2008年5月3日土曜日

11番ホームの妖精


θ―11番ホームの妖精 (電撃文庫 と 10-1) (文庫) 籘真 千歳 (著)




東京駅上空2200mに浮かぶホームには、銀の髪と瑠璃色の瞳を持つ少女と白い狼が住んでいる。彼らは忘れ去られた約束を信じて、今日もその場所で待っている。―high Compress Dimension transport(高密度次元圧縮交通)―通称C.D.「鏡色の門」と鋼鉄の線路により、地球の裏側までわずか数時間で結ばれる時代。春の隠やかな午後、東京駅11番ホームに響き渡る突然のエマージェンシーコールが事件の始まりを告げた…。銀色の髪の少女T・B、野菜嫌いの娘・義経、そしてクールなAI、アリスが繰り広げる、ハードSF&のほほんストーリー。(以上、本書見返しより)


読み始めた時は、主人公"TB"と"義経(狼)"のやり取りが馴れ合いみたいに見えたのですが、何気ないやり取りを通じて、段々と作りこまれた世界観が明らかになってくると、軽い語り口がリズムを生み、一気に読むことができました。


時代背景や小道具が非常に凝っていて、スケールの大きい世界観を感じさせるのですが、それぞれのキャラクターが特徴的で、良くも悪くもドタバタとストーリーが進んでいく感じなので、ちょっと時間があるときに、気軽に手を伸ばせる作品です。


ただのSFではなく、現実世界のメタファー的な部分も多いので、図書館戦争のような感じで続巻していってほしいです。


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友人が本を出しました。会社員時代からコツコツ書き溜めて、いろんな賞に応募していたのですが、ある小さな(といっては失礼か)賞を受賞するのを契機に、会社を退職し、本格的に創作活動に入りました。


最初はより大きな賞に応募したり、出版社に持ち込んだりしていたようですが、その努力が実ってか、今回の出版に至ったようです。


「メディア・ワークス」という名の通った出版社からの出版ということで、「大した物だ」とビックリして買いに行きましたが、行く本屋、行く本屋でちっとも置いてなくて、さらにビックリ。せっかく出版に至っても、取次ぎが配本してくれるかどうか、というもうひとつの戦いがあるのですね。知ってはいましたが、改めて出版界の熾烈な競争を目の当たりにしました。


新宿のジュンク堂で手にいれました。


内容は表紙の通り、ライトノベル100%です。あまりライトノベルは読まないので、セリフ回しなど、読んでいてはずかしくなるような表現も多いのですが、物語としての完成度は高く、一つ一つのネタが生きていて、SFとしてもなかなか面白く読めました。


「これがコケたら崖っぷちです。」と言ってましたが、なんとか踏ん張ってもらいたいところです。


印税でおごってもらう約束なので、ぜひ皆さん、買ってください。


以上、宣伝でした。







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