2008年4月6日日曜日

真価が問われています。

天台宗のトップ、チベット問題を涙ながらに語る。その0

天台宗のトップ、チベット問題を涙ながらに語る。その1



 今、私たち日本の仏教者の真価が問われています。

 チベットでの中国の武力行動によって、宗教の自由が失われることに心から悲しみと、止むに止まれぬ抗議を表明せずにはいられません。
 私たちはあくまでも宗教者、仏教者として、僧侶をはじめとするチベット人の苦しみを、もはや黙って見過ごすことができません。
 チベット仏教の宗教的伝統を、チベット人の自由な意思で守るということが、大切な基本です。
 皆さんは、日本の全国のお坊さんがどうしているのかとお思いでしょう。

 日本の各宗派、教団は日中国交回復のあと、中国各地でご縁のある寺院の復興に力を注いできました。私も中国の寺院の復興に携わりました。
 しかし、中国の寺院との交流は全て北京を通さずにはできません。
 ほとんど自由はなかった。
 これからもそうだと、全国のほとんどの僧侶は知っています。
 そして、日本の仏教教団がダライ・ラマ法王と交流することを、北京は不快に思うこともよく知られています。
 あくまでも、宗教の自由の問題こそ重大であると、私は考えています。

 しかし、チベットの事件以来、3週間以上が過ぎてなお、日本の仏教界に目立った行動は見られません。
 中国仏教界が大切な友人であるなら、どうして何も言わない、しないで良いのでしょうか。


 ダライ・ラマ法王を中心に仏教国としての歴史を重ねてきたチベットが、今、なくなろうとしています。

 私たちは宗教者、仏教者として、草の根から声を挙げていかなければなりません。
 しかし、私の所属する宗派が、中国の仏教界関係者から抗議を受けて、私はお叱りを受ける可能性が高いでしょう。
 このように申し上げるのは、私たちと行動を共にしましょうということではないのです。 それぞれのご住職、檀信徒の皆さんが、これをきっかけに自ら考えていただきたいのです。

 オリンピックにあわせて、中国の交流のある寺院に参拝予定の僧侶もいらっしゃるでしょう。

 この情勢の中、中国でどんなお話をされるのでしょう。

 もしも宗教者として毅然とした態度で臨めないならば、私たちはこれから、信者さん、檀家さんにどのようなことを説いていけるのでしょうか。


 私たちにとってこれが宗教者、仏教者であるための最後の機会かもしれません。

書写山 圓教寺 執事長 大樹 玄承 平成20年4月5日

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関西テレビで放送されている「ぶったま」という番組です。チベット問題について、天台宗のお坊さんが声明を表明しました。教団としての声明でないにせよ、日本の仏教教団(新宗教は除く)がこうした形でメディアに出てきて、意見を表明することは異例のことだと思います。

日本の宗教界がこうした声明を積極的にしないのは、太平洋戦争の際の反省があるのかもしれません。例えば、浄土真宗は太平洋戦争の際にこんな声明を出しました。

「罪悪人を膺懲し、救済せんがためには、殺生も亦、時にその方法として採用せらるべき」
(「仏教と戦争」昭和十二年八月本願寺計画課)

膺懲(ようちょう)とは、「懲らしめる」という意味のようです。

伝統仏教界が大きな力を持っていたとしても、太平洋戦争を回避させるようなことは、当時の国際情勢を考えるとできるわけがありません。また、戦争遂行が日本という国の将来を占うであろう時に、ただいたずらに「不殺生」を説くのも無責任な態度であるという謗りを免れない状況であったことは間違いないと思います。ただし、だからといって、戦争に積極的に加担するべきであったのか、という悩みは大きかったのではないか、と思います。

伝統宗教界は沈黙を続けています。それは、その影響力が政治やその他の勢力に利用されてしまうのではないか、という危惧があるのかもしれません。

その伝統宗教界に属する僧侶が、チベット問題に際して、深い悲しみを示し、中国の政治姿勢に対して疑義を呈するのは大きな価値があり、たとえ微力であっても、チベット仏教を信奉する人々に勇気を与えることができると思います。

文章は抑え気味ですが、

 もしも宗教者として毅然とした態度で臨めないならば、私たちはこれから、信者さん、檀家さんにどのようなことを説いていけるのでしょうか。私たちにとってこれが宗教者、仏教者であるための最後の機会かもしれません。

というところに、自分たちの価値を賭けた、静かな、強い決意を感じました。

テキストはコチラのサイトから拝借しました。

ぼやきくっくり



おまけ


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