金制度を根本から見直し、受給者や加入者の立場に立って、これ以上ないというくらい確実な制度へと改めます。  年金制度のあり方はもとより、医療・介護制度など、国民生活にかかわる重要な諸制度について、安心できるきめ細かな制度づくりを進めるため、今年から、社会保障のあり方について検討する国民会議を開催いたします。労働者、消費者、女性など各界各層の代表にお集まりいただいて、例えば、これまで日本がとってきた社会保障制度、すなわち中福祉中負担のままでよいのか、スウェーデンのような高福祉高負担の方向が望ましいのかなど、広い視野から議論し、多くの国民が納得する制度を考えていただきたいと思います。


・年金については、私の世代にはすでに諦観が漂っています。20歳の時に学生なので、年金の控除の手続きをしました。就職してからは一回も漏れることなく納付してきましたが、最初の時から、「どうせもらえるかどうかわからないけどね」という感じです。
最近の政府筋の発言で、「この言葉が出てきたら要注意!」と思っているのが「スウェーデン」です。
スウェーデンの制度には先進的なものがあり、参考にすべき点はもちろんあるのですが、少子高齢化の現状から考えるとそうとう無理があると思いませんか。「納税を終えた老人に社会保障を手厚く与えて、少子化が進む世代にさらに負担してもらいましょう。」なんて、どんだけ政府は団塊世代しか見てないんだよ!と突っ込みたくなります。

一番腹が立つのは、「今こそ、生活者や消費者の立場に立つよう、発想の転換が求められていると思います。」という言葉です。
じゃあ、今までどこ見て政策を作ってきたんだよ。

【環境で世界をリード】  日本には、天然資源は乏しくとも、豊富な人材に裏打ちされた高い技術力があります。とりわけ、環境分野においては、世界最先端の技術を有しています。昭和40年代や50年代のオイルショックや深刻な公害問題をバネにしながら、日本は、環境・省エネ分野において世界の研究開発のトップを走り続け、環境にやさしい国づくりを進めてきました。このような、いわば「環境力」は、日本が今後成長していく上で、大きな「強み」であると言えます。  近年、温暖化をはじめ地球規模での環境問題が顕在化する中で、日本だけでなく、世界各国が協力してこの問題に取り組む必要があります。日本が持つ世界最先端の技術を各国に広めることで世界に貢献し、大きな役割を果たすことができます。
 今年は、いよいよ日本でサミットが開催される年です。環境問題は今年のサミットの大きな議題の一つであることは間違いありません。七夕の日には、北海道の洞爺湖に世界の首脳が集います。北海道の澄んだ空に浮かぶ天の川を見上げながら、このきれいな空を子どもたちに引き継ぐために今私たちに何ができるのか、日本が世界の議論をリードしていきたいと考えています。


・「環境問題」というと、何か反対してはいけない空気があります。
昨年のノーベル賞はAl Goore氏とIPCC(Intergovernmental Panels of Climate Changes)に送られ、特に異論を挟む人はいないようですが、IPCCはともかく、Al Goore氏についてはなかなか怪しい、と思っています。現在の二酸化炭素削減についてはEU、アメリカ、発展途上国との綱引きが繰り広げられています。日本は今のところ、「審判」のポジションを取ろうとしているのですが、環境問題はただ心根のやさしい人たちが善意でやっているわけではありませんからね。この問題はまた、別の機会に触れたいと思います。

【地域再生】  長い間の経済の停滞によって、特に地方においては依然厳しい状況にあります。しかし、地方には、自然や伝統などそれぞれの特色があります。まずは、それぞれの地方が、自らの創意工夫によって、その持てる特色を活かすことが、地域再生の第一歩です。国が決めた政策を押し付けるのではなく、地方の自由な取組を後押しする方向へと転換していきます。  さらに、そうした努力を続けている地方は、域内で農業や中小企業、大学などのネットワークをつくりあげるとともに、それぞれの地方の枠を超えて、他の地方や都市、さらには海外へとつながることで、人や情報が行き交い、販路が拡大し、大きな相乗効果を得ることができるでしょう。今後、地域ブロックごとに全体を統括する専門官を置くなど、地方の枠を超えたネットワークづくりを応援してまいります。

・国家の為政者が「国では政策を示しません」と言っているようにも聞こえます。
安倍内閣から引き続き、総務大臣を務めている、元岩手県知事の増田達也大臣は、岩手県政の改革によって高い成果を上げた人物です。最近は宮崎といい、横浜といい、東京といい、大阪といい、割としがらみのない首長が増えています。この辺と連携して増田大臣に期待したいです。
(ただ、渡辺行革担当大臣の処遇を見てると、どうかな)

【国際社会とのつながり】  日本経済を建て直し、今後さらに成長していくためには、とりわけ海外との「つながり」が重要です。  日本は、低成長時代で、人口も減少しつつあります。しかし、アジアの周辺諸国は今でも高成長を続け、人口も増えています。日本を「世界に開かれた国」としていくことによって、アジアの活力をとりこみ、日本もともに発展していくことができると考えます。  わが国は、戦後、貿易立国として発展してきました。今後とも、わが国が発展していくためには、国際社会と協力し、相互依存を深めていかなければなりません。平和で安定した国際社会は、日本にとってかけがえのない財産です。その国際社会に対して日本ができるだけのお手伝いをする必要があります。今、この瞬間も、インド洋では、多くの国々が協力し合いながらテロとの闘いを続けています。一刻も早く、他の国々とともに世界のために汗を流す日本の姿を示したいと思います。

・ASEANの繁栄に寄与するという「福田ドクトリン」を提唱した福田赳夫の息子だけに、本当は期待したいところなのですが、どうも媚中派というイメージが抜けません。
安倍前首相は、赴任直後に韓国、中国の関係改善を行い(まぁ、小泉時代に距離を置き過ぎただけで、形だけに見えますが、Good Job です。)その後、この2カ国にできるだけ触らないようにして、オーストラリア、インド、ASEAN諸国との関係を深めました。(特にオーストラリアとの安全保障協力と、財界人を引き連れてのインド訪問、インド議会での演説はかなり良いです。)
話を戻して福田総理ですが、中国での歓待ぶりをアピールし、「梅の花を咲かせる旅」などと自己評価してましたが、六韜のこの言葉が頭をよぎります。

「交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が有能ならば何一つ与えず返せ。  交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。  そうすれば、隣国では無能な者が重用され、有能な者が失脚する。  そしてやがては滅ぶ」

ガス田問題は春に解決を目指すとか言ってたけど、はっきり言って福田政権下では決着してほしくないです。

【さいごに】  総理に就任して3ヶ月。様々な取組はまだ緒に就いたばかりですが、日本の政治と社会のあり方をこれからの日本にふさわしいものにしていくために努力してまいります。そして、今年の年末には、国民の皆さんに、1年経ったら何かが変わったと実感してもらえるような世の中にしたいと思います。  本年が、皆さんにとって、素晴らしい1年となりますよう、心からお祈りしております。

平成20年1月1日
内閣総理大臣 福田康夫


昨年は、官僚の抵抗、民主党のサボタージュ、マスコミの偏向キャンペーンに引っ掻き回され、後半はグデグデになってしまいました。(ISAFへの自衛隊参加とか、実現するわけないだろ)
今年は衆議院選挙をひかえ、くだらないキャンペーンに乗らずに真面目に日本のことを考える政治家を増やしていかなければなりません。

このところ、ビルマ、パキスタンでの軍事衝突や、台湾海峡の緊張化など、アジアの平和に真剣にとりくむ必要があるからです。横峰パパとか、姫の虎退治とか、一瞬のイメージによって国会がねじれ、何一つ問題が解決に向かわない状況にあります。ちなみに参議院の任期は6年ということは2013年までずーっと横峰パパとかが参議院に居座るわけです。
今年の北京五輪、2010年の上海万博を経て、中国が一気に牙を剥く、という話もあるくらいですから、2013年までの任期というのは実に長い。

韓国大統領選挙も、「あれが候補者じゃ韓国国民はかわいそうだな」とも思いましたが、日本もそうならないようにしなければなりませんね。(やっぱり閣下か)

最後に、「新年にあたり天皇陛下のご感想」を引用して終わりたいと思います。

平成20年の新年に当たり天皇陛下のご感想

 昨年は石川県と新潟県に地震があり,厳しい冬を過ごす被災者の苦労が察せられます。大雨などの自然災害は少ない年でしたが,国民生活に不安をもたらすような社会的状況が幾つか明らかになったことは残念なことでした。  新しい年が国民一人一人にとって幸せなものであり,世界の人々が互いに信頼し合って暮していける社会が築かれていくことを願っています。

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