2008年1月3日木曜日

生きていくのは大変!

アフガンでは08年もアヘン生産活況に=反政府活動も継続-ISAF司令官


【カブール2日AFP=時事】北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)司令官、ダン・マクニール米陸軍大将は2日、カブールで記者会見し、アフガニスタンのアヘン生産は2008年も活況を呈するだろうと述べるとともに、タリバンを中心とする反政府勢力の暴力も継続するとの予想を示した。
 07年のアフガニスタンのアヘン生産は8200トンを上回り、同国は世界最大のアヘン生産国となっている。アフガンにはNATO部隊約4万人が駐留し、反政府勢力と戦っている。
 マクニール司令官は会見で、「今年もアヘン生産は急激に伸びるとみている。これによって、治安面はまた厄介なことになると思う。非常に懸念している」と語った。同司令官はさらに、「数十億ドルに上る麻薬取引がカルザイ政権、NATO部隊、その他の部隊に対する反抗を助長している」とし、「麻薬が金に変わり、次いで改良された遠隔操作爆弾やカラシニコフ銃に変わる」と指摘した。
 またマクニール司令官はタリバンの活動について、「主として道路わきに仕掛ける爆弾や自爆テロにより、反政府活動を続けることになるだろう」と述べた。〔AFP=時事〕

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お正月でニュース番組がないからなのか、本当に報道すべきものがないからなのかどうかはわかりませんが、ぼけーっとテレビを見ていると本当に(よくも悪くも)平和な感じが漂ってますね。
「アフガニスタン地域でのアヘンの生産が急激に伸びる」ということは、アヘンの原料となるケシはwikiによれば、

"9月下旬、10a当たり180mlの割合で種子をまく。翌春、間引きし、株間約10cmとする。5月上中旬、開花、花弁が落下し数日を経て子房が十分に発育した頃、子房の立隆線にそって浅く切り傷をつけ、アヘンを採取する。" 

となっているので、反政府勢力化にある地域が安定的にその地域で影響力を及ぼしていくだろうという見通しがあるということです。

ところで、アヘンを育てるといっても、なかなかピンときませんね。アヘンってそんなに儲かるの?というのが素直な感想です。

そこで紹介するのが、この"3rd World Farmer"というゲームです。



コペンハーゲンの大学のプロジェクトとして作成されたゲームで、2005年に発表されているのでご存知と人もいるかもしれません。第三世界の貧困国の家族を主人公として、わずかな元手と小さな畑と自分の家族という労働力で、すこしずつ生活を安定させていくというゲームです。




最初に手元にあるのはわずか50ドル。狭い畑に植えるための十分な種子をも買うことができません。コツコツと比較的安価な農作物を真面目に育てて元手を増やします。収穫を増やすためには労働力を増やさなければなりません。子供を生んで育てるわけですが、子育ての間はお母さんの分の労働力はマイナスになります。うまくバランスをとらないと収支がマイナスになってしまうわけですが、そうすると家族の誰かを町に働きに出さなくてはなりません。"leave farm"と選択すると、その家族は町に出て、その一時金が手に入るわけですが、その子が町で何をしているのかもわからず、二度と家族の元には帰ってこないという後味の悪さです。


収穫が軌道に乗ってきて、家族も増えだすと、比較的運営が楽になるのですが、そこには様々なイベントが発生します。(しかもイベントは悪いことばかりです。)
せっかく育てた作物が「国際マーケットの値崩れ」により、買い叩かれる。部族間の争いが起こり、家畜や農具が奪われる。疫病により家畜が全滅する。火事が起きる。旱魃が起きる。中央銀行が破綻して資産が無くなる。といった具合で、幸運を祈るというよりも、「どうか不幸なことが起こりませんように」と祈るような毎日が続きます。


そこに付込むかのように起こるイベントも風刺が効いていて、先進国の人間らしき人物から「産業廃棄物を預かってくれないか」(一時金が手に入るものの家族が病気になる)や、「アヘンの栽培を勧められる」(高値で買い取ってもらえるものの、何回かの割合でどこからともなく軍用機が飛んできて、畑と家族ものとも爆撃される)など、笑えないイベントばかりです。


収入を安定させ、学校を建てて子供に教育を与え、診療所をつくり、衛生環境を整えたり、ゲリラに襲撃されないために政治献金をしたりしながら、学校を作って子供に教育をしたり、診療所を作って衛生環境を整え、いくつかの条件を満たした上で、"crop insuarance"(作物補償)を得ることができるとクリアなわけです。


クリアするとスコアが出てきて全世界でのランキングが発表になります。スコアはプレイ時間や資産、子供の累計教育期間などにより算出されます。私は少しでも良いスコアをと思い5時間くらいプレイしてしまいました。


ゲームとしてはこれで終わりなのですが、シュールなのはこれからです。


5時間にも上るプレイのおかげで世界ランキング93位をとることができました。
しかし、考えてみれば、インフラのない村に、家族がこれ以上死なないだけのインフラを整えるのに一生涯を費やしました。
子供に教育を与えたものの、最後にはスコアに反映されるのでほめられた気がしますが、ゲーム中は教育があってよかったことなどありません。(町に働きに出す時には一時金は増えますが)学校に通う間は労働力の減退になります。


結局のところ、スコア=先進国の評価であって、ゲームを有利に進めるのならば、家族の命を使い捨てにして、アヘン栽培などの誘惑に加担し、役人には賄賂を渡して、子供には教育など与えずに働かせたほうが家族は裕福に勧められるのです。
なんという矛盾。


ゲームのルールにはもちろんそんなことは書いてありませんし、あくまでプレイした僕の感想です。
しかし、先進国に住む我々の頭で量ったものとは違う理屈がこのゲームに内在しているように思います。

私の感想とは別に、このゲームについて紹介しているサイトがありますので興味のある方は参照してみてください。

4gamer.net

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