2008年1月1日火曜日

新年明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。

まずは新年にあたり、福田首相のお言葉を批判的に読み解いていきたいと思います。


福田 康夫 内閣総理大臣】

年頭所感

 新年あけましておめでとうございます。

【日本の底力】  「日本経済再建の成否は、一にかかって諸君の双肩にあるものであります。」
 ちょうど60年前、当時の片山総理大臣は、国民に向かってこう呼びかけました。戦争によってすべてが失われ、焼け跡の中からいかに立ち上がるかという困難な状況の中で、日本国民が持つ底力を信じるほかないという思いが、そこには込められていたのだと思います。  その思いは、戦後の歩みの中で、大きな実を結びました。日本は、目覚ましい戦後復興を成し遂げ、高度経済成長を経て、世界にも誇る経済大国へと発展しました。経済発展とともに、医療の充実や国民皆保険・皆年金などを目指して安定した社会を作りあげた結果、今や、平均寿命世界一の長寿国となっています。このような日本の発展は、世界からも一目置かれ、「東アジアの奇跡」とも呼ばれましたが、これはひとえに国民の底力とたゆまぬ努力の結果にほかなりません。
 一方で、いわゆる団塊の世代が定年退職をはじめた日本の現在は、人口減少社会に突入し、高齢化社会が現実のものとなりつつあります。また、バブル崩壊後、ここ20年近く、経済の規模も、国民の所得の水準もほとんど横ばいとなり、長く経済の停滞が続いてきました。そして、このように経済全体が成長しない状況では、誰かの所得が伸びれば、必ず他の誰かの所得が減ってしまうという結果になり、格差という問題が生じてきました。  しかしながら、このような構造的な問題に直面し、先の見えない閉塞感の中にあっても、日本には、長年培われてきた「ものづくり」の技と心、環境・省エネをはじめとする高い技術力があります。日本は自信を失う必要はありません。私は、持ち前の底力を発揮しさえすれば、日本は必ず新たな飛躍を成し遂げることができる、と信じています。


・人口減少と少子高齢化は、先進国においては日本が一番最初に直面する国家になりそうです。
フランスなどでは行政によるベビーシッターのサービス(Michael Moore:"Sicko" を見るとそのすごさがわかります。)
日本では、橋下弁護士が、いちはやく「子どもが笑う、職員が汗をかく」をテーマに出産と保育の拡充を公約にして、大阪府知事選に立候補しましたが、なかなか国家としてのプランが見えてきませんね。(猪口とかの男女共同参画とかで実効性のない「PR」とかに予算つけるのなら、こっちにまわせばいいのに。)
ちなみに東京都の石原都知事「東京都認証保育園」制度は Good Job です。
要するに、わかっているなら早くやれ!!

・格差問題もようやく本格的に取り上げられるようになりました。
東京学芸大学の山田昌弘教授が「希望格差社会」を上梓したのが2004年ですから、ようやくといった感じです。(山田教授の著書は全部お勧めです)
格差社会については、Alvin Toffler氏も「富と未来」という著書に中で取り上げていて、IT技術による情報革命が起きている先進国においては共通する現象だそうです。

「農業革命」「産業革命」に続いて現在起こりつつある「IT革命」という3つの革命を経て、人類は飛躍的に生産性を向上させてきた。生産性の向上は、人類に等しく恩恵を与えるのではなく、その革新性の波に乗った者から恩恵を受ける。つまり、既存のルールに則って同じような収入を得ていた時代から、新しいルールに乗り換えた者から先に恩恵を受けることになる。やがて、IT革命の影響が広く一般の人にも普及していくが、先に新しいルールに乗った者と、既存のルールでゲームをしている者に現れる差が格差である。(引用ではありません。趣旨を自分なりにまとめました。)

ということで、本来の格差は現状のままの人は現状のままだが、新しい波に乗った者には加点があるよ。この加点分を「格差」と呼ぶんだよ。といっているわけですが、現在の日本の若年層の日雇い派遣などの職種についている人たちを見ていると、現状維持どころか、明らかに底が下がっている気がします。

【生活者・消費者が主役となる社会】  高度経済成長が終わり、少子化や高齢化が進展する中で、社会の有り様は大きく変わりました。戦後の焼け跡から生産第一主義で突っ走ってきた時代はすでに終わり、生活の質の向上へと国民の関心が移ってきています。しかしながら、社会保障をはじめとした国民生活を支えるシステムは、戦後作られたものの微修正を繰り返しながら現在に至っているというのが現実です。こうした中で、近年、住宅や食品表示などの偽装問題や、年金記録のずさんな処理など、様々な問題が明らかとなりました。  政治も行政も、そして企業も、今こそ、生活者や消費者の立場に立つよう、発想の転換が求められていると思います。現在、すべての法律や制度が本当に国民の立場に立っているかどうかという、国民目線の総点検を行っており、できるだけ早期に結論を得たいと考えています。私は、今年を、「生活者・消費者が主役となる社会」へと転換していくスタートの年にします。
 年金記録については、これまでの3、40年間にわたる長い間の管理の仕方に様々な問題があり、今般の問題が生じました。そのため、「これをやれば解決」という特効薬的な方策はありません。現在、「ねんきん特別便」の送付を開始して、記録の点検をお願いしておりますが、一つひとつ着実に粘り強く取り組み、全力を尽くしてまいりますので、ご協力をお願いします。同時に、こうした問題の多い年金制度を根本から見直し、受給者や加入者の立場に立って、これ以上ないというくらい確実な制度へと改めます。  年金制度のあり方はもとより、医療・介護制度など、国民生活にかかわる重要な諸制度について、安心できるきめ細かな制度づくりを進めるため、今年から、社会保障のあり方について検討する国民会議を開催いたします。労働者、消費者、女性など各界各層の代表にお集まりいただいて、例えば、これまで日本がとってきた社会保障制度、すなわち中福祉中負担のままでよいのか、スウェーデンのような高福祉高負担の方向が望ましいのかなど、広い視野から議論し、多くの国民が納得する制度を考えていただきたいと思います。


・年金については、私の世代にはすでに諦観が漂っています。20歳の時に学生なので、年金の控除の手続きをしました。就職してからは一回も漏れることなく納付してきましたが、最初の時から、「どうせもらえるかどうかわからないけどね」という感じです。
最近の政府筋の発言で、「この言葉が出てきたら要注意!」と思っているのが「スウェーデン」です。
スウェーデンの制度には先進的なものがあり、参考にすべき点はもちろんあるのですが、少子高齢化の現状から考えるとそうとう無理があると思いませんか。「納税を終えた老人に社会保障を手厚く与えて、少子化が進む世代にさらに負担してもらいましょう。」なんて、どんだけ政府は団塊世代しか見てないんだよ!と突っ込みたくなります。

一番腹が立つのは、「今こそ、生活者や消費者の立場に立つよう、発想の転換が求められていると思います。」という言葉です。
じゃあ、今までどこ見て政策を作ってきたんだよ。

【環境で世界をリード】  日本には、天然資源は乏しくとも、豊富な人材に裏打ちされた高い技術力があります。とりわけ、環境分野においては、世界最先端の技術を有しています。昭和40年代や50年代のオイルショックや深刻な公害問題をバネにしながら、日本は、環境・省エネ分野において世界の研究開発のトップを走り続け、環境にやさしい国づくりを進めてきました。このような、いわば「環境力」は、日本が今後成長していく上で、大きな「強み」であると言えます。  近年、温暖化をはじめ地球規模での環境問題が顕在化する中で、日本だけでなく、世界各国が協力してこの問題に取り組む必要があります。日本が持つ世界最先端の技術を各国に広めることで世界に貢献し、大きな役割を果たすことができます。
 今年は、いよいよ日本でサミットが開催される年です。環境問題は今年のサミットの大きな議題の一つであることは間違いありません。七夕の日には、北海道の洞爺湖に世界の首脳が集います。北海道の澄んだ空に浮かぶ天の川を見上げながら、このきれいな空を子どもたちに引き継ぐために今私たちに何ができるのか、日本が世界の議論をリードしていきたいと考えています。


・「環境問題」というと、何か反対してはいけない空気があります。
昨年のノーベル賞はAl Goore氏とIPCC(Intergovernmental Panels of Climate Changes)に送られ、特に異論を挟む人はいないようですが、IPCCはともかく、Al Goore氏についてはなかなか怪しい、と思っています。現在の二酸化炭素削減についてはEU、アメリカ、発展途上国との綱引きが繰り広げられています。日本は今のところ、「審判」のポジションを取ろうとしているのですが、環境問題はただ心根のやさしい人たちが善意でやっているわけではありませんからね。この問題はまた、別の機会に触れたいと思います。

【地域再生】  長い間の経済の停滞によって、特に地方においては依然厳しい状況にあります。しかし、地方には、自然や伝統などそれぞれの特色があります。まずは、それぞれの地方が、自らの創意工夫によって、その持てる特色を活かすことが、地域再生の第一歩です。国が決めた政策を押し付けるのではなく、地方の自由な取組を後押しする方向へと転換していきます。  さらに、そうした努力を続けている地方は、域内で農業や中小企業、大学などのネットワークをつくりあげるとともに、それぞれの地方の枠を超えて、他の地方や都市、さらには海外へとつながることで、人や情報が行き交い、販路が拡大し、大きな相乗効果を得ることができるでしょう。今後、地域ブロックごとに全体を統括する専門官を置くなど、地方の枠を超えたネットワークづくりを応援してまいります。

・国家の為政者が「国では政策を示しません」と言っているようにも聞こえます。
安倍内閣から引き続き、総務大臣を務めている、元岩手県知事の増田達也大臣は、岩手県政の改革によって高い成果を上げた人物です。最近は宮崎といい、横浜といい、東京といい、大阪といい、割としがらみのない首長が増えています。この辺と連携して増田大臣に期待したいです。
(ただ、渡辺行革担当大臣の処遇を見てると、どうかな)

【国際社会とのつながり】  日本経済を建て直し、今後さらに成長していくためには、とりわけ海外との「つながり」が重要です。  日本は、低成長時代で、人口も減少しつつあります。しかし、アジアの周辺諸国は今でも高成長を続け、人口も増えています。日本を「世界に開かれた国」としていくことによって、アジアの活力をとりこみ、日本もともに発展していくことができると考えます。  わが国は、戦後、貿易立国として発展してきました。今後とも、わが国が発展していくためには、国際社会と協力し、相互依存を深めていかなければなりません。平和で安定した国際社会は、日本にとってかけがえのない財産です。その国際社会に対して日本ができるだけのお手伝いをする必要があります。今、この瞬間も、インド洋では、多くの国々が協力し合いながらテロとの闘いを続けています。一刻も早く、他の国々とともに世界のために汗を流す日本の姿を示したいと思います。

・ASEANの繁栄に寄与するという「福田ドクトリン」を提唱した福田赳夫の息子だけに、本当は期待したいところなのですが、どうも媚中派というイメージが抜けません。
安倍前首相は、赴任直後に韓国、中国の関係改善を行い(まぁ、小泉時代に距離を置き過ぎただけで、形だけに見えますが、Good Job です。)その後、この2カ国にできるだけ触らないようにして、オーストラリア、インド、ASEAN諸国との関係を深めました。(特にオーストラリアとの安全保障協力と、財界人を引き連れてのインド訪問、インド議会での演説はかなり良いです。)
話を戻して福田総理ですが、中国での歓待ぶりをアピールし、「梅の花を咲かせる旅」などと自己評価してましたが、六韜のこの言葉が頭をよぎります。

「交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が有能ならば何一つ与えず返せ。  交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。  そうすれば、隣国では無能な者が重用され、有能な者が失脚する。  そしてやがては滅ぶ」

ガス田問題は春に解決を目指すとか言ってたけど、はっきり言って福田政権下では決着してほしくないです。

【さいごに】  総理に就任して3ヶ月。様々な取組はまだ緒に就いたばかりですが、日本の政治と社会のあり方をこれからの日本にふさわしいものにしていくために努力してまいります。そして、今年の年末には、国民の皆さんに、1年経ったら何かが変わったと実感してもらえるような世の中にしたいと思います。  本年が、皆さんにとって、素晴らしい1年となりますよう、心からお祈りしております。

平成20年1月1日
内閣総理大臣 福田康夫


昨年は、官僚の抵抗、民主党のサボタージュ、マスコミの偏向キャンペーンに引っ掻き回され、後半はグデグデになってしまいました。(ISAFへの自衛隊参加とか、実現するわけないだろ)
今年は衆議院選挙をひかえ、くだらないキャンペーンに乗らずに真面目に日本のことを考える政治家を増やしていかなければなりません。

このところ、ビルマ、パキスタンでの軍事衝突や、台湾海峡の緊張化など、アジアの平和に真剣にとりくむ必要があるからです。横峰パパとか、姫の虎退治とか、一瞬のイメージによって国会がねじれ、何一つ問題が解決に向かわない状況にあります。ちなみに参議院の任期は6年ということは2013年までずーっと横峰パパとかが参議院に居座るわけです。
今年の北京五輪、2010年の上海万博を経て、中国が一気に牙を剥く、という話もあるくらいですから、2013年までの任期というのは実に長い。

韓国大統領選挙も、「あれが候補者じゃ韓国国民はかわいそうだな」とも思いましたが、日本もそうならないようにしなければなりませんね。(やっぱり閣下か)

最後に、「新年にあたり天皇陛下のご感想」を引用して終わりたいと思います。

平成20年の新年に当たり天皇陛下のご感想

 昨年は石川県と新潟県に地震があり,厳しい冬を過ごす被災者の苦労が察せられます。大雨などの自然災害は少ない年でしたが,国民生活に不安をもたらすような社会的状況が幾つか明らかになったことは残念なことでした。  新しい年が国民一人一人にとって幸せなものであり,世界の人々が互いに信頼し合って暮していける社会が築かれていくことを願っています。

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