2008年2月18日月曜日

コンプライアンス

日教組の宿泊拒否、法違反の疑い濃厚 厚労相
【産経ニュース】2008.2.18 16:41
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080218/plc0802181641005-n1.htm

 グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)による日教組の教育研究全国集会(教研集会)への会場提供拒否問題で、集会参加者用に予約した約190室の宿泊についてもホテル側が拒否していたことが分かり、舛添要一厚生労働相は18日の衆院予算委員会で、「旅館業法に違反する疑いが濃厚だ」と指摘した。

 旅館業法は、伝染病や賭博などの違法行為の恐れや空室がない場合以外は宿泊を拒んではならないと規定している。舛添氏によると、港区がホテル側を事情聴取する予定という。

 また鳩山邦夫法相は、会場使用を認めた司法判断に従わなかったホテル側の対応について「あくまで一般論だが、裁判所を無視した当事者がいるとすれば、法治国家にあるまじき事態だ」と述べた。

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 裁判所の命令を蹴ってでも、日教組への会場提供を拒否したプリンスホテルですが、参加者の宿泊拒否が旅館業法違反にあたるということです。

旅館業法に抵触するとするのは、おそらく以下の部分です。

第五条  営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
一  宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
二  宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
三  宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

 ということですが、そもそも旅館業法とは

第一条  この法律は、旅館業の業務の適正な運営を確保すること等により、旅館業の健全な発達を図るとともに、旅館業の分野における利用者の需要の高度化及び多様化に対応したサービスの提供を促進し、もつて公衆衛生及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。

ということを主旨としており、特に第三条においては、

 都道府県知事は、前項各号に掲げる施設の敷地の周囲おおむね百メートルの区域内の施設につき第一項の許可を与える場合には、あらかじめ、その施設の設置によつて前項各号に掲げる施設(※学校および児童福祉施設のこと)の清純な施設環境が著しく害されるおそれがないかどうかについて、学校については、当該学校が大学附置の国立学校(学校教育法第二条第二項 に規定する国立学校をいう。)であるときは当該大学の学長、高等専門学校であるときは当該高等専門学校の校長、高等専門学校以外の公立学校であるときは当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会、高等専門学校以外の私立学校であるときは学校教育法 に定めるその所管庁の意見を、児童福祉施設については、児童福祉法第四十六条 に規定する行政庁の意見を、前項第三号の規定により都道府県の条例で定める施設については、当該条例で定める者の意見を求めなければならない。

として、周辺環境にも十分配慮しなさいよ、ということも同時に言っています。

「宿泊施設はこうしなさい」という法律なので、当然、周辺の環境、利用者を始め、、旅館業に係わるものに十分な配慮をしなさいというものなので、当然ですね。

 今回、宿泊者に配慮がない、と日教組は目くじらを立てているわけですが、この大会当日は、近隣の学校では入試試験があるということで、大きな騒ぎになることをプリンスホテル側は危惧していました。

 荘司副委員長(日教組)は会場使用を認める裁判所の仮処分が決定していることを指摘したが、小山支配人(プリンスホテル)は「結果的には法令を守らないことになるが、企業として判断したこと」と答えたという。

 しかし、近隣の学校に配慮するホテルと、近隣の学校に配慮せずに「オレ達は客だぞ」と言わんばかりにサービスを要求する教師集団のどちらに利があるのでしょうか。

 このニュースを受けて、連合ではプリンス系のホテルを利用しないことを訴えていくそうです。

 古賀伸明事務局長は、今回の要請について、「異例の対応だが、言論、集会の自由を尊重しないばかりか、司法の判断にも従わない姿勢は看過できない」と説明、「企業としてのコンプライアンスが改善されるまでは続ける」としている。

 条例で決められた国歌の斉唱を、個人の心情を優先して守らない連中にコンプライアンスなどという言葉は使われたくありません。

 本来、プリンスホテルは、この5条を盾に受け入れるという選択肢を選ぶことはもちろんできたはずです。

 しかし、そうせずに、裁判所の命令に反してでも、受入を拒否したのは、他の宿泊客や、近隣への配慮があったはずで、その方針は、正に旅館業法の主意に沿ったものであると思います。


違反の疑いがある以上、今後は行政による調査と処分が裁定されることと思いますが、港区および、東京都には教条的な解釈ではなく、プリンスホテルが投じた一石をきちんと受け止めたものにして欲しいものです。



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