2008年2月29日金曜日

越えられない壁

中国側発表「看過できない」…警察庁長官が反論
(2008年2月28日22時00分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080228-OYT1T00496.htm

中国製ギョーザ問題 中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国公安省幹部が中国国内で有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が混入した可能性を否定した発言について、警察庁の吉村博人長官は28日の定例記者会見で、「看過できない」「こういうことを予告もなくポーンと出してくるのはいかがか」と厳しい口調で反論した。

 吉村長官は、<1>検出されたメタミドホスは不純物が多く、国内で流通していない<2>実験の結果、メタミドホスは袋の外側から内側には浸透しない<3>千葉と兵庫で中毒を起こしたギョーザが国内では別ルートで流通している――ことなどを挙げ、改めて「日本国内での混入の可能性は極めて低い」と強調。中国公安省刑事偵査局の余新民・副局長の28日の会見内容は「不可解な点が多い」と述べた。

 特に余副局長が「実験の結果、メタミドホスは袋の外側から内側に浸透する」として日本側の鑑定結果と全く逆の見方を示した点については、「科学的データをもらいたい」と疑問をなげかけた。

 警察庁によると、今月21、22の両日に来日した中国公安省幹部との協議や25~27日に北京で開いた会議では、日本側から、メタミドホスが検出されたギョーザの鑑定結果や袋の写真、ガスクロマトグラフィー質量分析装置によるメタミドホスの不純物の分析結果などを中国側に提供した。一方、中国側には、過去に河北省などで起きたメタミドホスを使った事件3件の捜査資料や、製造元の「天洋食品」(河北省)の工場内を撮影したビデオなどを求めているが、「探している」などとして提出されていないという。

 吉村長官は、余副局長が鑑定結果や証拠を日本に求めても提供されないと発言したことにも触れ、「誤解を招く言い方だ」と反発した。

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 毒物の手に入りやすさや、世界を席巻している中国製品の品質に対する評判といい、日本における流通経路や、警察の科学捜査の結果といい、状況証拠で言えば「真っ黒」なわけですが、逆ギレして居直る天洋食品、「袋の外から浸透した」とか、「中国国内でメタミドホスが混入した可能性は極めて低い」と嘯く中国公安省。チャイナリスクの健在ぶりを華麗にアピールという感じです。

 2007年11月27日、人民日報は26日、北京で開幕した「国際食品安全フォーラム」で、中国の輸出食品の品質合格率が99%以上であり、安心できる品質を維持し続けているという、国家質検総局李長江(リー・チャンジアン)局長の話を伝えた。
http://www.recordchina.co.jp/group/g13196.html

だそうですが、「仮に100袋の冷凍食品のうち、1袋から毒が検出されたとして、それが問題なんですか」という感じですか?

ロス疑惑の解明のため、アメリカ捜査当局に協力する警察庁や、日本で犯罪を犯してブラジルで捕まったブラジル人の代理裁判など、司法の国際的な連携が話題に上る昨今ですが、この国には、そういう普遍的な価値を共有できるようになるまでにはまだまだ時間がかかりそうです。



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2008年2月26日火曜日

どう評価されているか?

アメリカの人々やメジャーリーガーにイチローはどう評価されているのか


松井秀喜はアメリカでどう評価されているのか?


城島と田口はアメリカでどう評価されているのか?


岡島秀樹はアメリカでどう評価されているのか?


斎藤隆と松井はアメリカでどう評価されているのか?


イチロー おかわり


ニコニコでひろいもの。

日々、メジャーリーグまで追っかけたりはしてませんでしたが、こうして海外で活躍し、現地の人に受け入れられている姿を見ると、ちょっと日本人としてうれしいです。

特に、イチローのレーザービームと、それをキャッチして、ホームベースを身体を張って守る城島のコンビは鳥肌ものです。

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2008年2月25日月曜日

むしろ邪魔。

「リストラ戦艦」橋下に「民間」が援軍 お役所仕事「邪魔」
【J-CAST ニュース】2008/2/25
http://www.j-cast.com/tv/2008/02/25017053.html



またまた大阪のハコ物のお話。橋下知事がおととい(2月23日)、大型児童施設「ビッグバン」(和泉市)を視察した。館長は「銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」で知られる松本零士さん。宇宙船が傾いたような斬新な外観が売りの施設で、総工費171億円。

意見交換の場では、建物のつくりの話になった。

松本館長は「円盤がここに降りて子どもたちの夢エネルギーをいただいて、というテーマに即してつくったものです」

知事「館長のテーマですね。子どもを遊ばせるには、この形でなくてもよかった」と話はかみ合わないまま。最後に「宇宙戦艦ヤマトが大好きです」

しかし、視察後は「めまいがしますね。どうしましょう。最初の段階で考えられなかったのか。それは破産しますよ」

知事は、「残すべきものは残す」としているが、切るべきものは切る。

きのう(24日)視察した大阪府立青少年会館(中央区)では、人件費について突っ込んだ。

この施設は、2005年度までは財団法人が運営。06年度からは民間会社に委託しているが、民間側職員の年収が300万円なのに、財団側は1000万円。府は「年齢の差とか」というのに、知事は「職種の内容は?」「差がありません」。

さらに民間業者は「財団の方は、スタジオのカギを開けるとか…」

知事「必要ないということですか?」

業者「端的に申しあげれば、むしろ邪魔

府担当者「今後のあり方を検討して‥‥」

知事「検討というか、なしでいきましょう」と即決で、来年度の財団職員カットを決めた。

視察後、橋下知事は「邪魔だというのは衝撃でしたね。本当に実態を見てよかった」

みのもんたがあらためて説明した。

05年までは財団職員11人に1億1000万円(1人1000万円)。

06年からは民間6人に1800万円(1人300万円)、財団職員5人に5000万円(1人1000万円)で、計6800万円。「おかしいでしょう」

河村たかし衆院議員は「こういう天下りの紹介は、地方議員さんが多い。決めたのは議会なんですから、そこもやらないといけない」

平沢勝栄衆院議員は「これは大阪だけじゃない。国も全国も。だから抜本的にやらないといけない」

河村議員はさらに「議員が職業になって長いことやろうと思うと、役人とぐるになる」

みのは「渡辺喜美大臣に大暴れしてもらわないと、行政改革なんてできない。独立行政法人なんてこれからですからねー」

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 どういう経緯でこういう映像がとれたのかわかりませんが、すごい絵ですね。

 この民間委託業者は、明日もきっとこの財団職員と仕事をしなければいけないわけですし、これだけおかしな制度を後押ししてきた大阪府職員を敵にまわしたわけですから。

 よっぽど普段の財団職員の働き方や態度に不満を持っていたのか、はたまた、それだけ橋下知事に対する信任が厚いのか。

 いずれにしても、こういう構図は日本全国にあるのでしょうが、ここまでストレートに顕になるのは爽快であり、勇気を持って発言したこの民間委託業者を応援したくなります。

 それにしても、みのの番組は、何故か議会との対立を煽るような構成に腹が立ちます。

 物事には順番があって、行政の長たる首長が、まず自身が率いる府庁の問題を明らかにして、改善を図っているのだから、視聴者を代弁するのなら、まずはその働きを評価するのが筋ではないか、と思います。

 大阪府議会議員にも問題とすべきところはあるのでしょうが、就任早々にあらゆるところに喧嘩を売らせるような論調は、まるで、橋下知事の失策を望んでいるのではないかと勘繰りたくなります。

 河村たかしや、平沢勝栄のような御用聞き電波芸者議員ぶりも鼻につきます。

 マスコミの役割の一つとして、権力の監視というのは確かにあるのでしょうが、揚げ足取りや、印象操作、くだらない揶揄を行うのではなく、きちんと良いところは良い、悪いところは悪い、と取り上げる良心的な報道はなかなか見られないのが残念なところです。



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2008年2月24日日曜日

ゴールは何処?


部落解放県集会 井筒監督が講演

(2008年2月24日 読売新聞)



津、1000人が参加


 部落差別をなくし、人権問題に対する意識を高めようと、「部落解放研究第13回県集会」が23日、津市の県総合文化センターで開かれ、約1000人が参加した。


 全体会では、集会の実行委員会の大西保定委員長が、「依然として厳しい差別が存在している。広い範囲で諸団体が連携し、反差別のつながりを大切にしていければ」とあいさつした。


 続いて映画監督の井筒和幸さんが、「差別・みんなでパッチギ!」と題し、約2時間にわたって、対談形式で講演を行った=写真=。奈良県で過ごした小中学校時代に知人や友人を通じて差別の存在を意識し始めたと述べ、さらに、若い世代に望むこととして「戦争がどう始まり、どう終わったかなど、日本の歴史をしっかり勉強してほしい」などと語った。


 きょう24日は午前10時から同センターで「人権意識調査から見えてくるもの」など、4テーマで分科会が開かれる。


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 マイノリティであることを理由として差別を受ける風潮は根絶されるべきであると思いますが、マイノリティであることを拠り所として、運動体を組織し、特定集団の要求実現の手段に摩り替えるのには断固反対しなければならないと思います。


 東京に住んで何十年にもなりますが、部落、在日などのマイノリティが差別を受けている姿を目にしたことは一回もありませんし、運動体のあり方に疑義を呈することがあっても、自分自身が差別に加担したことなど一回もありません。


 東京と地方、特に関西では実態が違うのかと思ったこともありますが、世代間での違いもあるのかもしれませんが、橋下知事も、「少なくとも、自分より下の世代では、部落差別はない」と断言していました。


 よって、自分が目や耳にするところでは、少なくともそういう差別はもはや過去のものであると思っています。


 通常の暮らしをしている市民の目に見えないところで差別が行われているというのであれば、個別的な事例について検討すべきであって、井筒監督がよくやるような、「過去にこんな体験をした。我々は多かれ少なかれこんな経験をしている。これは今も連綿と続いている」みたいな問題の一般化が、通常の暮らしをしている市民に受け入れられないのは当然であると思います。


 一方で、差別根絶を背景に発生したアファーマティブ・アクションともいうべき特権は、もはや利権として、今も特定の受理者に甘受されていることが次々と明らかになっています。


 例えば京都市職員の、部落枠により、犯罪者が京都市に雇用されていること、三重の、長年に渡って出勤せずに給料をもらっていた開放同盟幹部職員など、例に暇もありません。


 そういう部分のヤミを自浄できずにいる団体が、「まだ足らない」と言っていても説得力がないのは当たり前です。


 運動自体が仕事になってしまった人にとっては、差別があろうとなかろうと、「ある」としなければ明日から仕事がなくなってしまうのだろと同情します。(環境問題も同じにおいがします)


 だが、そういう被害者根性と、社会の要請を正面から受け止める姿勢の欠落が是正されない限り、差別の根絶は難しいのかな、と思ってしまいます。







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2008年2月23日土曜日

葉桜の季節に国を想うということ

外国人参政権 国のあり方を政争の具にするな
(2月23日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080222-OYT1T00802.htm

 永住外国人への地方参政権付与という、すでに決着したはずの問題が、なぜ、こうも繰り返し、蒸し返されるのか。

 韓国を訪問した民主党の小沢代表が李明博次期大統領と会談し、「もたもたしているのは非常に遺憾だ。実現できるよう努力したい」と述べ、法案の早期の国会提出、成立に強い意欲を示した。

 だが、憲法の規定や、国のあり方という基本的な観点から見て、たとえ地方であっても、外国人に参政権を認めることはできない。

 1995年の最高裁判決は、憲法15条の公務員を選定・罷免する権利は、日本国籍を持つ「日本国民」にある、と明示した。地方自治体の首長や議員を選ぶ「住民」も「日本国民」としている。

 憲法は、地方も含め、外国人の参政権を明確に否定している。地方自治も憲法に基づく秩序の一環だ。憲法に反することは許されない。

 地方自治体は、住民の権利・義務の規制や、罰則を含む条例の制定など、国と類似した「公権力」の行使を行う。公共サービスだけでなく、国の安全保障や教育内容など、国の基本政策に関する問題にもかかわる。

 武力攻撃事態法や国民保護法は、有事の際の国と自治体の協力を定めている。日本に敵対する国の国籍を持つ永住外国人が選挙権を行使し、国と地方の協力を妨げれば、日本の安全が脅かされる。

 民主党内では、永住外国人への地方参政権付与を推進する議員連盟が発足する一方で、慎重論を唱える議員連盟が設立された。外国人に地方参政権を付与した場合、国の基本を揺るがす恐れがあるという強い懸念があるからだろう。

 地方参政権付与論が蒸し返されるのは、95年の最高裁判決が、傍論部分で、永住外国人への地方参政権付与は憲法上、禁止されておらず、国の立法政策にかかわる問題としているからだ。

 だが、傍論は明らかに本論と矛盾し、法的拘束力もない。傍論を根拠にした地方参政権付与の主張は、無理がある。

 問題なのは、民主党内で、「自民、公明両与党分断の揺さぶりになる」という判断が加わって、地方参政権付与の推進への積極的な動きが出ていることだ。

 地方参政権付与を主張する公明党は既に法案を国会に提出しているが、自民党内に慎重論が強く、たなざらしのままだ。だが、民主党が公明党と同様の法案を提出すれば、公明党は賛成し、自民党も動揺する、と見ているのだろう。  国のあり方にかかわる問題に政略的な思惑で対処することは、許されない。

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  国のあり方にかかわる問題に政略的な思惑で対処することは、許されない。

 最近の政局は、この一言に尽きると思います。

 対テロ特措法の延長反対からはじまり、ガソリンの税率をめぐる動きといい、国民議論の高まりや、国際社会からの要請で出た話題ではなく、単に政治的な対立姿勢を鮮明にするための政策論争に終始している印象はぬぐいきれません。

 憲法問題を始めとして、重要な議題に対して、特別措置法を乱発して、その場しのぎをしてきたツケともいえるのですが、だとしても、「生活が第一」の民主党が「政治を第一」に、国民をミスリードしていく姿勢には、甚だ疑問を感じます。

 小沢氏は、昨年末の訪中に引き続き、韓国を訪れ、勝手な空手形を乱発しています。

 李(明博)氏が在日本大韓民国民団(民団)の要望として地方選挙権の付与を求めたのに対し、小沢氏は「韓国が先に外国人に地方選挙権を認める仕組みを作った。日本がもたもたしているのは遺憾だ。実現できるようにできるだけ努力したい」と表明した。
(中日新聞2月21日)

 外国人参政権問題は、国柄を決定する大切なイシューですが、特に反日姿勢の強い国家をたきつけて、国際問題化させて、拙速な議論を迫り、政争の具にするというのは、読売の社説にあるとおり、許されないことだと思います。

 民主党は、自民党一党独裁へのアンチテーゼという意味が強い政党なので、二大政党制に固執するのはわかりますが、そのために、国民の生活に不利益を押し付けるのであれば、仮に一時政権を執ったにしても、瓦解するのにそう長い時間はかからないと思います。

外国人参政権については「そこまで言って委員会」でも取り上げられていました。テキスト起こしをして下さっているサイトがありますので、こちらも参照ください。

ぼやきくっくり 「たかじん委員会」韓国と外国人参政権と在日特権






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2008年2月22日金曜日

深い闇


「道路造れ」特定財源でミュージカル 劇団も困惑気味



 使い道が限られているはずの道路特定財源がミュージカルに使われていた。国土交通省の委託を受けて制作・上演していたのは「劇団ふるさときゃらばん」。冬柴国交相が国会で「やめる」と言って注目を集めたが、道路整備の啓発ミュージカルって、どんな筋立てなのか。劇団側は今、どう感じているのか。


 作業着姿でツルハシをふるう人たちが、晴れ晴れとした表情で高らかに合唱する――。
 「道路を造れ。道路を造れ。おれたちみんなの生きる道だ。車の走れる道路を造れ。日本の明日をつくる道だ」


 国交省の委託で「劇団ふるさときゃらばん」が制作したミュージカルは「みちぶしん」という題だ。映像と脚本を入手し、鑑賞してみた。


 縄文期から現代へと時をめぐりながら、人と道のかかわりの物語をオムニバス風につづる。
 97年開通の長野・岐阜県境の安房トンネルの工事場面では、熱湯が噴き出す厳しい現場を描写。弱音を漏らす作業員に向かって現場監督が言う。


 「トンネルが通らなかったら、山に囲まれた地域は発展できない。日本中の山里は過疎で人がいなくなってしまう」


 雪深い集落を舞台にした物語では、道路に不満を持つ住民らが、多忙を極める市の土木課職員の姿に感嘆する。役所に頼ってはいけないと、自分たちで峠の草木を切り、峠の眺望を取り戻す。
 そして、フィナーレの歌。「山川を越え、暮らしをつなぐ。道は大地のパーツ」「道路走って世界を開く。道路は新しい時代をつくる」――。


 同劇団は東京都小金井市を拠点に83年に結成。日本の風土に根ざした創作ミュージカルの旅公演で知られ、47都道府県の計1100を超す市町村で上演してきた。サラリーマンの哀感を描いた作品は代表作の一つ。今は消防団の活躍を描いた作品を上演中。文化庁芸術祭賞も受賞している。
 脚本・演出の石塚克彦さん(70)は「道路特定財源を使っているとは知らなかった」と、今回の騒動に困惑気味だ。「我々は崩壊する地域社会の再生というテーマに力を入れてきた。地域にとっての公共性とは何かという問題につながるという意味で、国交省と問題意識を共有できたので引き受けた」


 国交省から「元々、おらが村の道路をみんなで造るのが公共工事だったが、地域社会と公共工事が離れすぎた。この関係を問い直したい」といった説明を受けたという。


 地元青年団などを巻き込み地域密着の公演をしてきた。石塚さんも地域で取材して脚本を書く。「みちぶしん」も、地域を歩いて感動した話をもとに作ったといい、「内容について国交省の注文は受けていない」。ただ、その制作費は国交省から得ている。入場料は無料とされた。


 制作を委託した国交省の狙いは何だったのか。国交省の中部・近畿両地方整備局が01年ごろ、道路整備の啓発活動「未知普請(みちぶしん)」を開始。舞台はその一環だった。


 費用は、道路特定財源を主な原資とする道路整備特別会計から支出。主に両地方整備局管内の各国道事務所などが劇団と随意契約を交わした。


 随意契約理由書では、この劇団名をあげて「『公共と地域』をテーマにしたミュージカルを数多く手がけ、本業務の遂行に能力を有する唯一の社」と明記。同省の資料には「情報があふれる現代社会は、楽しみの中に正論を忍ばせる工夫も重要」と記されている。


 道路特定財源は道路整備を目的に、ガソリン税などでドライバーらに負担させている。


 「道路特会の支出で、無駄もあったんじゃないんですか」


 14日の衆院予算委員会で保坂展人氏(社民)がこう指摘すると、冬柴国交相は「(支出が)過大という評価であれば、やめさせます」と答弁。


 冬柴氏は21日の衆院本会議では、上演回数が95回に上り、総額5億7000万円を支出していたことを明らかにし、「一切行わないことを決めました」と強調した。


 未知普請を発案した同省幹部は「活動の狙い自体は間違っていないと確信しているが、あんなに頻繁にやる必要はなかった」と話す。


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 道路行政の啓発ミュージカルと聞いて、どんな馬鹿げた代物かと思いましたが、こんなストーリーのようです。




-道は獣道から始まった-
道のはじまりは、はるか昔。動物たちが歩いた跡、獣道にさかのぼる。三ヶ岳のふもと、トンガリ村の人々は狩りをし、木の実や山菜をとってくらしていた。近くの峠では刃物となる黒曜石がとれる。それを目当てに、遠く海の村から物々交換にやってくる海の人・カイ。山の若者・タケトはカイの海の話に心を躍らせ、「海が見たい」一心で、はるか遠く海の村へと旅をする。若者・タケトの冒険がはじまる。

-文明の夜明け-
中世、人々のくらしは獣たちと隣りあわせだった。桔梗ヶ原(ききょうがはら)に鉄路がしかれ、狐たちの縄張りをわがもの顔で縦断する蒸気機関車が出現。誇りを傷つけられた狐の大将・玄蕃之丞は、蒸気機関車に戦いを挑む。人と獣が同じ世界にくらし呼吸していた時代が鮮烈な詩情で描かれる。そして旅と言えば徒歩や早篭、人力車だったのがスピードを求めて、自転車に乗ろうとズボンをはき、馬が歩く道にはバスが乗り入れ、ガタゴトとにぎやかに走ってゆく。戦後まで日本の道路は、江戸時代のまま。クルマが走れる道路をつくり、自家用車に乗ることが日本人の夢となり望みとなる。道路づくりは国の復興をかけて急ピッチで進められた。

-くらしと道、そして未来へつながる
山あり谷ありの日本ではすんなり道路はつくれない、トンネルを掘らねばならなかった。冬から春にかけて半年間、通行不能となる安房(あぼう)峠では、18年におよぶ熱と水とのたたかいの末、安房トンネルを完成させた。あまりにも当たり前に道路が走る現代。新しい時代に向けて、道路と人間の新しいコミュニティづくりが求められ、豊かなふるさとへのメッセージがうたいあげられる。





そんでもって、サイトで紹介されている反響がこんな感じ


みんなの息があっていたのが不思議ですごかった。ジャンプした時いたくなかったか不思議に思った。ブルトーザーかショベルカーなどの役をやっている人はすごい筋肉だなと思った。(男・中学2年)


道の大切さを当たり前に思っている。道はたくさんの人の手によって出来ているとわかった。道を大切にするにはゴミを捨てないことから道路がキレイになっている。道をつくった人の苦労ほどでは無いけれど、ゴミを捨てないことからはじめようと思いました。(女・小学5年)


みちのことをみていろいろなものがわかってうれしかったです。次やるときもみたいです。すごくよかったです。もっとみたかったです。すごく楽しかったです。(女・小学4年)


道がくらしとかかわっているんだなあと、ひじょうにおもいました。おもしろかったです。(男・小学3年)


みちはこんなにすてきなんだと、おもった。みちをたいせつにしないといけないんだなとおもった。(女・小学2年)





 みごとに道路整備の意義が、幼い子供たちにも啓発されていて、さすが国土交通省という感じですね。


 この「劇団ふるさときゃらばん」というところは、佐藤江梨子の姉も所属しているらしく、劇団としての体裁は整っているおうです、この演出家のインタビューを見る限りでも、「国交省との口裏合わせはちゃんとできてます」みたいなものを感じてしまいます。


 入場料無料で公演を行っている時点で、なんかしらのヒモがついているのは明らかじゃないですか。


 猪瀬直樹の著書に出てきますが、省庁の周りにある、財団法人というのも問題ですが、その財団法人が隠れ蓑に使っているこういう団体にまでメスを入れていかなくてはいけない、この国の利権構造の深さに恐ろしさを感じます。







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2008年2月21日木曜日

唖然。

東アジア選手権 日本、中国に勝利~君が代へのブーイングはなく、場内の雰囲気は一変していた
【毎日jp】毎日新聞 2008年2月20日 21時14分
http://mainichi.jp/select/today/news/20080221k0000m050101000c.html (←修正済み)



 ◇サッカー・東アジア選手権第2戦(20日、中国・重慶)
 ○日本1-0中国●(前半1-0、後半0-0)

 6人を入れ替えた岡田ジャパン。先制点を決めたのは、右太もも裏痛で初戦を欠場した山瀬功だった。

 前半17分、駒野が左サイドから仕掛けた。DFをかわし左足でクロス。GKが弾いたこぼれ球を、詰めた 山瀬功が豪快なボレーをがら空きのゴールへ叩き込んだ。北朝鮮戦で日本に足りなかった、ゴールを 目指す姿勢があった。

 欲を言えば、そこから一気に力でねじ伏せる力がほしかった。だが、体格で上回る中国のロングボールに 慌てる場面も。前半32分には目測を誤って最終ラインの裏をとられ、楢崎の果敢な飛び出しで失点を免れる 場面もあった。

 ある意味、拍子抜けの部分もあったかもしれない。激しいブーイングを浴びた初戦の北朝鮮戦から中2日。 岡田監督は反日感情に満ちた4年前のアジアカップの再現も覚悟し、「ブーイングで我々のプレーは変わらない。 審判の判定などに影響はあるかもしれないが、いい経験。これからいろんなアウェーを戦うわけだから」 と語っていた。だが、君が代へのブーイングはなく、後半に観客が着火した発煙筒もすぐに警備員に消された。 初戦と同じ会場とは思えないほど、場内の雰囲気は一変していた。

 だからこそ、地力の差を見せつけるチャンスはあったはずだ。岡田監督は以前から、「フィールドのラスト3分の1 の攻撃の精度を高めたい」と言い続けてきた。課題は持ち越しとなった。【安間徹】

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 動画の通りです。

 元記事の、毎日jpの記事はURLが削除され、香ばしい部分が差し替えられて、再度アップされていたみたいですが、なんだか、新聞じゃなくて、ブログみたいな運営ですね。

「小日本を打倒せよ!」 中国のサポーター、日の丸燃やし、ペットボトル投げ、ブーイング。選手に罵声…サッカーで負け

首締め、とび蹴り、誤審、花火…混沌の極みの日中戦にも関わらずマスコミは何事も無かったと報道


日本代表全員 10.0 (A代表採点スレ part8より)



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2008年2月18日月曜日

コンプライアンス

日教組の宿泊拒否、法違反の疑い濃厚 厚労相
【産経ニュース】2008.2.18 16:41
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080218/plc0802181641005-n1.htm

 グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)による日教組の教育研究全国集会(教研集会)への会場提供拒否問題で、集会参加者用に予約した約190室の宿泊についてもホテル側が拒否していたことが分かり、舛添要一厚生労働相は18日の衆院予算委員会で、「旅館業法に違反する疑いが濃厚だ」と指摘した。

 旅館業法は、伝染病や賭博などの違法行為の恐れや空室がない場合以外は宿泊を拒んではならないと規定している。舛添氏によると、港区がホテル側を事情聴取する予定という。

 また鳩山邦夫法相は、会場使用を認めた司法判断に従わなかったホテル側の対応について「あくまで一般論だが、裁判所を無視した当事者がいるとすれば、法治国家にあるまじき事態だ」と述べた。

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 裁判所の命令を蹴ってでも、日教組への会場提供を拒否したプリンスホテルですが、参加者の宿泊拒否が旅館業法違反にあたるということです。

旅館業法に抵触するとするのは、おそらく以下の部分です。

第五条  営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一  宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
二  宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三  宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

 ということですが、そもそも旅館業法とは

第一条  この法律は、旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

ということを主旨としており、特に第三条においては、

 都道府県知事は、前項各号に掲げる施設の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内の施設につき第一項の許可を与える場合には、あらかじめ、その施設の設置によつて前項各号に掲げる施設(※学校および児童福祉施設のこと)の清純な施設環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、学校については、当該学校が大学附置の国立学校(学校教育法第二条第二項 に規定する国立学校をいう。)であるときは当該大学の学長、高等専門学校であるときは当該高等専門学校の校長、高等専門学校以外の公立学校であるときは当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会、高等専門学校以外の私立学校であるときは学校教育法 に定めるその所管庁の意見を、児童福祉施設については、児童福祉法第四十六条 に規定する行政庁の意見を、前項第三号の規定により都道府県の条例で定める施設については、当該条例で定める者の意見を求めなければならない。

として、周辺環境にも十分配慮しなさいよ、ということも同時に言っています。

「宿泊施設はこうしなさい」という法律なので、当然、周辺の環境、利用者を始め、、旅館業に係わるものに十分な配慮をしなさいというものなので、当然ですね。

 今回、宿泊者に配慮がない、と日教組は目くじらを立てているわけですが、この大会当日は、近隣の学校では入試試験があるということで、大きな騒ぎになることをプリンスホテル側は危惧していました。

 荘司副委員長(日教組)は会場使用を認める裁判所の仮処分が決定していることを指摘したが、小山支配人(プリンスホテル)は「結果的には法令を守らないことになるが、企業として判断したこと」と答えたという。

 しかし、近隣の学校に配慮するホテルと、近隣の学校に配慮せずに「オレ達は客だぞ」と言わんばかりにサービスを要求する教師集団のどちらに利があるのでしょうか。

 このニュースを受けて、連合ではプリンス系のホテルを利用しないことを訴えていくそうです。

 古賀伸明事務局長は、今回の要請について、「異例の対応だが、言論、集会の自由を尊重しないばかりか、司法の判断にも従わない姿勢は看過できない」と説明、「企業としてのコンプライアンスが改善されるまでは続ける」としている。

 条例で決められた国歌の斉唱を、個人の心情を優先して守らない連中にコンプライアンスなどという言葉は使われたくありません。

 本来、プリンスホテルは、この5条を盾に受け入れるという選択肢を選ぶことはもちろんできたはずです。

 しかし、そうせずに、裁判所の命令に反してでも、受入を拒否したのは、他の宿泊客や、近隣への配慮があったはずで、その方針は、正に旅館業法の主意に沿ったものであると思います。


違反の疑いがある以上、今後は行政による調査と処分が裁定されることと思いますが、港区および、東京都には教条的な解釈ではなく、プリンスホテルが投じた一石をきちんと受け止めたものにして欲しいものです。



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2008年2月17日日曜日

腐敗臭の元はどこ

NYでオバマ氏票に不自然集計
【スポニチAnnex】2008年02月17日 http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20080217025.html

 16日付の米ニューヨーク・タイムズ紙は、今月5日のスーパーチューズデーに行われた民主党予備選挙のニューヨーク市の一部選挙区で、暫定開票結果にオバマ上院議員への票がまったくないなどの不自然な集計があると報じた。

 公式な開票結果発表に向けて再集計などが行われており、結果によってはこれまでの暫定獲得代議員数に影響を及ぼす可能性がある。

 同紙によると、オバマ氏支持者が多数いる市北部ハーレムにある選挙区では当初、「クリントン上院議員が141票対零票で全投票を獲得」と集計されたが、再集計で「261票対136票」に修正された。また、別の区では「118票対零票」だったのが「118票対116票」と互角になった。同紙の取材では、市の6106選挙区のうち約80区が「オバマ氏零票」の暫定集計結果だった。

 一方、「クリントン氏零票」という区も10前後あり、広い地域でずさんな開票、集計例があることが分かったという。ニューヨーク州予備選の暫定結果では、クリントン氏は得票率57%、オバマ氏は同40%。獲得代議員数はそれぞれ139人と93人とされている。 (AP)

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 アメリカ合衆国というのは、ある意味で民主主義国家の代表とも言うべき国ではあるのですが、その最高権力者を決める選挙さえも公正に行うことができないというのは、滑稽であり、恐ろしいことです。

 前回の選挙でも、フロリダで、かなりグレーな開票により、アル・ゴアが落選し、ジョージ・ブッシュが当選しました。国勢を大きく揺るがすようなシステムが、地方の小さな開票所ごとに工作され、結果が大きく歪められてしまうアメリカという国の腐敗ぶりに思いを馳せていましたが、振り返って、日本の選挙は公正に行われているのかがちょっと気になりました。

 前回の参院選で野党惨敗とか、前回の衆院選で野党圧勝とか、極端に針がふれているので、まあ健全なのではないかと。ただ、地方によっては、同調圧力が強い地域などで、変な監視がついたり、良くない金が動いたりしているのかもしれませんが、選挙結果が歪められるようなことはないだろうと。

 いろいろ、探してみましたが、選挙の公正性を図るものなど、よく考えたら、ネットとは言え見つかるわけありません。代わりにこんなものがありました。

TRANSPARENCY INTERNATIONAL という団体の発行する
Corruption Perceptions Index(CPI:国別腐敗度指標)
http://www.transparency.org/

小さくて、申し訳ございません。((クリックすると大きくなります)

2007年度のランキングですが、

1 デンマーク
2 フィンランド
3 ニュージーランド
4 シンガポール
5 スウェーデン
6 アイスランド
7 オランダ
7 スイス
9 カナダ
9 ノルウェー

ということで、残念ながら、日本は17位。
アメリカはというと20位、という結果でした。


選挙に絞ったデータではないので、ニュアンスは違いますが、腐敗ぶりはアメリカと、どっこいどっこいというところなのでしょう。


それにしても、北欧勢は優秀ですね。



その他の国としては

11 オーストラリア
12 イギリス
14 香港
16 ドイツ
17 日本
19 フランス
20 アメリカ
25 スペイン
28 ポルトガル
30 イスラエル
34 台湾
41 イタリア
43 韓国
60 クウェート
61 キューバ
72 ブラジル
72 中国
72 インド
84 タイ
123 ベトナム
131 イラン
131 フィリピン
143 インドネシア
172 アフガニスタン
172 スーダン
178 イラク
179 ミャンマー(最下位)


という感じでした。

ややヨーロッパに有利な気もしますが、まぁこんな感じでしょう。

それにしても、中国とインドが同ランク、ベトナム、フィリピン、インドネシアがその下とは意外な感じでした。中国は思った以上にちゃんとしてるのか、はたまた別の理由があるのか、勘ぐってしまいます。


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2008年2月16日土曜日

お蔭様。

【溶けゆく日本人】蔓延するミーイズム(7)疲弊する医療現場
【産経ニュース】2008.2.13 08:04
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/080213/sty0802130804004-n1.htm

■権利を名乗る身勝手

 昨年末、東京都内の病院に勤める産婦人科医(38)は、繋留(けいりゅう)流産で手術日を決めたばかりの患者(35)からの電話に一瞬、返す言葉を失った。

 「昨日決めた手術日ですけど、仕事の都合がつかないので変えてください」

 繋留流産とは、胎児に異常があって育たず、お腹の中で死んでしまうこと。そのままにしておくと、出血したり細菌感染しやすいので、死んだ胎児を子宮から取り除く手術をしなければならない。緊急手術が必要なほど切迫した状態ではないが、患者の体のためにはなるべく早く手術をした方がいい。

 年末ということで、手術の予定がかなり立て込んでいた。それでも幸い翌日に空きがあったので翌日の手術を提案したが断られ、1週間後に決めた。もちろん患者もそのとき「この日なら大丈夫」と承諾、スタッフの手配もすませたところだった。

 患者は大手企業に勤める会社員。確かに年末は仕事が忙しいとはいえ、それを承知で手術日を決めたはずだった。

 「絶対に(手術日は)変えられないんですか」と食い下がる患者に、産科医が「すべての患者さんの手術日程を変えないと無理です」とこたえたところ、「じゃあ、そうしてください」との言葉が返ってきた。

 もちろん、すべての患者の手術日程を変えられるわけがない。また、年明け後なら新たに手術日が組めるが、それでは患者の体が心配だ。産科医が改めて「つまり、手術日を変えるのは不可能ということです」とはっきり告げると、「それなら別の病院で手術するからいいです」と、電話をたたききられた。

 この患者は他の病院を数カ所あたったものの、手術を引き受けてくれる病院がなかったことから、結局、この産科医のいる病院で当初決めた日程で手術を行った。

 産科医はいう。

「結果としては無事手術できてよかったのですが、診察や治療以外の対応にこちらはへとへとです。産科医不足がいわれ、実際にみなぎりぎりの状態で仕事をしているのに、わがままな患者に振り回されると、もうやってられないという感じです」

◆◇◆

 都内の別の病院に勤務する産科医(35)も、患者の理不尽な要求にとまどっている。

 1月半ばのことだ。切迫早産で入院していた40代後半の妊婦から、「外出を許可してほしい」と呼び出された。輸入品を扱う店を経営しており、店のことが気になって外出したいのだという。

 この患者は、長年の不妊治療の末にようやく初めての子供を妊娠したのだ。このときは38週で、絶対安静が必要な状態だった。産科医が「子供の命のために、もう少しだけがまんしてください」と説明しても、「私の体のことは私が一番よく分かっている」と、がんとして聞かない。患者の夫に説得してもらおうと「今が一番大事な時期ですから」と説明したが、夫も「妻の言うとおりにしてあげてください」と言うだけ。

 外出されると治療に対する責任がもてなくなることから、「外出したいなら自己退院してもらうしかありません。その代わり、もううちでは診察できません」と告げると、「退院するつもりはない」と言い張り、日中に勝手に外出し、夕方戻ってくるという生活を続けた。

 「子供が本当にほしいから不妊治療をしていたのではないのでしょうか。生まれてくる子供のために、数週間仕事を休むことが、そんなに難しいのでしょうか」と産科医は頭を抱える。命と仕事の重さの違いすら、分からなくなっているのだ。

(後略)

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川上未映子の「乳と卵」を読みました。

こういうものに賞をやるから文学が衰退していくのだろうなと思いました。

純文学という作法に拘泥するあまり、その文法を知らない人からすると、なんでこんな回り道をするような文章を書くのか不思議でならないのですが、そうすることで、文壇みたいな閉鎖的な構造を保持しようとしているのでしょう。そんなややこしい手法を使わなくても、良い小説はいっぱいあるのに。

もうひとつが、時代の移り変わりです。
舞台が東京であるにもかかわらず、銭湯であったり、近所の汚い中華料理屋だったりと、まるで「70年代の小説です。」といっても差し支えないくらいの風景描写です。登場人物は電車に乗ってやってくるわけですが、この描写を見る限り、絶対Suicaなんか使っていないんだろうな、と思わせる空気がありました。

なんで、「乳と卵」のことを持ち出したかというと、純文学と我々の生活の間にある隔たりは、ひとつには先に述べた、文壇とよばれる、出版業界を取り巻く事情の閉鎖性もある、と思うのですが、もうひとつは、現代という時代が、あまり心象風景を語るのにマッチしていないように思います。

今も、昔も、人は恋をし、病気にかかり、誰かと別れを告げ、誰かの死を見送る。そういうことはいつの時代も変わらないはずで、そういうことに直面した人間の心の移り変わりが文学であると思うのですが、そういう風景が「六本木ヒルズで」とか、「とっておきのスイーツが」とか「無線LANの不調により」とか、「googleで調べたら」とかというものと、いまいちマッチしない。

 安易に手に入れたものよりも、苦労して手に入れたもののほうに愛着を感じたりするのが人間だと思いますが、そういう過程にこそ、心情の変化があったり、そこに人柄を見出したり、具体的なイメージが鮮明になったりします。

 「乳と卵」で言えば、普通なら、ググればすぐ終わるはずなのに、豊胸手術のためのパンフレットの山をわざわざ東京まで持ってくる登場人物の行動にこそ、そのキャラクターを位置付ける何かが生まれるのです。

 Michael Crichton は、"Lost World"の中で、「文明が発達したとして、何がおきたのか。自動洗濯機や食器洗い機、様々な機械が発明され、便利になったというが、そういう現代人であっても、毎朝早くに起きて仕事をし、夜遅くまで家事をするというのは産業革命前の生活と変わらない。科学が進化したところで、人間の生活はまったく楽になっていない」ということを書いていました。

 携帯電話が生まれてから、他人の時間の流れにゆだねることが多くなっています。また、ニーズの多様化、サービスの多様化、それを換金して消費する文化というものが確実に世の中にあって、それが加速しているようにも感じます。

 時計の針を戻すことはできませんし、純文学の中の世界が素晴らしいとも思いませんが、調子が悪いから病院に行き、手術が必要と言われたから日取りを決め、別の仕事が入ったから、手術を伸ばし、と入ってくる情報に右往左往するような人というのには滑稽さを感じますし、他人を巻き込んでそれを押し通そうとする人には、やさしさがありません。

やさしさとはイマジネーションです。周りの人の苦労に思いを致し、感謝とねぎらいをわすれないようにしていきたいと思います。

 



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2008年2月15日金曜日

ムダ遣い



みのもんた 朝帯番組に進撃中!!
http://www.tbs.co.jp/asazuba/

みのもんたの朝ズバッ!とは・・・
“みの”が毎日の最新情報に鋭く切り込みます!
“みの”は視聴者の代表です。スタジオにはいつも時の人や専門家。
“なるほど”いっぱいのニュース・情報番組です。
“みの”の芸術的なトークが、視聴者のみなさんを毎朝元気にします!スタジオではおなじみの「8時またぎ」ボードなどをフル活用して、明るいトークと明るいスタジオを展開します!
視聴者の最大関心事を大展開。硬派なニュースから身近な情報まで、見ている人が知りたいことにみのさんが挑みます!
家族で見ていることを意識し、「心地よさ」「さわやかさ」をとどけます!この番組を見れば一日が気持ちよく、元気に始まること、間違いありません!

チーフ・プロデューサー 吉崎 隆
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 テレビなんて、朝、時間を知るためにつけるくらいで、あまり真面目にみることはないのですが、なにげなく着けていた「朝ズバ」のくだらなさにびっくりしました。

 「大阪府新知事が見直し宣言した25か所のハコ物めぐり」
と題したコーナーでは、橋下知事が見直しを指摘した行政事業所をレポートするという内容。
不要な事業の廃止を掲げる知事に対して、みのもんたの主張は、

 「公務員だって真面目にやっている人はいっぱいいる。こういうものを作ったのは議会でしょう。立場の弱い公務員を叩いていないで、こういうものを作らせた議員の責任を追及すべきだ」(←朝は弱いので正確には覚えてませんがこんな感じ)

 コメンテーターの浅野史郎が、その後、もっともなような、もっともでないようなコメントをしていました。(この人は、宮城県知事で止めておけばよかったのに、都知事選といい、どんどん晩節を汚していきますね。県知事としては評価してたのに)

 無駄な支出をなくす、ということを最優先にしているのに、くだらない責任追及に汲々として、どうするのでしょうか。ハコ物を残せば、どうせ文句をいうくせに、タカ派の首長へのアラ探しと、いいがかりに反吐が出ます。

 過去はともあれ、一丸となって行財政改革を行おうとしているのに、散々無駄を垂れ流した公務員の不作為の罪を棚上げして、議会との対立を煽ってどうするのか。真面目に考えるだけムダなのですが、とにかく朝から腹が立ってしょうがありませんでした。

 その後は、アメリカ大統領選挙選についての話題だったのですが、「バラク・オバマ候補には、小浜温泉の応援もあり、支持が拡大中」とか、「それに対して、『ニシノヒラリー』という競走馬が新潟競馬場の初レースで勝利しました。ヒラリー陣営の追い風となるのでしょうか」駄洒落にしてもつまらないし、情報番組と名乗る割には、何の情報も提供していません。

 その後、家族が「ちりとてちん」に換えてしまったので、どういう紹介の仕方をしていたのかわかりませんが、このレベルのモノを全国に垂れ流して、何も感じないTBSって本当に必要ですか。


 TBSは、過去に様々な問題を引き起こしました。

●1995.5 サブリミナル問題
 オウム真理教事件報道が過熱する最中、1995年5月に放送された「報道特集」のオウム関連特集の中で、教団代表の麻原彰晃の顔などが無関係な場面で何度も挿入された。

●1996.10.19- 坂本弁護士一家殺害事件のビデオ問題
 1995年10月19日、日本テレビの報道により、1989年11月4日に発生したオウム真理教被害者弁護団の坂本堤弁護士一家殺害事件に、TBSの情報番組スタッフが関与したことが発覚。

●2000.11.7 旧石器発掘捏造事件と「つくる会」を結びつけて報道
 2000年11月7日放送「ニュースの森」及び「ニュース23」が、上高森遺跡の旧石器発掘捏造事件において、全く関係ない「新しい歴史教科書をつくる会」の運動を結びつけて報道した。

●2003.11.2- 石原都知事の日韓併合に関する発言を捏造
 2003年10月28日、石原都知事が「救う会東京」の集会で、「私は日韓合併を100%正当化するつもりはない」と発言。 11月2日放送の「サンデーモーニング」は、“日韓併合を正当化 石原都知事がまた問題発言”と題し、「日韓合併を100%正当化するつもりはない」という石原氏が述べた発言の語尾を編集、「日韓合併を100%正当化するつもりだ」というテロップ入りで、事実とは異なる報道を行った。出演者らもこれを前提に石原氏に批判的な意見を述べた。

●2006.5.6 白インゲン豆ダイエットで多数の視聴者に被害
 2006年5月6日放送の「ぴーかんバディ!」で、白インゲン豆を約3分間いった後に粉末化し、ご飯にまぶして食べるダイエット法を紹介。 これを試した視聴者が下痢などを訴えた。

●2006.6.29 ハイド米下院国際関係委員長の発言を捏造
 2006年6月29日放送「ニュース23」の、小泉純一郎首相(当時)の米議会での演説が実現しなかったとするニュースの一部にて、小泉首相の靖国神社参拝をめぐり、「行くべきでないと強く感じているわけではない」と語ったヘンリー・ハイド米下院国際関係委員長(共和党)のインタビューに、「行くべきではないと強く思っている」と逆の意味の日本語字幕を付けて放送していたことが発覚。

●2007.3.28- 不二家不祥事で事実と異なる報道が発覚
 2007年3月28日、1月22日放送「みのもんたの朝ズバッ!」が不二家の不祥事として伝えた内容に一部事実と異なる点があったとして、不二家が社外に設置した「信頼回復対策会議」が指摘、不二家がTBSに報道内容の訂正を求めていることが発覚。

●2007.6.3- 「ハニカミ王子」盗聴問題及びヘリ無断飛行
 「ピンポン!」が、史上最年少で国内ゴルフツアーを制し「ハニカミ王子」として人気の石川遼選手(15)の声を無断で拾うため、千葉県で開催中の関東アマチュア選手権で、同じ組の選手に小型マイクの装着を依頼していたことが6月6日、分かった。

ぼやきくっくりさんのまとめを引用させていただきました。

 過去の過ちを、いつまでも引き合いに出すのも良くないですが、TBSの方も、事件を真摯に向き合うことなく言い訳や言い逃れで濁してきました。(唯一の総括は、オウム事件の際の筑紫哲也の「TBSは死にました」だったでしょう。死んだはずのTBSは死体となったまま、何も変わらずに電波を撒き散らしています。)

 別に今日の放送に不適切なものがあったとか、気分を害するものがあったわけではないのですが、こんなくだらないものを流すために貴重な電波を使っているのかと思うと情けなくなります。

 表現のギリギリを狙って、結果なにかを傷つけたとかであれば、評価すべき点もあると思いますが、普段はこんな感じで、時々、保身や、視聴率や、自分の手間を省くために、とんでもない迷惑な事件を起こすTBSに必要を感じない自分がいます。(TBSに限ったことではないですが)

 それでも、無理が通って道理が引っ込むテレビ業界にメスを入れるため、放送法の見直しを検討してもらいたいものです。







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2008年2月14日木曜日

地方自治体の憂鬱

大阪市の裏金、同和対策事業から捻出か

【産経ニュース】2008.2.14 21:04

http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080214/lcl0802142104005-n1.htm




 大阪市の裏金問題で、市環境保全部で新たに見つかった個人名義の通帳で管理されていた1335万円のプール金は、平成13年度まで実施されていた大阪市の同和対策事業の委託費の一部から捻出(ねんしゅつ)されていた可能性が高いことが、市の調べでわかった。市は「どういう目的で管理され、支出されたのかは不明」とし、当時の担当者らからの経緯などの聞き取り調査を進めることにしている。


 市によると、廃電線の処理をめぐって河川敷での野焼きなどが問題になったため、市が同和対策事業として昭和52~56年に、市内2カ所にリサイクル施設を建設し、設備の維持管理や場内清掃などの管理運営業務を市同和事業促進協議会(当時)に委託していた。


 プール金は、この事業の歴代担当者が帳簿外で開設していた個人名義の通帳で平成9年から15年まで管理。通帳は4冊に及んでいた。


 通帳に印字されていた入金元などから、同協議会が余った委託金などを戻入金として振り込んでいたとみられる。9年から年4回程度、数万から数十万円単位で入金されており、「委託金」などのメモがあった。


 同和対策事業の根拠法の期限が切れた14年4月以降は、地元業者が設立した組合と委託契約を結ぶ形になっており、通帳への入金も止まっている。現在の担当者は通帳を引き継ぐ際、「使えない金だから」と申し送りを受けたという。


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 地方公務員の管理職のためのコンサルティングをやっているという知り合いに、具体的にどんな内容の研修をやっているのかを聞いたことがあります。


 すると、1つは圧力団体への対応。言いがかりのような案件でおしかけてきて、担当職員を脅し、不当な要求を吹っかけてくる連中に対して、毅然とした対応をトレーニングする、という研修で、実際のロールプレイでは、机をひっくり返したり、灰皿を投げたりするそうです。


 もう一つが、サボタージュする職員への対応。到底民間では考えられないような勤務態度(あからさまに仕事をしない、上司の命令を聞かない、遅刻早退、勤務中に職場離脱を繰り返すなど)といった、現業公務員(清掃局や水道局、市バスなど)の不良職員への指導の仕方をトレーニングするそうです。


 今回の事件も、環境保全部ということで、現業公務員による犯罪が連綿と続けられていたことが明るみになったようですが、現業公務員にこうした犯罪が蔓延るのは、まさに労組のような団体が、政治的スタンスを同じくする、部落問題や、在日問題、エセ市民団体に侵食されている結果であると思います。


 先の大阪府知事選でも、部落問題について、橋下候補は、「同和問題は少なくとも自分たちの世代では解決しているので、上の世代では個別に検討するが、原則的には同和に対する予算はつけない」という趣旨のことを明言していました。


 一方の熊谷候補は「差別とは徹底的に戦っていく。同和問題は過去の問題ではない」と言っていました。熊谷候補の支持団体の一つは部落解放同盟でした。


 部落の問題しかり、在日の問題しかり、今回のような犯罪が明るみになったときこそ、自浄能力を示すためにきちんと総括すべきだと思うのですが、そういうときには、あまり前にはでてきません。(マスコミが取り上げない、うんぬんの言い訳があるのかもしれませんが、そういう努力が見えないのは確かです。)


 自分たちの問題が出てきたときにはだんまりで、ほとぼりが冷めている時にだけ、声高に社会の問題を指弾し、自分たちの被っていると称する被害を訴えるのはどうかと思いますよ。


 大阪市の平松市長も、また、部落開放同盟の支持の元に当選した首長ですが、「首長になる前からしてきた発言からもわかるように、支持を受けたからと言って、同和問題について不当な政策はとらない」とテレビで明言していました。


 大阪や、京都といった関西を中心に、この手のニュースがつきないのは残念なことですが、一つ一つ、不当な利権が解明されているのだと、前向きに捕らえつつ、大阪の再生を見守っていきたいと思います。










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2008年2月13日水曜日

Quality Control

密封でも中国とは限らず ギョーザ事件で中国検疫当局
【東京新聞】2008年2月13日 21時35分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008021301000746.html

 【北京13日共同】中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は13日の会見で「密封されたギョーザ製品の袋から(殺虫剤)メタミドホスが検出されたから、生産過程で混入したと考えるのは単純すぎる」と述べ、中国の工場で混入されたとの断定的な見方に反発した。

 副総局長は「袋を開封してまた密封することは、ハイテクなど使わなくても普通の人でもできる」と指摘。密閉された袋から検出されたことは生産過程で混入したとの結論には結び付かず「一つの推測にすぎない」と述べた。

 町村信孝官房長官は8日、密封されていた袋の内側から殺虫剤が検出されたことを受け、中国側で混入したと考えるのが自然との認識を示していた。

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 あらゆる可能性を視野にいれて捜査するのは、当然必要ですが、蓋然性の高い推論を押しつぶすかのように、小さい可能性を喧伝するというのは強引すぎるにも程がある、という感じです。

 「袋を開封してまた密封することは、ハイテクなど使わなくても普通の人でもできる」というのはおっしゃるとおりですが、通常の日本人には入手不可能な薬品に汚染された商品が、全国各地で見つかっているにもかかわらず、こういうことがいえる神経を疑います。だいたい、わざわざそんな偽装工作をしたところで、警察の科学捜査でわからないはずがありません。

 これだけ世界で話題になっているにもかかわらず、監督官庁の高官が、こんないい加減な責任逃れの発言ができるというのはどういう国なのでしょうか。

北京オリンピック。心の底から楽しみにしています。

スピルバーグ監督、北京五輪の芸術顧問を辞任

英皇太子、北京五輪開会式に出席せずと チベット問題で




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2008年2月12日火曜日

勝馬に乗ろうとするマスコミ

割りばし事故:遺族敗訴「予見不可能」 東京地裁判決
【毎日jp】2008年2月12日http://mainichi.jp/select/today/news/20080213k0000m040107000c.html

 東京都杉並区で99年、のどに割りばしが刺さって死亡した杉野隼三(しゅんぞう)君(当時4歳)の両親が、杏林大付属病院(三鷹市)を開設する学校法人杏林学園と担当医に8960万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は12日、請求を棄却した。加藤謙一裁判長は「割りばしが刺さったことによる脳損傷を予見することは不可能だった」と担当医の過失を否定した。両親は控訴する。

 担当医の根本英樹被告(39)は業務上過失致死罪に問われ、06年3月の東京地裁判決は無罪としたものの、適切な診察を怠った過失があると認定していた。同じ証拠に基づきながら刑事裁判と民事訴訟で判断が分かれ、両親はより厳しい結論を突き付けられた形となった。

 判決は、根本被告が適切な問診をしていればより重症であることが判明した可能性があると指摘したが、それまでに同様の症例がなかったことや病院搬送中の記録などを基に「髄液漏出や神経学的異常は認められず、当時の医療水準に照らし脳損傷の発生を診断すべき義務はない」と判断した。脳損傷の診断があった場合の救命可能性についても認めなかった。

 両親は「十分な診察を怠った」と主張して、00年の隼三君の誕生日(10月12日)に提訴。根本被告の過失に加え、チーム医療体制を構築していない不備や隼三君死後の説明の不適切さなど、病院側の対応も問題としたが、判決はいずれの主張も退けた。

 刑事裁判で1審判決は、根本被告のカルテ改ざんまで認めたが「救命可能性が極めて低かった」と判断して無罪を言い渡した。検察側が控訴し審理が続いている。【北村和巳】

 ▽東原英二・杏林大付属病院長の話 主張が認められほっとしている。改めて隼三さんのご冥福をお祈りする。

【ことば】割りばし死亡事故 東京都杉並区で99年7月10日、母らと盆踊り大会に来ていた隼三君が、綿菓子の割りばしをくわえたまま転倒。杏林大付属病院に運ばれ、担当医は5分間の診察で傷に薬を塗っただけで帰宅させ、隼三君は翌朝死亡した。司法解剖で7.6センチの割りばし片が脳に残っていたことが判明、死因は頭蓋(ずがい)内損傷群とされた。

 ◇「あまりに意外な判決 納得いかない」父親
 判決後に会見した隼三君の母文栄さん(50)は「必ず良い報告ができると約束して家を出てきたが、隼三に掛ける言葉すらない」とハンカチで涙をぬぐった。父正雄さん(56)は「あまりに意外な判決で動揺している。過失を認めた刑事裁判の証拠を無視しており納得いかない。明らかな医療ミスでないと許されるのか」と憤った。

 隼三君は「特殊なけが」と高度な設備が整った杏林大付属病院に搬送された。文栄さんは「開業医の方がするような治療もなく、警察が捜査したのに報告書もない。こうした病院のあり方に判決が言及してくれると信じていたが、残念」と語った。

 提訴から7年4カ月。事故当時は小学6年だった長兄で大学生の雄一さん(20)は、高校で教べんを取りながら死の真相を問い続ける両親の姿を見つめてきた。「父と母の苦労が否定された感じで悔しい」と話した。

 ウルトラマンが大好きだった隼三君は事故直前の七夕で、短冊に「正義の味方になって悪と戦いたい」と文栄さんに書いてもらった。文栄さんは「最後には隼三を正義の味方にしてあげたい」と話した。【北村和巳】

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まずは、少年のご冥福を祈ります。

 「わりばしが脳にささったことが予見できた。」ということが証明できなかったのであれば、敗訴という判決を受け入れるしかありません。遺族の方の深い悲しみには共感しますが、医師とて、すべてを予見することは不可能ですから。

・根本被告が適切な問診をしていればより重症であることが判明した可能性がある。
・チーム医療体制を構築していない不備(は病院の責任。)
・隼三君死後の説明の不適切さなど、病院側の対応も問題

と記事にはありますが、4歳で、怪我をして気が動転している幼児に問診が不十分だと言われても、どこまでやれば十分なのかわかりません。チーム医療体制がないなら、受入拒否すればよかったのでしょうか。

現在の医療状況とは違うので、一概に判断はできませんが、近くで様子を見ていたはずの親でさえ、割り箸が折れているのに気づかなかったのですから、「医師なら気づいて当然」というのは少し違う気がします。

 とは言うものの、「説明が不適切であった」という部分と、「カルテを改ざんしていた」というのは、医師にも問題があったのだろうと思います。特に、「担当医は5分間の診察で傷に薬を塗っただけで帰宅させ、隼三君は翌朝死亡した。」という下りを読む限りでは、本来最も重要な、患者との信頼関係を築けなかったという点でも医師の力不足という感が否めません。

 感情の上でも、理屈の上でも、うまく着地点を見出せなかったために、裁判ということになったのでしょうが、裁判の公判では、法的な意味での理屈の着地はできるのでしょうが、だからと言ってお互いが納得できる形になるとは限りませんし、今回もならなかったのは残念でなりません。

 事故というものは無くなることはありませんし、医療が最終的な完全形態にまで進化するということもありません。なので、「医療事故か、否か」という係争はなくなるわけがないのですが、この記事のように、一方的に叩きやすい側を叩く、というのには反対です。

 最後のパラグラフの「最後には隼三を正義の味方にしてあげたい」というあたりには、原告が正義であり、被告が悪であるというニュアンスを漂わせた、思わせぶりなことが書いてあります。

 「子供を失った遺族」よりも「医師」という記号のほうに悪のレッテルを貼ったほうが、読者の共感を呼びやすいということなのかもしれませんが、そういう、遺族の発言の切り貼りをして感情に訴えるのは、報道としては間違っていると思います。

 この記事を読む限りでは、「どちらが悪くて、どちらが正義だ」というものは見えてきません。遺族は可哀相だということは良くわかりますが。

 報道機関として、この事件の取材を行い、その上で、判決の不当性を問うのであれば、裁判に出てこなかった背景や、判決に至る論理構成を記事にするべきで、それが本来の報道のあり方ですが、法律や判決の瑕疵には具体的には触れずに、遺族の発言を切り貼りして、さも、「今回も正義が実現できなかった」みたいなことを書くのは、遺族の背中から陰口を言っているようなものです。

 事件を検証し、法律や、その運用に一石を投じるのであれば、意味がありますが、そうでなければ、法律や司法をないがしろにし、事件にかかわった病院関係者らを愚弄し、遺族に対しても、横から煽るだけになってしまいます。

 主張するなら正々堂々と。そうでないのなら、客観性を保った報道をしてほしいものです。



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2008年2月11日月曜日

でしゃばらなければ良い番組なのに

橋下知事、生番組出演巡りNHKに不信感
(2008年2月10日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20080210p101.htm

 大阪府の橋下徹知事は9日、8日に生出演したNHKの番組で司会の女性アナウンサーから「遅刻」と指摘されたことを挙げ、「当初から間に合わないと伝えていた」「(上京の公務を)切り上げてでも番組に出ろと強硬に言ってきた」とNHKへの不信感を口にした。報道陣に答えたもので、今後も取材には応じるが、「(NHKの)スタジオには一切行かない」と宣言した。

 番組は8日午後7時半から関西で放送された「かんさい特集」。橋下知事は同日、東京で政党などへのあいさつ回りを終えて帰阪し、同8時ごろにスタジオ入り。司会から「30分の遅刻で到着されました」と紹介され、「遅刻は僕の責任じゃない。(公務で冒頭から)来れませんと再三、言っていた」と反論していた。

 9日の予算協議を終えた橋下知事は、NHK側から番組前後にあいさつやねぎらいの言葉がなかったとして「黙っていても金が入ってくる組織はこんなもの。民間企業はあんな態度をとらない」と語った。NHK大阪放送局広報部は「司会の発言は場を和ませようとしたもの。終了後、複数の幹部からねぎらいの言葉はかけさせていただいている」としている。

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NHK「かんさい特集」
藤井彩子:NHKアナウンサー 上田理恵子:株式会社マザーネット社長橋下徹:大阪府知事平松邦夫:大阪市長片山善博:慶應義塾大学教授上山信一:大阪府特別顧問、大阪市立大学教授


1/6

2/6
http://www.youtube.com/watch?v=6aJURSVKM3A&feature=related
3/6
http://www.youtube.com/watch?v=bIIMqQCmGOY&feature=related
4/6
http://www.youtube.com/watch?v=bIIMqQCmGOY&feature=related
5/6
http://www.youtube.com/watch?v=CU5TMtvchug&feature=related
6/6
http://www.youtube.com/watch?v=_CM67cR-YwY&feature=related

 問題になってるのは上の番組です。
元々、公務である挨拶周りがあり、番組収録の時間には間に合わない旨をNHK側に伝えていたにもかかわらず、関係省庁の挨拶まわり先にまでNHK職員が押しかけて、挙句駆けつけた収録においては「30分の遅刻です。」言いながら紹介する無礼を批判したものです。

 遅刻以外にも、藤井アナが食って掛かるようなシーンが多々見られます。府職員の人権費を繰り返し突っ込んだりして、話の流れを作ろうとするような所は、なんだか必死にNHKの作りたい方向へともって行きたい意向のようなものが見え隠れします。

 NHKのやり口に腹立たしく思う反面、片山元鳥取知事や、平松大阪市長といった、わりとまともなパネラーだったので、結論ありきのNHKの姿勢が明らかになったとも言えます。これが民放だったら、御用聞きのような、声の大きい評論家にかき消されて、制作サイドのいやらしさが見えなかったかもしれません。

 予算決まってるやつをひっくり返して、わずか4日か5日で決めたことですから。
簡単に皆さん、夢がないとか希望がないって言いますけど、それが一体どういうことか。
NHKのインサイダー問題だって、あれ一体どんだけかかってるんですか。ごまかさないで、NHKだって、アレ何ヶ月位かかるのか。
そんな問題が起きて1日や2日で解決できてないのに。どうなってるんですかね。
(橋元知事の発言 3/6 2:50位から)

 恣意的な番組作りで印象操作をしようとするマスメディアに対しては、メディア慣れした橋下知事はある意味有利なのかもしれません。橋下知事が子供っぽく映るところもありますが、そこで反論しなければ、まんまとNHKの印象操作に載せられてしまうところでしたから。(まぁ、「挨拶やねぎらいが無い」と言うのは子供っぽいかもしれません)

 突っ込みどころとしては、平松市長の方が多かった気がしますが、いずれにしても、地方自治体において影響力もあり、まともな論陣を張れる人たちが出ている番組だっただけに、藤井アナのおかしな進行がなければもっと良い議論が聞けたのにと思いました。






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2008年2月10日日曜日

信じている。言葉の力を

オバマ氏の感動スピーチをアーティストたちが曲に Yes We Canと
 コラム「大手町から見る米大統領選」(19回目)
【gooニュース】2008年2月9日(土)21:42
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20080209-01.html?C=S

  あの演説はやはり、歴史に残るかもしれない感動的なものだった。同じように感じたアーティストたちが集まって、やはり感動的な曲と、ミュージックビデオを作った。こういうのが出てくるのが、アメリカの懐の深さ。アメリカ大統領選の面白さ。そしてバラク・オバマという人の、人を感動させる力なのだと思う。(gooニュース 加藤祐子)

各候補の政策をまとめていたら、この曲のことを伝えるニュースが目に入った。そしてビデオを観て、聴いて、ちょっと涙ぐんで、どうしてもこれをご紹介したくなった。

これは、バラク・オバマ上院議員のあの感動的な、しかもニューハンプシャーで負けたあとの演説を、曲にしたものです。もとの演説の映像と全文テキスト(英語)はこちら

そしてこの演説を、演説の言葉をそのまま歌詞にして、R&Bぽい曲にしたのが、これ







一見の価値ありです。
(中略)

 ビデオクリップを観ながら、聴きながら、ちょっと涙ぐんでしまった。聴きながら唐突に、ボブ・ディランを連想したりしながら。あと数多のプロテスト・ソング。自分が遅く生まれたせいで経験できなかった分、美化してしまっている「60年代」への憧れを思い出したりしながら(時代は後だけど、Neville Brothersとか)。

 それくらい、あのときのオバマ氏の演説は、たとえばケネディ大統領の就任演説のあの有名すぎる「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country(国が自分のために何をしてくれるかと訊くのではなく、自分が国のために何をできるのか考えよう」と同じくらい、感動的だったから。しかもケネディ大統領のこの名調子がかなり理屈っぽいのに比べて、オバマ氏のストレートでシンプルなこと。


Yes we can! できる、私たちにはできる。だいじょうぶ、できる。もちろん、できるよ。
??こんな感じ。 

歌になった部分はたとえば、こういうところ。

Yes, we can.それは、この国の運命を宣言した建国の文書に書き込まれた信念だ。

Yes, we can.それは、真暗な闇夜を抜けて自由への道を切り開いた奴隷や、奴隷廃止活動家たちがささやいた言葉だ。

Yes, we can.遠い岸辺を出発した移民たちや、容赦ない未開の地を西へ西へと進んだ開拓者たちが、そう歌った。

Yes, we can.組織を作った労働者たちの合い言葉。選挙権を求めた女性たちの合い言葉。われわれの新しいフロンティアは月だと言った大統領のかけ声。そして山頂へとわれわれを導き、約束の土地を指し示してくれたキングの言葉だ。

Yes, we can. 私たちにはできる。正義と平等を、と。Yes, we can. 私たちにはできる。機会と繁栄を。
Yes, we can. 私たちにはできる。この国を癒し。

Yes, we can. 私たちにはできる。この世界を修復することを。

Yes, we can. 私たちにはできる。


アメリカで何かが起きている。私たちはそれを忘れない。

政治が言うほど、私たちは分断していないと。私たちはひとつの国民、ひとつの国なのだと。アメリカの歴史の新しい偉大な一章を、私たちは一緒にはじめる。

その最初の言葉は、三つの言葉だ。この三つの言葉が、海岸から海岸まで、ひとつの海からもうひとつの光り輝く海まで、国中に響き渡るのだ。

Yes, we can. 

これから長い戦いが続く。それは分かっている。

けれども忘れないで欲しい。

どんな障害が行く手を阻もうとも、変化を求める何百万と言う人々の声の力に抵抗できるものなど、何もない。

そんなことできないと、皮肉な声が聞こえる。皮肉な疑いの声はこれからどんどん大きく響き渡るだろう。


もっと現実的になるよう言われている。この国の人々に偽りの期待を与えるなと、そう警告されてきた。
しかしアメリカというこの予想外の物語において、希望が偽りだったことなど、一度もないのだ


そしてこの演説に感動して、ミュージシャンや女優や俳優やNBAスターが集まって、こういうビデオを。
政治家の演説にミュージシャンが感動して、こういうのが出てくるアメリカ。こういうところがさすがアメリカだと思うし、オバマ議員が今のこの時点までやってきたその理由を全て物語っていると思うし、まさにこれが今回の選挙のぞくぞくするほど面白いところだ。

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 今回のアメリカ大統領選には、正直あまり注目していませんでした。ブッシュ政権の失策続きのおかげで、民主党政権になるのは、目に見えているし、民主党政権になれば、ビル・クリントン前大統領の時のように、ジャパン・バッシング、ジャパン・パッシングといわれたように、日本としては、あまり面白くない時代になるのだろうと思います。当時、めちゃくちゃに叩かれていた、橋本首相の「米国債を売りたい衝動にかられた」という発言も、クリントン政権下の状況を振り返れば、共感できる気がします。

 米大統領選は、日本の政治システムとは大きく違うので、誰が大統領になるのか、まだまだ絞ることができませんが、現段階では、ヒラリーかオバマ、ということになりそうです。

 ヒラリー・クリントンといえば、ビル・クリントン政権のスタッフと言っても差し支えない立場の政治家なので、前クリントン政権の方針に近いのであれば、日本としては、あまり歓迎できない感じです。

 良いところを上げれば、前クリントン政権では、プライマリー・バランスをゼロにした財政政策は評価できますし、ヒラリーが尽力しながら、残念ながら達成できなかった、国民健康保険制度に再度取り組んで欲しいところではあります。

 ただし、クリントンになると、

1989年 : G・H・W・ブッシュ
1993年 : W・クリントン
2001年 : G・W・ブッシュ
2008年 :H・クリントン

 ということになり、悪いとは言いませんが、世界最大の大国のリーダーが20数年に渡って、2つのファミリーで占めるというのは、あまり面白くない感じです。

 一方のオバマ候補ですが、細かい政策はさておき、演説が滅法うまい。「ケネディの再来」といわれる所以です。

 上記の"Yes, we can"の演説もとてもうまい。これはニューハンプシャー州で、クリントン候補に敗れた直後の演説ですが、負けた候補の演説とは思えない、力強い演説です。

 勝手連的に応援している、Black eyed peas will.i.am の歌も、この詩的な演説があってこそのものでしょう。

 バラク・オバマには、もう一つ、伝説と呼ばれている名演説があります。2004年の民主党党大会の基調演説です。










Now even as we speak, there are those who are preparing to divide us -- the spin masters, the negative ad peddlers who embrace the politics of "anything goes."

(我々が、こう発言しているにもかかわらず、私たちを分断させようと画策する人たちがいる。情報操作に長けた政治屋のメディア担当や、政治について「なんでもいいや」という気分にさせようとする広告屋だ。)

Well, I say to them tonight, there is not a liberal America and a conservative America -- there is the United States of America.

(今夜、私は彼らにこう言う。ここにあるのは、「革新のアメリカ」でも、「保守のアメリカ」でもない。「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(諸州が団結するアメリカ)」である。)

There is not a Black America and a White America and Latino America and Asian America -- there’s the United States of America.


黒人のためのアメリカでも、白人のためのアメリカでも、ラテンやアジア系のアメリカでもない。「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(諸州が団結するアメリカ)」である。

  観衆が熱狂している様子がわかります。冒頭のオバマが自分の家族の由来について話している部分も、格調高く、なかなか良い話です。

  英語がわからない人も、雰囲気を味わうだけでも価値があると思います。また、英語を勉強している人にも、良いリスニングの教材になると思います。

  オバマが大統領になって功績を残すことができれば、キング牧師の"I have a dream"のように教科書に載るようになるのかもしれませんね。

  全文の通しと、内容の起しはコチラ




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2008年2月9日土曜日

「自由」と「自分勝手」

君が代判決―都教委は目を覚ませ
【asahi.com】2008年02月09日(土曜日)付http://www.asahi.com/paper/editorial20080209.html#syasetu2



 卒業式の君が代斉唱で起立しなかったからといって、定年退職した都立高校の教職員らの再雇用を拒むのは、裁量を逸脱、乱用したもので違法だ。東京地裁がこう判断し、13人に計2700万円の賠償を支払うよう東京都に命じた。

 東京都では国旗・国歌への強制ぶりが際立ち、抵抗する教職員が次々に処分されている。定年を控えた教職員に対しては再雇用をしなかった。こうした処分に対する訴訟も相次ぎ、今回の判決はそのひとつだ。

 国歌斉唱で起立しなかったことは、ほかの教職員や来賓には不快かもしれないが、積極的に式典を妨害するものではなく、再雇用を拒否するほどのものか疑問だ。これが判決の論理である。

 私たちはこれまで社説で、「処分をしてまで国歌や国旗を強制するのは行き過ぎだ」と主張してきた。様々な歴史を背負っている日の丸や君が代を国旗・国歌として定着させるには、自然なかたちで進めるのが望ましいと考えるからだ。

 今回の判決は都教委の強制ぶりを戒めたもので、評価したい。

 再雇用拒否の当否が争われた裁判では、東京地裁の別の裁判長が昨年、都教委の主張を認めた判決を出している。「一部の教職員が起立しないと式典での指導効果が減る」との理由だが、再雇用を拒むほどのことではないという今回の判決の方が常識にかなっている。

 今回の裁判でもう一つの論点は、起立させる校長の職務命令は、思想・良心の自由を保障した憲法に違反するかどうかだった。判決は「職務命令は原告らに特定の思想を持つことを強制したり、禁じたりしていない」として合憲とした。

 この点については、東京地裁の別の裁判長が06年、都教委の通達や指導を違憲と判断した。その当否は別として、裁判官によっても分かれているほど判断が難しい問題を、教育の場で一方的に押しつけるのは好ましくない。

 今回の判決を機に、都教委には改めて再考を求めたい。

 都教委の強硬姿勢が際立ったのは03年、入学式や卒業式での国旗掲揚や国歌斉唱のやり方を細かく示す通達を出してからだ。この通達のあと、延べ400人近い教職員を戒告や減給、停職の懲戒処分にした。再雇用を拒否された人は、今回の原告を含めて約40人にのぼる。

 教職員は君が代斉唱の時に、踏み絵を迫られる。立って歌っているかどうかを確認するため、校長だけでなく、都教委の職員が目を光らせる。

 こんな光景が毎年繰り返された結果、残ったのは、ぎすぎすした息苦しい雰囲気である。子どもたちの門出を祝い、新しい子どもたちを迎える場としては、およそふさわしくない。

 あまりに行き過ぎた介入は教育そのものを壊してしまう。今年も卒業式や入学式の季節が近づいているだけに、都教委にはそろそろ目を覚ましてもらいたい。

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 おまえが目を覚ませ!!

と思ってしまうのは、私だけではないはずです。まあ、朝日新聞と日教組は、「今日も正常運転中」ということなので、いちいち掘り返してもキリがないので、細かい点はスルーしますが・・・。

 今回のニュースで感じた本質的な部分を2つ。

 「日の丸」と「君が代」にアレルギーを持つ両団体の反応は規定路線なのですが、この人たちは、他国の国旗や国家について、どのように考えるのでしょうか。

 国のシンボルである国旗、国家に敬意を示すというのは、非常に基本的なマナーであり、グローバルスタンダードです。

 スポーツの国際大会などでも、国歌斉唱や国旗掲揚に対して妨害したり、あまつさえ敬意を態度で示さないことが非難の対象になることもしばしばです。(例えば国旗掲揚の時に、帽子を取らなかった。とかです)

 そういう行為が、相手に対しての敵対の意の表明と受け取られてもいたしかたない、という趨勢の中で、国旗、国家への敬意の念をどのように教育するのでしょうか。

 現状、親や共同体の躾という部分で補っているようですが、この国の教育機関はどのように考えているのでしょうか。己の思想信条のために、見て見ぬ振りを続けるのですか。

 ドメスティックな思想信条の問題のために、基本的なマナーを教えないのは教育機関としては不適合なのではないでしょうか。

 「日の丸」「君が代」に軍国主義を重ね合わせるのは勝手ですが、他国の国歌のほうが、軍国主義的なものが色濃く反映されているような気がしますが。

 アメリカ

おお、見えるだろうか、夜明けの薄明かりの中我々は誇り高く声高に叫ぶ危難の中、城壁の上に雄々しく翻(ひるがえ)る太き縞に輝く星々を我々は目にした
砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中我等の旗は夜通し翻っていたああ、星条旗はまだたなびいているか?自由の地 勇者の故郷の上に!


フランス

いざ祖国の子らよ!栄光の日は来たれり暴君の血染めの旗が翻る戦場に響き渡る獰猛な兵等の怒号我等が妻子らの命を奪わんと迫り来たれり
武器を取るのだ、我が市民よ! 隊列を整えよ!進め!進め!敵の不浄なる血で耕地を染めあげよ!

カナダ

おお カナダよ!我等が故郷 我等が祖国汝の子すべてに流れる真の愛国心
興隆する祖国を見守るは 汝の輝ける心真の北国は 堅固にして自由なり!

おお カナダよ 広き彼方より我等は汝を守りゆかん 神よ 我等の大地を栄光と自由で満たし続けんことを願わん我等は汝を守りゆかん我等は汝を守りゆかん

中国

いざ立ち上がれ 隷属を望まぬ人々よ!我等の血と肉をもって我等の新しき長城を築かん
中華民族に迫り来る最大の危機皆で危急の雄叫びをなさん
起て!起て!起て!
万人が心を一つにし敵の砲火に立ち向かうのだ!

敵の砲火に立ち向かうのだ!進め!進め!進め!

ドイツ

イタリア


アメリカ、フランスは、2番以降さらにヒートアップしていきます。カナダやドイツは比較的抑制気味。中国はかなりハイテンションな感じです。イタリアは日独とともに敗戦国のわりにいい感じです。

 軍国主義的なものに敬意を表すのは適当でないのなら、これらの国の国歌にも同様の対応をするのですか。おそらくは、相当に民度の低い国民に思われるような気がしますが。


 2つ目は、卒業式は生徒のための行事だということです。

 日本の教育は、「協調性」を重視しているように思います。団体行動時の態度などは、社会に出てからも必要とされる大切な部分だと思いますが、なぜ、高々起立して、歌を歌うことを頑なに拒むのでしょうか。

 集団行動の大切さや、協調する態度の重要性を教えながら、その最後の儀式で、「思想信条の自由」を盾に、コレですか。

 生徒からすれば、規律と緊張感の中で、自分の努力の成果を称えてもらえるはずの卒業式を、なぜ一部の教員の「思想信条の自由」のために、水をさされなければならないのでしょうか。

 団体行動のルールも、協調性も大事だが、個人の自由のほうがそれに優先するのであれば、今まで教わってきたことは何なんだ、という話になります。

 自分勝手と自由の区別がつかない人には、教育に携わるべきでないと思います。

 最後に、朝日新聞はこう締めくくります。

 こんな光景が毎年繰り返された結果、残ったのは、ぎすぎすした息苦しい雰囲気である。子どもたちの門出を祝い、新しい子どもたちを迎える場としては、およそふさわしくない。
 あまりに行き過ぎた介入は教育そのものを壊してしまう。今年も卒業式や入学式の季節が近づいているだけに、都教委にはそろそろ目を覚ましてもらいたい。


 目を覚ましてどうしろと言っているのでしょうか。国旗掲揚や、国歌斉唱は、ぎすぎすするから止めろということでしょうか。

 国旗も、国歌も、国民のシンボルです。デザインや経緯が気に入らないからという一部の人間の意見に従って、何かが変わるのでしょうか。

 自分のことを大切にできない人は、他人にやさしくすることなどできません。





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2008年2月8日金曜日

ポジティヴに舵を切ろう

頑張れば何でもできると思うのは傲慢
日経アソシエ 山田太一 氏
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/backno/BA1127.html

「あきらめるな」とよく言います。だから誰でもあきらめさえしなければ夢がかなうような気がしてきますが、そんなことはあまりない。頑張れば何でもできると思うのは幻想だと僕は思う。成功した人にインタビューするからそうなるのであって、失敗者には誰もインタビューしてないじゃないですか。

人間は、生まれ落ちた時からものすごく不平等なものです。国籍も容姿も選べない。親も子供も選べない。配偶者だって、2、3の候補の中から選ぶのがせいぜいで、それでもいいくらいのものでしょう?つまり限界だらけで僕らは生きているわけで、そんなにうまくいかないのが普通なんです。その普通がいいんだと思わなければ、挫折感ばかり抱えて心を病んでしまう。

僕は一握りの成功者が「頑張れば夢はかなう」というのは傲慢だと思っています。多くの人が前向きに生きるには、可能性のよき断念こそ必要ではないでしょうか。

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 一昔前、「アメリカン・ドリーム」に習って、ヒルズ族に代表されるような、「ジャパニーズ・ドリーム」の体現者みたいな人が巷間にあふれてました。

「金持ち」がいわゆるエスタブリッシュメントな階級だけでなく、ホリエモンのように一般的な家系から、大金持ちが輩出されるようになり、一見すると機会平等の世の中っぽくもありました。

 しかし、記事が指摘するように、成功者にスポットライトが当てられると同時に、同じようにがんばっても成功できなかった人々というのも存在します。

 成功者にスポットを当て、「世の中は機会平等で実力だけがものを言う」みたいな風潮がありましたが、逆を言えば、成功者でない人は「実力がなかった」で片付けられてしまいます。

 実際には、スタート資金が無かった人、教育が十分に受けられなかった人、運が悪かった人(重要な時期に大病をわずらったり・・・)と、実力では片付けられない側面もあります。

紙屋研究所

というサイトで、例によって山田昌弘教授の「希望格差社会」の一節がまとめられていました。

山田昌弘『希望格差社会』(抜粋)

戦後教育システムはゆるやかな差別・選別制度だった 社会学者である山田自身がこの本の中で、教育学者たちが語る人間の発達の可能性の称揚などをウザく思っていることを吐露しているのだが、たしかに山田の論調はきわめて冷静――というか冷酷である。 人がぞっとするようなことを平気でいう。

 その一つが、これだ。 戦後日本の教育システムとはゆるやかな差別・選別のシステム、パイプラインであり、受験のなかで「過大な希望」をリスクなしにあきらめさせていくのに適した制度だったという。どの学校へいけばどれくらいの人生が歩めるかというモノサシになっていたと山田は主張する。


 ところが、山田によれば、現代ではこのパイプラインが疲労し、漏れが発生している。

 たとえば、工業高校を出れば、昔は大企業の工場勤務という道があったが、今はそこの工場で正社員として働ける者は少数である。短大・女子大を出た女性も、一般職→結婚というコースが見えにくくなり、派遣への置き換えと、結婚相手たる男性正社員の数の激減と不安定化がおきている。――これが山田の指摘する現実だ。

 「ゆるやかな選別」というのは、医者になりたかったら医学部で勉強する。医学部に入るには金が必要だから、ある程度、余裕がある家庭でなければ、なることはできません。

つまり、家柄や資金といった、本人の実力に関係ないところで十分に選別されていたのです。

 上の論旨は、選別のふるいに残ることができたエリートでさえも、成功が約束されているわけではなくなった。(パイプラインの疲労)というわけです。

 まぁ、自分の境遇を嘆き、「アレが悪い、コレが悪い」と言っているのも、貧乏人の僻みみたいでかっこ悪いですが、たまたまめぐり合わせで成功して、「オレの実力だ」なんてふんぞり返っているのも、みっともないと思います。

 「可能性の断念」なんて綺麗な言い回しはしませんが、頭を切り替えてポジティヴに生きるほうがいいのでは、という意見には一定の共感ができます。





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2008年2月6日水曜日

浄化。

生駒市助成金流用 前市長の裏口座、市職員が開設、管理
【産経ニュース】2008.2.6 21:28
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080206/crm0802062128037-n1.htm

 奈良県生駒市の公園用地売買をめぐり、加重収賄と背任の罪で起訴された前市長の中本幸一被告(71)が、緑化事業の助成金約1000万円を私的流用していた問題で、同市の調査委員会(委員長、辻公雄弁護士)は6日、この金が入金されていた口座の開設や入出金管理に、当時の秘書課主幹や緑地課長ら職員3人がかかわっていたことを明らかにした。

 同委員会は上司を含む職員6人について「責任は免れない」と指摘。山下真市長は、中本被告の命令に逆らえなかったとして業務上横領罪で告訴はしない方針だが、懲戒処分を検討する考えを示した。

 同委員会や市によると、市は平成12年、財団法人・都市緑化基金(東京)などが主催する「緑のデザイン賞」で準大賞を受賞。13年に助成金約1000万円が交付されたが、中本被告は自身を会長とする架空団体の口座に入金し、私的流用した。

 口座は市秘書課で管理し、中本被告の指示で入出金が繰り返され、17年の解約時には残金はほとんどなかった。中本被告は使途について「交際費などに使った」と話しているという。

 

生駒市は、この酒井隆という男に牛耳られていたと言われています。黒い交際の噂は絶えず、様々な利権の影に名を連ね、中には、対立する人間を失脚させるために、当たり屋などを手配したことなどが報道されていました。

 その生駒市議会議長に振り回されながら、時には見て見ぬ振りをし、時にはそれに加担していたとされるのが、この中本前市長でした。

 動画は、その中本市長が市長選で、対立候補、山下真氏に敗れた直後のものです。
生駒市長選

議長、前市長と立て続けに逮捕されましたが、市役所幹部までもが、その犯罪に加担していたというのは恐ろしいニュースです。

 山下真市長は、中本被告の命令に逆らえなかったとして業務上横領罪で告訴はしない方針だが、懲戒処分を検討する考えを示した。

とありますが、生駒市の病理の深さがうかがえます。このウミが山下市政下で、どれだけ浄化されるか、今後を見守って生きたいと思います。

 上記リンクの通り、生駒市は決して健全な自治体とは言えない悲惨な状況にあります。その中で、多数政党、団体の支持を取り付けた現職を圧倒的大差で破ったところに生駒市民の切実な願いがあるはずです。

 地方再編、中央対地方自治の潮流のなかで、生駒市の、一刻も早い自治再建を願ってやみません。




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2008年2月5日火曜日

なぜ人を殺してはいけないのか

「死」の教科書 ~なぜ人を殺してはいけないのか~
産経新聞大阪社会部 扶桑社新書

第一章 なぜ人を殺してはいけないか
第二章 喪の作業 -JR事故の遺族たち-
第三章 償い -JR事故から二年-
第四章 「三万人」の叫び
第五章 死刑のある国
第六章 最後をどこで迎えますか第七章 葬送の行方最終章 戦争と平和


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 様々な立場の人々の、様々な死について考える本です。

 印象に残ったのは、大阪で行われた、生命についての授業。クラスで飼っていたブタの「Pちゃん」。生徒の卒業に際して、その処遇が問題になる。教師は「食肉センターで解体し、みんなで食べよう」と提案する。その姿がテレビのドキュメンタリーで放映され、大きな賛否の反響が沸き起こる。その顛末。

 食卓に上がる食料と生命とは、地続きであるにもかかわらず、それを意識せずに生活しています。去年見た"BABEL"という映画では、「ヤドカリに指を挟まれた」と大騒ぎするカリフォルニアの少年がメキシコで、さも当たり前のようにニワトリを絞めるところを見てギョっとするシーンを思い出しました。

 また、「第三章 償い -JR事故から二年-」ではJR西日本の福知山線の話がありました。

 「第二章 喪の作業 -JR事故の遺族たち-」では福知山線事故の被害者の話でしたが、3章では、加害者であるJRの職員にスポットライトを当てています。

 大規模な交通事故では、「ご遺族様担当」という係を遺族家族のためにつけるそうです。様々な職員が通常業務を行いながら、長期に渡って遺族のケアのために世話をするそうです。そんな業務があるとは、まったく知りませんでした。

 御巣鷹山の日航機事故の際には、被害者慰霊のために、遺族が毎年、御巣鷹山の事故現場に訪れるそうです。中には高齢で山に登れない遺族のために、職員がおぶって1時間もの行程を登っていくのですが、背中で「人殺しの会社だ」などとなじられる様子などが書かれています。

 JRの職員は

 「玄関先でたち続けることは辛くない。ご友人の方から厳しい言葉をいただくことも辛くない。家の中から聞こえる、ご遺族の途切れることのない泣き声、ご遺体に呼びかける悲しい声を聞くのが辛い。気を遣っていただき、椅子を用意してくださるのが、お茶を用意してくださるのが辛い」

と書いていました。

 その他、自殺の問題、死刑の問題、ホスピスや葬儀の問題、戦争による死など、具体的な事例を挙げて問題提起していました。

 産経らしい論調とも言えますが、個々の事例は普段は意識しないものの、決して他人事ではなく、考えさせられる本でした。


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2008年2月4日月曜日

死者の声に耳を傾ける

再鑑定も外傷性ショック 力士急死事件、捜査大詰め

【asahi.com】2008年02月04日15時00分

http://www.asahi.com/national/update/0204/NGY200802040002.html


 大相撲・時津風部屋の序ノ口力士斉藤俊さん(当時17)=しこ名・時太山=が昨年の名古屋場所前の6月、愛知県犬山市でけいこ後に急死した事件で、死因を再鑑定した名古屋大が「多発外傷による外傷性ショック」との結論を県警に伝えていたことが4日、わかった。当時の時津風親方=元小結双津竜、本名・山本順一(57)=と兄弟子による暴行が死に結びついたことを改めて裏付ける内容で、傷害致死容疑での強制捜査に向けて最終局面に入った。


 調べでは、昨年6月25日、部屋を脱走した斉藤さんに昼ごろから兄弟子が暴行。さらに、前親方が夕食の席で額をビール瓶で殴ったのをきっかけに兄弟子3人が宿舎裏などで殴る、けるの暴行を加えたとされる。翌26日も兄弟子4人が土俵上でぶつかりげいこの名目で暴行したとされる。


 最初の新潟大も「外傷性ショック死」と鑑定していたが、死亡前日と当日に受けた暴行のいずれが死に結びついたかが特定されなかった。このため県警は昨年11月、死因について名大に再鑑定を依頼していた。


 県警は、遺体の血液から致死量のカリウムが検出されていたことに注目。筋肉が強い衝撃を受けると血中へ流出、一定時間を経て心停止を引き起こすとされる。半日以上経過した内出血が多かったこととあわせ、県警は死亡前日の暴行が死を引き起こした可能性が高いとみていた。名大の再鑑定でもこの見方を裏付ける結果が出た模様だ。


 県警は26日の暴行もけいこの範囲を超えており、追い打ちになったとみている。一連の暴行に加わった前親方と兄弟子らは関与の度合いに濃淡があり、県警は強制捜査とする範囲を名古屋地検と最終協議している。


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 まもなく上映開始となる「チームバチスタの栄光」。著者であり、医師である海堂尊氏は、死亡時医学検索の重要性を一貫したテーマとして、その著書の中で訴えつづけています。


 監察医制度が大都市にしく、死亡しても解剖されるケースは非常にまれです。


 今回の時津風部屋の事件は悪質なにおいがしますが、通常では、多少不審な点があっても、解剖せずに済ませてしまうことが多いようです。


 犯罪によって死亡した被害者の捜査のための解剖というのも重要ですが、通常のいわゆる病死であっても、医学の発展のためには時として、解剖が必要なケースもあるのではないか、と素人ながらに想像しますが、地方自治体のうち、半数が解剖のための予算が100万以下で、山口県に至っては予算ゼロだそうです。


 海堂尊氏は、解剖を今より積極的に行っていくことを求める一方で、AI(オートプシー・イメージング)というMRIやレントゲンをフル活用した検索手段を義務付けるべきだ、と主張しています。


 遺体を損壊する解剖を厭う遺族がいるのはもちろんだと思いますが、もう少しうまく折り合いをつける手段を模索していかないと、遺族にとっても、大切な人がなぜ死んだのかわからない、というのも不幸なことだと思います。


 具体的な実態は、海堂尊氏の「死因不明社会」をお勧めします。また、死体の発見から検死、解剖にいたるまでの解剖行政の矛盾を面白く描いた短編が「このミステリーがすごい2008」に掲載されています。


 興味がある方に、ぜひオススメします。




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2008年2月3日日曜日

危機管理。

海底ケーブル障害、3本目の不具合も判明 ドバイ沖
【CNN.JP】
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200802020012.html

中東やアジア、北アフリカの広範囲にわたる各地で1月30日からインターネット通信などが断絶し、経済活動や市民生活に大きな支障が出ている問題で、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイにある国際通信用のケーブルが新たに損傷したことが1日分かった。

これで機能障害に陥った海底ケーブルは3本目になる。3本目のケーブルはUAEとオマーンを結ぶもので、ドバイ沖合約56キロのペルシャ湾で障害を起こしている。この弊害でドバイなどでの通信速度が遅くなっている。同ケーブルはインドの通信企業の子会社が保持している。

修理のための専門船が現場海域へ向かっている。修復の時期などは不明。

一連のケーブル支障で影響を受けたのは、エジプト、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、バーレーン、パキスタン、インドの各国。

不具合を起こした他のケーブルは、エジプト沖の地中海で、同国とイタリアを結ぶ海底通信ケーブルなど。ケーブル切断の詳しい理由は不明だが、船のいかりなどによる損傷の可能性がある。一部のケーブルは2月12日までに復旧する見通しとなっている。

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 台湾の地震の際にもありました、海底ケーブル損傷による通信異常。陸続きの中東でもこのありさまですから、四方を海に囲まれた日本においては、その影響は甚大なものになりそうです。

 あらゆるものがネットに依存している世の中です。金融機関や証券会社の取引が停止してしまえば、経済にも影響しますし、また、安全保障の分野などでも(本来はコレが目的ですから)深刻な事態につながりかねません。 生活や安全と切っても切れないものとなったインターネットが、たかだか親指くらいの太さのケーブルに依存しているとは、普段意識することはありませんが、恐ろしさを感じます。




 図でみると、アメリカ方面から来る回線は東京方面(神奈川県二宮中継所)に集中しています。ここがテロの標的になったりすると恐ろしい被害を被ることになりそうです。

 さらに妄想を広げていくと、この中継所が寸断されれば、日本の通信の多くは中国を経由することに。シロウトの妄想ですから、実際どうなのかはわかりませんが、考えるだけでゾッとします。

 そんなわけで、今年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が超高速インターネット衛星WINDSの打ち上げを行います。



 目的は、災害時の基幹ネットワークのバックアップと、アジア地域の僻地などでのブロードバンド環境の実現だそうです。

まだ実験だそうですが、ワクワクします。「衛星通信の障害となっていた雨や厚い雲にも対応」などとおちゃめなところも持ち合わせています。

できるだけ早い実現を期待したいですね。
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2008年2月2日土曜日

戦争にならないように

天皇陛下ご訪韓を歓迎 韓国次期大統領
【産経ニュース】2008.2.2 11:43
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080202/kor0802021144001-n1.htm

 韓国の李明博次期大統領は2日付の韓国紙東亜日報とのインタビューで、日韓関係について「歴史は専門家に任せ、未来志向で行かなければならない」と述べ、天皇陛下のご訪韓を「歓迎する」と表明した。

 同紙によると、李氏は日韓政治指導者の関係進展のため両国首脳が頻繁に往来し懸案を話し合う「シャトル外交」の重要性を指摘。福田康夫首相の「アジア外交重視」への期待を強調した上で「日本は経済大国にふさわしい成熟した外交ができる」とし「歴史問題は日本自身の判断に任せる」とも述べた。

 天皇ご訪韓問題では「制限があるとは思わない」とし、実現すれば「韓日関係が未来に向かう大きな契機になる」と語った。福田首相が25日の大統領就任式に出席するとの見通しを示し「答礼」のため早期に訪日する考えを表明した。

 北朝鮮の金正日総書記との南北首脳会談については、核問題解決と北朝鮮の開放に成果があるなら「1回だけでなく何度でも会う」とする一方で「政治的目的で形式的に会うことはしない」と言明した。

 北朝鮮との経済協力に関し、既存の金剛山観光事業と開城工業団地は継続するが、昨年10月の南北首脳会談で合意された新規事業は(1)優先して行う(2)将来行う(3)実行が無理-の3事業に区分して対応する考えを表明。日本人拉致問題については「6カ国協議が進展すれば一緒に解決できるだろうと思う」と述べた。(共同)

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 政権発足後は、かならず未来志向でスタートする韓国の大統領ですが、どのくらいのスピードで過去を振り返り始めるかが楽しみです。マスコミ由来なのか、プロ市民の運動なのか、民意なのかはわかりませんが、李明博大統領は早くも釘を刺されています。

李次期大統領は謝罪し、発言を撤回せよ! 日本に対する「謝罪求めず」発言で各党が批判の声

 その李大統領、しきりに日本との強調を訴えています。シャトル外交だの、天皇訪韓だのと並んでいますが、その真意は「南北朝鮮統一のために日本は400億ドル供出します」という、何を根拠にしているのかわからない公約のためでしょう。

 北朝鮮が400億ドル(4兆円)で無くなってくれるのなら、別に出せない金額ではありません。例えば、首都高新宿線の工事費が1兆円ですから、渋滞解消をちょっと先送りにすれば良い訳です。

 しかし、南北統一を果たした朝鮮が、韓国主導ではなく、統一北朝鮮のような体制になることは十分考えられますので、あまりあせって結論を出す必要はないでしょう。金正日が亡くなってから考えればいいのかなくらいに思います。

 さて、気になったのが、

 天皇ご訪韓問題では「制限があるとは思わない」

というところです。「天皇ご訪韓問題」って何ですか。ググって見ても2件しかヒットしないのですが。(「天皇訪韓問題」でも127件)

 天皇陛下が訪韓するなんていう話は聞いたこともなければ、それが問題になることもありません。

 100歩譲って、「友好関係にある近隣諸国には天皇陛下が訪れて友好をさらに深めるべき」と考えたとしても、「制限があるとは思わない」ってなんですか。

 なんでわざわざ制限されるかもしれないようなところにいかなきゃならないんですか。

 「失礼にもほどがある!」と思ってしまいました。

 毎週日本の国旗を燃やすために集まる人々がいるような国には、行く必要もなければ、行くべきでもありません。李明博が「歓迎する」と言っても、それが韓国国内の政治に利用されるのは、火を見るより明らかです。

 伊藤博文が暗殺され、日韓併合が加速されました。天皇陛下が暗殺されるようなことになれば、日本は韓国と戦争するべきだと思います。なにせ、伊藤博文暗殺の犯人である安重根を英雄視するような国ですから。

 日韓で戦争をするのは望みません。

 だから、天皇陛下のご訪韓は絶対するべきではないと思います


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2008年2月1日金曜日

逃がさない。

26年前の殺人「時効」認めない! 教師殺害事件で賠償命令
【産経ニュース】2008.1.31 15:29
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080131/trl0801311529005-n1.htm

 昭和53年に殺害された東京都足立区立小学校元教諭、石川千佳子さん=当時(29)=の遺族が、26年後に犯行を自首した同じ小学校の元警備員の男(71)に約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。

 青柳馨裁判長は、男の殺害行為に対する賠償請求権は消滅したとした1審東京地裁判決を変更、殺害行為の賠償責任を認め、計約4200万円の支払いを命じた。

 この訴訟では、「不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する」と規定した民法上の「除斥期間」をどう判断するかが争点となった。1審東京地裁は「殺人」と「遺体を隠し続けた行為」を分けて判断。殺人は除斥期間が過ぎているとして損害賠償を認めず、遺体を隠し続けたことについてのみ330万円の支払いを命じていた。

 青柳裁判長は、民法の相続関係の時効規定を挙げ、「相続権利があることを知らないまま時効が成立してしまう場合があり、この規定は、そうした不利益を受ける者を保護するためにある」と指摘した。

 その上で、除斥期間とこの民法規定を比較し検討。「相続の発生が分からない原因を作った加害者が20年で賠償義務を免れるのは、著しく正義・公平の理念に反することになる」と述べ、一定の条件下では、この時効規定の趣旨に照らして、除斥期間の効果は生じないと結論付けた。

 遺族は男を雇っていた足立区も訴えていたが、昨年12月に和解が成立した。和解条件には(1)区は2500万円を遺族に支払う(2)遺族に哀悼の意を表し再発防止に努める-などが盛り込まれた。

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 ざっくりとした事件のあらまし。

 足立区で小学校の警備員をしていた男が些細な口論から同校の女性教師、石川さんを殺害。
死体を自宅に運び入れ、床下に埋める。

 そのまま26年間だれにバレることなく暮らしていたが、2004年区画整理におり、自宅の立ち退きを迫られる。

 死体が発覚されるのを覚悟し、警察に自首するも、公訴時効である15年を過ぎていたため、男は千葉に新居を構え、公務員年金を受け取り悠々の生活。マスコミの取材にはホースで水をかけ、棒を振り回して追い回すなど、反省のカケラも見られない。

 被害者遺族にはなんの保障もされず、ただ、犯人だけが身分を守られて暮らしている状況に遺族が憤慨し、民事訴訟を起こす。

 地裁では「殺害への賠償請求権は消滅した」として、遺体を隠していたことについて330万円の賠償を命じる。男は、1回も裁判に出廷せず。

 高裁において、除斥期間を認めず、「殺害への賠償請求権を認める」という判決を出し、賠償を命令。

詳しくは


 どういうことかと言うと、

 民事訴訟における賠償請求権に触れている民法724条によると、

第724条
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

 ということで、通常であれば、賠償請求権は20年。今回のケースは26年過ぎているわけですから、一審の東京地検の判決は法律論としては妥当な判決だったわけですが、今回の高裁の判決は「除斥期間はない」という考え方を認めて、一歩ふみこんだ判決を出しました。

 「除斥期間」というのは民法724条の「不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。」という部分です。これは、「著しく正義・公平の理念に反する場合には除斥期間の適用がない」とする、東京予防接種禍訴訟(平成10年6月12日)の最高裁判決に基づいています。

 今回の事件については、民事訴訟を起こそうにも、訴訟を起こす相手がわからなければ起こしようがありません。青柳裁判長は「相続権利があることを知らないまま時効が成立してしまう場合があり、この規定は、そうした不利益を受ける者を保護するためにある」として、賠償請求権の時効は認めないというわけです。

 大岡裁きではありませんが、我々は共同体においての社会正義というものの存在を信じて生活しています。その存在が疑われるようでは、安全な生活を営むことはできません。

 本件のように「人を殺しても、どこかに隠して15年過ぎれば罪にならない。20年過ぎれば賠償する責任もない」ということで犯罪者が開き直って大手を振って生きていけるような世の中になってしまっては、社会が崩壊していってしまうことは間違いありません。

 賠償されても、殺された人が生き返るわけではないので、遺族の方には気の毒に思いますが、それでも今回の判決では「一矢報いることができた」と思ってもらえるのではないでしょうか。

※「除斥期間」についてはこちらのサイトを参考にさせていただきました。http://flugel.at.webry.info/200609/article_65.html


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