2008年2月10日日曜日

信じている。言葉の力を

オバマ氏の感動スピーチをアーティストたちが曲に Yes We Canと
 コラム「大手町から見る米大統領選」(19回目)
【gooニュース】2008年2月9日(土)21:42
http://news.goo.ne.jp/article/gooeditor/world/gooeditor-20080209-01.html?C=S

  あの演説はやはり、歴史に残るかもしれない感動的なものだった。同じように感じたアーティストたちが集まって、やはり感動的な曲と、ミュージックビデオを作った。こういうのが出てくるのが、アメリカの懐の深さ。アメリカ大統領選の面白さ。そしてバラク・オバマという人の、人を感動させる力なのだと思う。(gooニュース 加藤祐子)

各候補の政策をまとめていたら、この曲のことを伝えるニュースが目に入った。そしてビデオを観て、聴いて、ちょっと涙ぐんで、どうしてもこれをご紹介したくなった。

これは、バラク・オバマ上院議員のあの感動的な、しかもニューハンプシャーで負けたあとの演説を、曲にしたものです。もとの演説の映像と全文テキスト(英語)はこちら

そしてこの演説を、演説の言葉をそのまま歌詞にして、R&Bぽい曲にしたのが、これ







一見の価値ありです。
(中略)

 ビデオクリップを観ながら、聴きながら、ちょっと涙ぐんでしまった。聴きながら唐突に、ボブ・ディランを連想したりしながら。あと数多のプロテスト・ソング。自分が遅く生まれたせいで経験できなかった分、美化してしまっている「60年代」への憧れを思い出したりしながら(時代は後だけど、Neville Brothersとか)。

 それくらい、あのときのオバマ氏の演説は、たとえばケネディ大統領の就任演説のあの有名すぎる「Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country(国が自分のために何をしてくれるかと訊くのではなく、自分が国のために何をできるのか考えよう」と同じくらい、感動的だったから。しかもケネディ大統領のこの名調子がかなり理屈っぽいのに比べて、オバマ氏のストレートでシンプルなこと。


Yes we can! できる、私たちにはできる。だいじょうぶ、できる。もちろん、できるよ。
??こんな感じ。 

歌になった部分はたとえば、こういうところ。

Yes, we can.それは、この国の運命を宣言した建国の文書に書き込まれた信念だ。

Yes, we can.それは、真暗な闇夜を抜けて自由への道を切り開いた奴隷や、奴隷廃止活動家たちがささやいた言葉だ。

Yes, we can.遠い岸辺を出発した移民たちや、容赦ない未開の地を西へ西へと進んだ開拓者たちが、そう歌った。

Yes, we can.組織を作った労働者たちの合い言葉。選挙権を求めた女性たちの合い言葉。われわれの新しいフロンティアは月だと言った大統領のかけ声。そして山頂へとわれわれを導き、約束の土地を指し示してくれたキングの言葉だ。

Yes, we can. 私たちにはできる。正義と平等を、と。Yes, we can. 私たちにはできる。機会と繁栄を。
Yes, we can. 私たちにはできる。この国を癒し。

Yes, we can. 私たちにはできる。この世界を修復することを。

Yes, we can. 私たちにはできる。


アメリカで何かが起きている。私たちはそれを忘れない。

政治が言うほど、私たちは分断していないと。私たちはひとつの国民、ひとつの国なのだと。アメリカの歴史の新しい偉大な一章を、私たちは一緒にはじめる。

その最初の言葉は、三つの言葉だ。この三つの言葉が、海岸から海岸まで、ひとつの海からもうひとつの光り輝く海まで、国中に響き渡るのだ。

Yes, we can. 

これから長い戦いが続く。それは分かっている。

けれども忘れないで欲しい。

どんな障害が行く手を阻もうとも、変化を求める何百万と言う人々の声の力に抵抗できるものなど、何もない。

そんなことできないと、皮肉な声が聞こえる。皮肉な疑いの声はこれからどんどん大きく響き渡るだろう。


もっと現実的になるよう言われている。この国の人々に偽りの期待を与えるなと、そう警告されてきた。
しかしアメリカというこの予想外の物語において、希望が偽りだったことなど、一度もないのだ


そしてこの演説に感動して、ミュージシャンや女優や俳優やNBAスターが集まって、こういうビデオを。
政治家の演説にミュージシャンが感動して、こういうのが出てくるアメリカ。こういうところがさすがアメリカだと思うし、オバマ議員が今のこの時点までやってきたその理由を全て物語っていると思うし、まさにこれが今回の選挙のぞくぞくするほど面白いところだ。

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 今回のアメリカ大統領選には、正直あまり注目していませんでした。ブッシュ政権の失策続きのおかげで、民主党政権になるのは、目に見えているし、民主党政権になれば、ビル・クリントン前大統領の時のように、ジャパン・バッシング、ジャパン・パッシングといわれたように、日本としては、あまり面白くない時代になるのだろうと思います。当時、めちゃくちゃに叩かれていた、橋本首相の「米国債を売りたい衝動にかられた」という発言も、クリントン政権下の状況を振り返れば、共感できる気がします。

 米大統領選は、日本の政治システムとは大きく違うので、誰が大統領になるのか、まだまだ絞ることができませんが、現段階では、ヒラリーかオバマ、ということになりそうです。

 ヒラリー・クリントンといえば、ビル・クリントン政権のスタッフと言っても差し支えない立場の政治家なので、前クリントン政権の方針に近いのであれば、日本としては、あまり歓迎できない感じです。

 良いところを上げれば、前クリントン政権では、プライマリー・バランスをゼロにした財政政策は評価できますし、ヒラリーが尽力しながら、残念ながら達成できなかった、国民健康保険制度に再度取り組んで欲しいところではあります。

 ただし、クリントンになると、

1989年 : G・H・W・ブッシュ
1993年 : W・クリントン
2001年 : G・W・ブッシュ
2008年 :H・クリントン

 ということになり、悪いとは言いませんが、世界最大の大国のリーダーが20数年に渡って、2つのファミリーで占めるというのは、あまり面白くない感じです。

 一方のオバマ候補ですが、細かい政策はさておき、演説が滅法うまい。「ケネディの再来」といわれる所以です。

 上記の"Yes, we can"の演説もとてもうまい。これはニューハンプシャー州で、クリントン候補に敗れた直後の演説ですが、負けた候補の演説とは思えない、力強い演説です。

 勝手連的に応援している、Black eyed peas will.i.am の歌も、この詩的な演説があってこそのものでしょう。

 バラク・オバマには、もう一つ、伝説と呼ばれている名演説があります。2004年の民主党党大会の基調演説です。










Now even as we speak, there are those who are preparing to divide us -- the spin masters, the negative ad peddlers who embrace the politics of "anything goes."

(我々が、こう発言しているにもかかわらず、私たちを分断させようと画策する人たちがいる。情報操作に長けた政治屋のメディア担当や、政治について「なんでもいいや」という気分にさせようとする広告屋だ。)

Well, I say to them tonight, there is not a liberal America and a conservative America -- there is the United States of America.

(今夜、私は彼らにこう言う。ここにあるのは、「革新のアメリカ」でも、「保守のアメリカ」でもない。「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(諸州が団結するアメリカ)」である。)

There is not a Black America and a White America and Latino America and Asian America -- there’s the United States of America.


黒人のためのアメリカでも、白人のためのアメリカでも、ラテンやアジア系のアメリカでもない。「ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(諸州が団結するアメリカ)」である。

  観衆が熱狂している様子がわかります。冒頭のオバマが自分の家族の由来について話している部分も、格調高く、なかなか良い話です。

  英語がわからない人も、雰囲気を味わうだけでも価値があると思います。また、英語を勉強している人にも、良いリスニングの教材になると思います。

  オバマが大統領になって功績を残すことができれば、キング牧師の"I have a dream"のように教科書に載るようになるのかもしれませんね。

  全文の通しと、内容の起しはコチラ




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