2008年1月16日水曜日

中の人にはわからない

福島・社民党首は「極左」 自民の一部「極右」なのか
【J CASTニュース】2008/1/15
http://www.j-cast.com/2008/01/15015574.html

自民党の太田誠一衆院議員(福岡3区、元総務庁長官)が、地元・福岡で開かれた会合で、社民党の福島瑞穂党首を「極左系の弁護士」呼ばわりしたとして、社民党が怒っている。「抗議や謝罪要求をするか検討中」とのことだが、一方の福島氏も、自民党の一部を「極右」と呼んだ過去もあるのだ。どうやら「お互い様」の面もありそうだ。

「あまりにも常識を欠いています」

ウェブ日記には「自民党は、極右政党と保守リベラルが混ざってる」記載 毎日新聞が2008年1月14日に報じたところによると、太田氏は1月13日、自身の「新春の集い」であいさつし、テロ対策について触れる中で、「(我が国では)極左系の弁護士もたくさんおり、国会議員になっている。どこかの党の党首になっている」などと述べ、会合終了後の毎日新聞の確認取材に対して、党首のことは「福島瑞穂氏だ」と述べたという。

同紙の記事には、社民党福岡県連の豊島正章幹事長の
「党首に対し、極左、すなわちテロリストのイメージをあおるような発言は断じて許すことができない。社民党もテロ撲滅に向けて、全力を挙げており、国民に著しい誤解を与える」という批判コメントも紹介されている。 豊島氏によると、発言は毎日新聞の記者からの取材で知ったといい、J-CASTニュースに対しても、

「(福島党首は)思想的には左寄りなのでしょうけれど、私たちの党首を『極左』と呼ぶというのは、あまりにも常識を欠いています」とコメント。今後の対応については、

「もちろん東京の本部には報告しますし、県連としての対応を議論しているところです。単に抗議にとどめるか、謝罪要求までするか、あらゆる可能性を検討しています」とのことだ。

ウェブの日記で「自民党は、極右政党と保守リベラルの混合」 すっかりおかんむりの様子だが、ネット上には「社民党が人のことを言えるのか」との声もささやかれている。やり玉にあがっているのが、福島党首がウェブサイトで公開している日記「福島みずほのどきどき日記」の06年1月15日付けだ。各野党のスタンスについて問題提起する内容で、ヨーロッパ各国の政党について

「極右政党と保守リベラルの政党は、全く一線を画している。一緒になることは、ない。そして、社会民主主義を実現する社民党があり、緑の政党などが、きちんと一定の役割を果たしている」と述べた上で、その逆の事例として、日本の国内情勢について、このように書いたのだ。

「ところが日本では、自民党は、極右政党と保守リベラルが混ざり、かつ、はっきりと民主党は、社会民主主義政党ではない」 いわば、自民党の一部が「極右勢力」であることを示唆した形だ。
J-CASTニュースでは、太田氏の事務所に、今後の対応についてコメントを求めている。

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 社民党という政党はどこに向かっているのでしょうか。こういう政党がいまだ活動していること、少数とはいえ、国会において議席を獲得していることに驚きを禁じえません。

 社民党自体は、社会党崩壊の流れの中で取り残された、左巻きの色濃い連中の所帯なので、極左と呼ばれてもあまり違和感がないように感じますが、中の人にとっては、「自分たちの考えが真ん中」ということなんでしょうね。

 先日、ある人の薦めで、大江健三郎の「セブンティーン」という小説を読みました。さわやかなタイトルとは裏腹に、左巻きの御大、大江健三郎の電波飛びまくりな、刺激的な作品でした。

 1960年に日本社会党(つまり社民)の党首、浅沼稲次郎を暗殺した山口二矢という右翼少年の、犯行にいたるまでの過程を書いた作品です。(ちなみに犯行自体を描いた「政治少年死す」という作品は物議を醸しすぎて出版されませんでした。興味がある人はコチラ)もともと左的な思想を持った少年が、自分の胸のうちにある劣等感や、若さゆえの焦燥感から右翼に転向し、もてはやされてホルホルする、という話で、ノーベル賞級の文章力で、己の思想信条に反するものをここまで貶めないと気がすまないのか、と大作家様の背負っている業に恐ろしさを感じました。

 で、劇中に右翼と呼ばれる人たちの考えなどが描写されているわけですが、「軍隊を文民が管理するなんてとんでもない。議会から取り上げ、統帥権を復活させるべきだ」などと、ネット右翼もびっくりな思想を開陳するわけです。
 まさに、「極右」とはこういう考え方のことを言うのでしょうね。

 少し前に、中川元幹事長(酒)が「原爆保有についても議論する必要がある」発言でものすごく叩かれていました。それこそ極右と言わんばかりに。 でも、「危険な思想だから圧殺するべきだ」ということなのでしょうか。その方がよっぽど危険な思想です。

 そういう危険性から目を背けても非難する姿勢、または、そういう動きをなし崩し的に許容してしまう風土があるとするならば、我々の住むこの世界は、全体的に左翼的言説に影響されたものであるのかもしれません。

 自分の立っている立場は常々センターだと思い勝ちですが、そういったことを時に疑い、マヒしないようにしなければいけません。



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