2008年4月3日木曜日

土建屋集団 IOC

USA TODAY チベット騒乱で“糾弾”  「IOCはなぜ沈黙する」
【産経ニュース】 2008.3.29 22:46
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080329/amr0803292244017-n1.htm

米紙USA TODAYは、チベット族に対する弾圧が続く中国で五輪が開かれることに関し、国際オリンピック委員会(IOC)を痛烈に批判するコラムを運動面で掲載した。クリスティーヌ・ブレナン氏による記事の抄訳は次の通り。

 北京五輪と言って思い浮かべるのは抗議活動や取り締まり、検閲、死などスポーツ以外のことばかり。まだ3月だ。6、7月にはどうなっているのだろう。

 IOCは7年近くの間、中国に圧政的方法を改めるよう求めることができた。中国をもっと開かれた社会にすることは、北京に五輪を与える主たる理由だったのだ。残念なことに、IOCは中国に変化を促すことを何もしてこなかった。中国に五輪を与えたことで、共産主義政権に敢然と異議を唱えた人々の生活を悪化させた。勇気をもって立ち上がった人々への弾圧が増えているのを無視し続けることは、五輪が近づくにつれ不可能になっている。

 人権団体はIOCに、中国の変化に影響を及ぼすよう要望してきた。中国が何よりも気にかけているのは五輪を通じて自らの国を誇示できるかどうかであり、その意味では、IOCが中国政府に持つ力は巨大だ。

 ロゲIOC会長は「人権団体には(IOC本部がある)ローザンヌで定期的に会っており、尊敬の念は持っているが、IOCは中国に成り代わって仕事をする役目までは負わない。私の神聖なる優先事項はスポーツ選手のためによい大会を保証することだ」と語る。

 だが、ロゲ氏が動かないことは、氏が守りたいと願う選手や五輪の状況をより悪くするだけだ。中国に意見を言わないことは、中国の政策を嫌悪する人々をさらに怒らせることになる。

 IOCは2004年五輪の前に会場整備の遅れについてアテネに厳しく当たることには躊躇(ちゅうちょ)しなかった。それが今、(アフリカのスーダンの紛争地)ダルフールやチベットでの人権というもっと重要な問題で発言を拒んでいる。IOCは、スポーツを通して世界をひとつにしようとの高い志の組織というよりも、土木技師の集団か何かのようだ。

 06年冬季五輪のスピードスケートの米人金メダリスト、ジョーイ・チーク氏は「五輪とは人権のため人々が力を合わせる方法だとIOCは言うが、なぜ今回はそれについてはっきり言わないのか」と訴えている。


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北京オリンピックが決まり、開催が近づくにつれて、「中共の醜い部分が世界中に明らかに」とか「ジェノサイド・オリンピックの再来」とかはしゃいでいましたが、現実にチベット弾圧を目の当たりにすると、シャレにならなくなってきました。

中国政府は餃子問題に引き続き、「居直り」と「逆切れ」と「捏造」で乗り切ろうと必死ですが、残念ながら情報封鎖によって決定的な確証が得られない西側メディアではなかなか強い態度にでることができません。

北京オリンピックに際して「チベット問題は中国の内政問題だが、人権にかかわるようなことがあれば心配、懸念を表明せざるを得ない。」というどこまで突っ込んでよいやらわからない福田首相は論外ですが、情報を公開せずに、逃げようとする中国政府に対しては、あらゆる方面からきちんと人権擁護を訴えていくべきです。

そういう意味で、IOCには、中国に対して影響力を持ち、また崇高な理念に沿った行動を求めるべき機関であり、それをきちんと果たしていかないのであれば、

IOCは、スポーツを通して世界をひとつにしようとの高い志の組織というよりも、土木技師の集団か何かのようだ。

という謗りを受けてもしょうがないと思います。実際、IOCは、オリンピックの商業化を進めていて、拝金主義に陥っていると後ろ指をさされてきているわけですから、この場におよんでなお、上滑りな言葉でのらりくらりと批判をかわそうとするのであれば、早晩「オリンピックは平和の祭典」という称号を降ろさざるをえなくなるでしょう。

チベットの問題だけでなく、中国は東トルクメニスタン(新疆ウイグル自治区)の問題をかかえており、舵取りいかんでは、大虐殺が行われたり、紛争が始まったりと、大変な事態を招きかねません。もちろんこれは、中共という巨大な暴力装置による支配の結果であり、「北京五輪で声を上げたら、多少の人権が獲得できた」というのがゴールではないので、世界の注目が集まっている今こそが大事です。外国人メディアを締め出しているラサの様子は、残念ながら正しい形で伝わってきませんが、オリンピックが始まり、世界中のメディアが注視するなかで、情報封鎖の目を掻い潜り抜けて、チベット人や新疆ウイグル人らの迫害を受けている民族の姿を、人治国家中国において不遇な思いをさせられている人々の姿が世界に伝えられることを願ってやみません。

郷田良家 「慈悲と修羅」




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